石川県金沢市や富山県富山市、長野県松本市、新潟県新潟市の冬の風物詩である雪吊りや冬囲いは、北陸地方特有の重い雪から木の枝を守るために施されています。
しかし、単に木を保護するだけではありません。
その雪吊り・冬囲いの姿は冬の雪国の象徴でもあり、とても風情を感じるものです。
冬の石川県金沢市や富山県富山市、長野県松本市、新潟県新潟市では企業や一般家庭に至るまで、広くこの雪吊り・冬囲いが行われています。
兼六園の雪吊り・冬囲いは、その代表的なものといえるでしょう。

それに伴い、日本三名園を有する金沢は藩政時代から造園に対する関心が高く、造園技術が発達しています。
中でも雪吊り・冬囲いの技術は「兼六園方式」と呼ばれ、全国の庭師が学びに来るほどだと言われています。
ちなみに兼六園では、毎年11月1日から12月中旬にかけて合計814ヶ所の雪吊り・冬囲いが延べ人数500人をかけて施されます。
この期間は庭師の皆さんの職人技を見ることができるそうです。

そんな雪吊り・冬囲いは、木の大きさや枝ぶりによって使い分けられます。
つまりひとつとして同じ雪吊り・冬囲いは存在しないのです。
金沢兼六園の雪吊り・冬囲いは「りんご吊り」と呼ばれています。
りんごが実りだし枝が折れはじめ、それを防ぐために吊ったのがこの方法で、それで「りんご吊り」と呼ばれるようになったといわれています。
つまり、当初は実用的な植木の保護の為に施されたのでしょう。

金沢兼六園の他にも、新潟県新発田地方等、豪雪地域は実用的なりんご吊りが主ですが、その地域によって柱の頭部分に飾る「わらぽっち」や「バレンの化粧編み」が異なるようです。
雪吊り・冬囲いには地域性がかなり出るということです。