竹は軽くて加工しやすいため、有用な資源として利用されてきました。しかし、現在では、竹の利用は減少しています。
その結果、竹林は放置され、竹の有効利用とは全く無関係の場所に侵入し拡大しています。
そして、竹は一般の植物と比較すると、とてつもなく成長が早く駆除が難しい植物です。

この記事では、駆除が難しい竹の生態と駆除するための効果的な方法、駆除後の処分方法と駆除全般の注意点について紹介します。
また、駆除をプロに依頼した場合の費用相場についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

竹を駆除するために生態を知る

日本には、タケ類の種は20種ほどあり、変種を含めると50種類ほどあるとされています。
竹には節があり、中は空洞、さらには地下茎が広がっているという生態があり、これが駆除を難しくしている要因です。
そのため、竹を駆除するためには、その生態を知る必要があります。
竹の生態について3つのポイントで説明します。

竹に節がある理由

竹は、他の樹木や草花にはない構造と生態をもっています。その一つが「節」です。竹の中心は空洞になっており、この構造は竹のとてつもなく早い成長スピードの裏付けの一つになっていますが、折れやすいという難点を伴います。

しかし、節で仕切ることで簡単には折れない構造となっているのです。
また、竹の節の間隔は一定でなく、地際、中間、上部で違います。根元に近いほうが狭く、上部に向かうほど広くなっていき、先端に近づくと根元と同じように狭くなっています。

理由は、根元は竹自体の重みに耐えられるように、先は枝葉を支えるためです。根元から先まで一定の間隔だと、横から強風などが吹き付けると圧力で折れやすくなります。中間くらいの間隔を広げておくことで柔軟性が生まれ、しなやかになって、強い風にも折れません。

竹はとてつもなく成長が早い

竹の最大の特徴は、その成長のスピードです。環境条件が整えば、たった2~3ヶ月の間に10~20mも成長するとされています。

ただし、一定の大きさになると、伸びることも幅広くなることもありません。それにしても、山間の樹木が20mになるには、30年や40年かかることを考えると驚異的です。
このような急激な伸長を支えている要因は、大きく2つあります。

【成長点が多い】
植物は茎や根の先端で細胞分裂が活発になり、これを成長点といいます。樹木は幹の先端に成長点があって大きくなりますが、
竹は節ごとに成長点があり一斉に伸長するため成長が著しく早くなります。

【生長促進物質】
竹は生得的に生長促進物質(植物ホルモン)を保有しています。
細胞分裂や発芽を促進し老化を抑制するカイネチン、ジベリン、チロシンなどです。
竹は、とてつもない早さで成長して他の植物を圧倒し、一気に自らの生存圏を確立してしまいます。

竹の根の特徴

竹は地面から下は「地下茎」という茎で繋がっています。
地表から30㎝~1m程度の浅い場所に縦横無尽に広がり、竹から送られてきた栄養を蓄えます。
竹が丈夫で枯れにくいのは、栄養を蓄えた地下茎の存在が大きいです。同時に、竹の駆除の難しさの最大の理由も地下茎にあります。

地下茎は、毎年、節にある芽子から新しい竹(タケノコ)を発生させて、数か月で立派な竹に成長させます。そして、ずっと地下茎が栄養を与え続けます。

樹木は、地面に落ちた種がその場で発芽し、あとは枝葉を伸ばして自力で栄養をつくり出して成長していくので大きな違いです。
このように、竹は地下茎によって増えるため、一般的な植物のように花を必要としません。

竹を駆除するための効果的な方法

竹は節があるため丈夫で簡単には折れず、その節ごとに成長点があって成長スピードは早く、さらに地下茎の存在が駆除を難しくしています。竹の駆除では、この生態を把握してかかることが重要です。

簡単ではない竹の駆除ですが、効果的であると評価されている駆除方法を紹介します。

とにかく竹はタフであることを念頭におく

竹は一般的な樹木とは違う生態をもっているので、とにかくタフであることを念頭においてください。

樹木の撤去は、幹木を伐採して根鉢(根と土が一体化して塊)を掘り上げれば完了します。よほど大きなものでなければ、高所作業車やバックホウ(建設機械)を使えば1日で作業は完了し、その後また樹木が生え始めることもありません。

しかし、竹は地下茎が十数メートルにわたって伸びていることがよくあります。その地下茎を一度に完全に掘り上げるのは至難の業です。

わが家の庭の竹が邪魔になって撤去したが、地下茎を完全に掘り上げることができず、隣の家の庭に竹が出現したということもよくある話しです。
タフな竹を完全に駆除するには、こちらも粘り強さが欠かせません。

竹の伐採・抜根を繰り返して駆除する

竹の伐採は、竹が成長で養分を使い果たす初夏から夏に地上部を切り倒すのが有効とされています。この時の伐採は、地上から50cm程度の高さで行うのが一般的です。

ただし、前述の通り、地下茎を含む竹根が残っていると復活してきます。地表から30㎝から1m下にあり、十数メートルにもわたって伸びている可能性がある根系(地下茎含む)を人力だけで掘り上げるのは難しいので、現場の状況に合わせた大きさのバックホウの使用をおすすめします。

根の掘り取りを行わず伐採のみを行う場合は、数年間、毎年繰り返すのが効果的です。伐採を繰り返すことで竹の光合成を阻害し、
地下茎に養分を蓄えさせない手法で、連年伐採と呼ばれます。
伐採が無理な場合は根系を数か所根切りして、吸肥力の強い作物を植えると竹を弱らせることが可能です。この場合も何年間か繰り返す必要があるでしょう。

除草剤を使って竹を駆除する

ここでは、除草剤を使って竹を駆除する方法について説明します。竹の駆除をバックホウなどの建設機械を使って行うことは、
立地条件的にも予算的にも無理な場合は除草剤を使うことが多いです。
除草剤の種類と実際のやり方、考えられる除草剤の影響について紹介しますので参考にしてください。

竹を駆除するための除草剤の種類

竹を駆除するための薬剤として代表的なものに、グリホサート系と塩素酸系があります。
具体的な商品としては、グリホサート系はラウンドアップマックスロードやグリホVなど、塩素酸系がクロレートS粒剤やデゾレートAZ粒剤などです。

ラウンドアップマックスロードなどは
液剤を竹自体に注入し、
クロレートS粒剤などの粒剤は
竹が生育している土壌に散布します。

注入する方法は、竹稈(ちくかん)や切り株に注入するので時間がかかりますが、環境に与える影響は穏やかです。竹稈とは節のある竹の茎のことをいい、樹木でいえば幹のことです。
粒剤の散布は、作業時間は短くてすみますが、環境に与える影響は注入方式に比べると大きいとされています。

竹稈に除草剤を注入して枯らす

竹稈に除草剤を注入して枯らすには、竹稈にドリルで穴を開け、グリホサート系の除草剤をスポイトなどで注入します。
作業は、穴開け、薬剤注入、穴塞ぎという流れで行い、薬剤は注入した節から上下に広がっていきます。

注入後2~5ヶ月程度ですべての葉が枯れ落ちて、竹は光合成ができなくなり、同時に根系まで浸透して枯らします。
ただし、竹はタフなので、状況によっては完全に枯らすまでには複数回の注入が必要です。

竹の再生を抑える

地下茎が蓄えた栄養によって支えられた竹は、伐採後、全体的に減少しながらも再生を繰り返すため全滅までには時間がかかります。

公共工事として発注されるような大規模な竹林の撤去では、数年のスパンを見込んで駆除を行うのが一般的です。
伐採+除根、
伐採+ブルドーザーによる踏み倒し、
伐採+除根+根の遮蔽など

複数の施策を繰り返す行うことが有効とされています。

一般の住宅においても、除草剤の複数回の注入や散布などで、竹が繁茂する前にダメージを与え続けることが竹の再生を抑えるために重要なポイントであることは変わりません。

除草剤の環境への影響

除草剤を複数回使用して竹を駆除する場合、心配になるのが環境への影響です。
グリホサート系の除草剤では、竹稈への注入のため、周辺環境に流出する可能性は低いと考えられます。
公的機関での、散布前、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年後というような継続的な調査においても大きな影響は検出されていません。

薬剤を土壌に散布する塩素酸系では土壌への負荷が危惧されるところですが、1ヶ月後にはほぼ分解され、土壌および河川水の残留は検出されていないです。
以上のように、用法や用量に準じた注入や散布であれば影響はないと考えられます。

参照
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
放置竹林の把握と効率的な駆除技術

他の植物への影響

竹林などで竹の駆除に除草剤を使用した場合の他の植物への影響は、種子発芽と下層植生で懸念されます。下層植生とは、竹の根回りの土壌で生息している草本類のことです。

粒剤を土壌に散布する塩素酸系除草剤の種子発芽への影響もほぼ見られず、一方で竹林が減少したことによる種子同士の生育時の競争が見られるようになっています。

竹稈に薬剤を注入するグリホサート系の除草剤による下層植生への影響も少なく、逆に竹が枯れて明るくなったことで新たな発生や増加が確認されています。
グリホサート系、塩素酸系どちらにおいても、薬剤による他の植物への影響は少なく、竹が枯れたことで起きた環境の変化による影響のほうが大きいようです。

遮蔽物で地下茎の侵入を防ぐ

建物や構造物の基礎、埋設管、第三者の敷地などへ樹木や草花の根の侵入や密着を防ぐアイテムに防根シートがありますが、竹の根や地下茎の侵入を防ぐ遮蔽物も数多く流通しています。

この遮蔽物は、竹自体の駆除を目的としたものではありませんが、生命力や成長力が旺盛な竹の繁殖を抑えるには有効な手段です。

竹の場合は、防竹シートとか竹用根茎調整材という名称になっています。素材は、ポリプロピレンやポリエチレンが多く、厚みは0.6~1mm程度です。
コンクリート製の遮蔽版や波型のトタン板を土中に埋め込んで、竹林の地下茎から自宅を守る方もいます。

地下茎を掘り取る

竹を伐採し地下茎を掘り取るという駆除方法は、建設機械を使うので費用はかかりますが、作業期間は比較的短いのに得られる効果は大きいです。状況によっては一度の施工で全滅させることは無理なケースもありますが、数年かけて枯らす方法よりは早く結果が得られるはずです。

放置竹林は近隣の作物に悪影響をもたらしたり、通行の妨げになったりすることもあるので、伐採が工事として発注されることも多くなっています。1台のバックホウに、複数のアタッチメントを交換しながら取り付け、竹林の伐採や伐開、集積、積込から地下茎の掘り取りまで一貫して行うことも可能です。

竹の駆除は竹の生態を熟知し、土木工事にも長けた専門業者に依頼するのが経済的でベストな選択です。

その他の駆除方法の注意点 

ここでは、その他の駆除方法の注意点について説明します。

高切りのメリット・デメリット

竹の駆除方法としてポピュラーなものに、竹を地上部1m程度のところで切る、いわゆる「高切り」があります。竹の伐採には、竹に光合成をさせずに地下茎に栄養を蓄えさせないという意味合いがあり、1mで切ってもこれは達成することができます。

地上部1mということで比較的切りやすく、地際で切るより作業の安全性も高いです。全滅させるためには、複数年の繰り返しが必要なのは地際で切る場合と同様です。

注意点としては、熟練作業者にとっては1mの高さで切っても、地際で切っても作業的には変わらないという報告があることです。
逆に、中途半端に残っていると、切った竹の搬出がやりづらいという意見もあります。
そして、駆除という効果の面でも、地際で切るよりも1mの高切りのほうが全滅までの年数がかかるという点も気になるところです。

石灰系の効果

笹駆除で使われることがあるのが、石灰です。そのため、竹の駆除にも効果を期待できると石灰散布を検討する方がいらっしゃいます。ただし、石灰を扱う場合は、いくつか注意しなければならないことがあります。

石灰は土壌や他の植物への影響が大きいため、使用する場所が広範囲であるほど注意を必要とします。特に使用量は、対象となる土壌のpH値や竹の量、土壌の種類を考慮しなければなりません。
石灰は、土壌の性質を変えてしまうため、酸性を好む植物が成長しにくくなるリスクがあります。

使用する際は、しかるべき知見のある方のアドバイスを受けながら散布をするべきでしょう。

竹を駆除した後の処分方法は?

個人で竹を駆除した後、処分する方法としては、燃やす方法と普通ゴミとして処分する方法があります。
燃やす場合は、農地や空き地などの野外でゴミを燃やすと「野焼き」になり、原則的に禁止されているため、細かく切って焚き火の材などにして燃やしましょう。

ゴミとして出す場合は、自治体ごとの注意事項を確認して適切に処理してから処分することが求められます。
粉砕機でチップやパウダーにすれば、より出しやすいですが、個人の方には難しいかもしれません。

処分業者に依頼して引き取ってもらうか、ゴミ処理センターに持ち込む方法もあります。多少費用はかかりますが、手間も時間もかからず安心です。

竹の駆除をプロに依頼した場合の費用相場

竹の駆除をプロに依頼した場合の費用相場は、伐採のみで1本当り5,000~25,000円、抜根では8,000~30,000円程度になります。

ただし、費用は、竹の大きさや本数、現場状況で大きく違うので注意が必要です。建設機械が入れない現場では、人力のみでの作業になり割高になります。
まず、プロに現場を確認してもらって見積を依頼しましょう。できれば複数の業者から見積もり徴収して、最も適切だと考えられる業者に決めたいところです。

駆除の対象となる竹林が広い場合は、自治体によっては補助金が出る場合があるので一度確認してみることをおすすめします。

庭のお手入れなら、スマイルガーデンへ

竹の駆除は難しく、数年単位で繰り返し対策しなければなりません。お困りの方はプロへ依頼した方が安心です。日本にある竹林は人の手によって管理されてきたのですが、昨今は放置された竹林による害も増えています。

自宅近くに竹林がある、または近所の雑木林の中に竹がある場合、お庭にタケノコが生えてきてしまうことがあります。
放っておくとすぐに大きくなりますから、見つけ次第対処しましょう。

自宅の他に、持っている畑や土地に竹が生えてきてしまったという方も
まずはお気軽に「smileガーデン」までお問合せください。