さまざまな事情で不要となった生垣の伐採と抜根を行う際は、作業をする方の安全はもちろん、ご近所や通行する人の迷惑にならないようにしなければなりません。

同時に、効率的に進める方法を理解し、適切な手順で行うことで作業に必要な手間や時間を最小限に抑えることができます。

この記事では、伐採の目的と適した時期、伐採と抜根の効率的なやり方、安全に作業を進めるポイントなどをわかりやすく説明しています。ぜひ最後までご覧いただき参考にしてください。

生垣の木を伐採する目的

生垣の伐採を行う際は、まず、その目的を明確に理解しておくことが必要です。完成した状態をイメージして、そのゴールに向けて作業を行うことは、生垣の伐採を成功させることに直結します。

生垣の木を伐採する目的を、日当たりや風通しの改善近隣とのトラブルを防止病害虫によるリスク回避という3つのポイントで説明します。

日当たりや風通しの改善

定期的に生垣を見直し、必要に応じて伐採を行うことは、日当たりや風通しを改善するために不可欠です。生垣が想定以上に繁茂しすぎると、周囲の環境にさまざまな影響を及ぼすことがあります。
その中でも特に重要なのが日当たりや風通しです。

繁茂しすぎた生垣によって、光が十分に差し込まなくなると、低木や草花が育ちづらくなります。植物全般にとって日照は必須条件であり、日当たりの良い場所では一定の高さで成長するものであっても、陰になった部分では枯れてしまうことが少なくありません。

風通しの悪さも、植物の生育に大きな影響を与えます。湿気がこもることで、カビや病気が発生しやすくなるため、風通しの改善は重要です。

木々の間隔が狭くなっている場合、一部を伐採することで風通しが良くなり、空気の循環が促進されて病害虫の発生を抑える効果も期待できます。
これらにより、植物が健康に育つ環境が整い、周囲の景観にも貢献します。

近隣とのトラブルを防止

近隣とのトラブルを防止するためには、適切な庭木の管理が不可欠です。特に、隣家や人通りに面していることが多い生垣を放置すると、さまざまな問題を引き起こす可能性が高いです。

庭木の手入れを怠って生垣などの庭木が繁茂し過ぎると、病害虫が発生して隣家の庭木や草花に感染することがあります。また、風の強い日などは、生垣の枝葉が隣家の敷地内に落下して迷惑になることもあります。

このようなトラブルを未然に防ぐためには、生垣の定期的なメンテナンスが重要です。生垣が放置されることのないよう、適切なタイミングで伐採や剪定を行うことが求められます。

近隣とのトラブルを防止するためには、コミュニケーションも欠かせません。特に隣家と密接する生垣の伐採や剪定を行う場合、事前に隣人に知らせておく配慮をすることは、トラブル回避に繋がります。

病害虫によるリスク回避

病害虫によるリスク回避をする観点でも、生垣の伐採は非常に重要です。例えば、うどんこ病や炭疽病などの病害は、初期の段階では目立たないことが多く、放置すると周囲の庭木や草花にも広がる恐れがあります。

これらの病気は湿気が高い場所や陽当たりの良くない場所で発生しやすく、早期発見・早期対策が求められます。

また、害虫にも注意が必要です。特に、カメムシやアブラムシなどの害虫は生垣に留まることで他の植物に侵入し、広がってしまうことがよくあります。

これらの虫は葉を食べるだけでなく、ウイルスを媒介することもあるため、適切な管理が欠かせません。適切な時期に伐採を行うことで、病害虫を駆除することが可能です。

生垣の伐採後には、根回りの土壌に病害虫が残っていないか確認することも必要です。
切り株は、病害虫にとって格好の住処となるため、丁寧に抜根し適切に処理することが求められます。

木の伐採に適した時期

木の伐採や抜根は、木を撤去して処分してしまうことが目的なので、剪定や消毒に比べると時期を選ばないと思われがちです。しかし、より効率的にストレスフリーで作業を行うには、木の伐採に適した時期を把握しておくことも必要です。

季節ごとの伐採の影響や伐採が必要になるケースについて紹介します。

季節ごとの伐採の影響

一般的に、庭木の伐採をするのに適した時期は冬とされています。冬は庭木が乾燥していて、木が軽くて扱いやすいからです。

また、落葉樹は葉を落として幹や枝がむき出しの状態なので作業しやすく、繁茂した葉がない分の処分費を削減できます。

常緑樹の場合も休眠状態にはなっているので、全体的にボリュームは抑えられています。常緑針葉樹についても、成長活動が穏やかになっているので、伐採時の樹液などの発生も少ないです。

ただし、降雪や積雪がある寒冷な地域での冬の伐採作業は、凍結や雪の影響を考慮しましょう。

病害虫の発生状況も伐採の時期を決める要因となります。例えば、春に病害虫が発生することが多い場合、その前の冬の間に伐採をしておくことで被害を防ぐことができます。

春や初夏に伐採を行うと、植物が新たな成長を始める時期であり、周囲の庭木や草花への影響に注意することが必要です。

伐採が必要になるケース

木の伐採に適した時期について、伐採が必要になるケースという視点で考えておくことも大切です。

例えば現状の庭をリフォームしたい場合、生垣などの木の伐採や抜根が必要になります。庭部分を縮小して駐車場にしたり、建物のリフォームに合わせた庭の改変が必要になったりする場合もあるでしょう。

また、想定以上に生垣や庭木が大きくなって、剪定や消毒などの手入れが難しくなったので処分したいというケースもあります。あるいは、空き地だった隣の敷地に建物が建ち、日当たりや風通しが大きく変わってしまい従来のような生育が望めないので処分を決めることも少なくありません。

以上のように、新たな土地利用や周辺環境の変化に対応するため、伐採や抜根が必要になる時期があります。

木の伐採方法

ここでは、実際に伐採を行うにあたって、効率的な伐採手順と注意すべきポイントについて説明します。

効率的な伐採手順

木の伐採手順は、木の高さや太さ、立地条件などにより違ってきます。ここでは、生垣を伐採するという前提で手順の説明をします。

生垣を含め、どんな木を切る場合も事前の計画や準備は重要です。作業前に伐採する生垣全体をよく注視して、建物や他の庭木などの障害物、人や車の往来など周囲の状況を必ず確認してください。

その状況によって、どこから切り始めるか、どの方向へ倒すか、切った枝葉はどこに仮置きしておくかなどの計画を立てます。

次に必要な道具として、ノコギリや枝切バサミ、必要に応じてチェンソーなどを準備します。また、保護帽や手袋、安全に配慮した靴など作業に適した服装を揃えてください。

準備が整ったら、以下の手順で伐採作業を行います。生垣の高さにもよりますが、いきなり根元から伐採するのではなく、複数回に切り分けるほうが効率的で無難です。

① 切り倒す方向を決める
切り倒した生垣が庭にある工作物や通行人に当たらないように倒す方向を見極めます。

② 倒すのに邪魔になる枝を切る
生垣は枝葉が密生していることが多いので、倒しやすいように邪魔な枝を先に切り取りましょう。

③ 太い幹は切り口をつけてから切る
枝が太くて一度に切れないときは倒す方向に「受け口」という切り込みを入れて、反対側に「追い口」と呼ばれる切り込みを入れてから切ると楽です。

上記の①~③の作業を一定の間隔で繰り返しながら、伐採を進めていきます。

注意すべきポイント

自分で伐採作業を行うとき、最も重要なのは安全作業を行うことです。特に、作業を一人で行う場合、作業に集中しすぎるあまり周囲の安全に目が届かなくなることがあるので注意が必要です。

その他、伐採をする際に注意すべきポイントをまとめました。

  • 伐採をする際は供養を行う
    生垣は生きものであり、成長を見守ってきた存在です。伐採を行う前にその木に対する敬意を表すマナーとして、事前に塩やお酒を撒いて供養されることをおすすめします。

  • 梅雨の時期や酷暑になる真夏は作業をしない
    梅雨の時期は、生垣は十分に水を吸い上げて重量を増していますし、突然雨が降って作業を中断することも多いです。真夏は温度が急激に上昇する恐れがあり、作業中の水分不足や熱中症に対する対策が必要になります。また、スズメバチやドクガなど害虫の活動が活発なので被害に遭うリスクも高いです。

  • 降雪の多い時期
    降雪の多い時期の伐採作業は、降雪中に目視や動作に不自由がでたり、作業前に除雪が必要になったりします。伐木などの運搬にも手間がかかります。

  • チェンソーは危険を伴うことに留意する
    チェンソーなどの電動工具は作業を効率化しますが、慣れていない方が使うと怪我をするリスクが高まりますので使用には十分注意してください。

  • 脚立を使用した作業は極力避ける
    生垣の高さが2m以上になると脚立を使った作業を検討する方も多いですが、転倒や墜落は思わぬ大事に至ることがあるので、素人の方は極力使用を避けるべきでしょう。

  • 無理は絶対にしない
    当初はできるつもりで始めた作業も、実際にやってみると思わぬ労力や技術が必要になるもです。少しでも不安を感じたら無理をせず、プロに依頼することを検討してみてください。

木の抜根方法

庭木を伐採した後の抜根は重要な作業ですが、多くの方が苦労する作業でもあります。ここでは、木を抜根するメリットと自分で行う方法、業者に依頼する際の注意点について紹介します。

木を抜根するメリット

木を抜根することには、いくつかのメリットがあります。

第一に、切り株を放置しておくと新しい芽がでてきて成長することがあり、見た目が良くないです。また、切り株の根が腐って土質化するには長い年月がかかるので、その間に害虫や病気の温床になりかねません。

害虫で特に注意したいのが、シロアリやオオスズメバチです。シロアリが発生すると建物に被害が及ぶこともあり、オオスズメバチは凶暴で危険な蜂で、刺されるとアレルギー症状を起こすことがあるので注意が必要です。

木を抜根することによって庭がすっきりして景観がアップするだけでなく、新たなスペースが生まれ庭の有効活用の幅が広がります。切り株につまずいて転倒する危険もなくなります。

また、庭全体に植物が込み合っている場合、生垣の根がなくなると他の植物の根が張りやすくなり良い影響となるので特におすすめです。同時に土壌改良もしやすくなり、これも庭全体の植物の生育に有効となります。

自分で抜根を行う方法

自分で抜根する方法にはいくつかあり、大きく「掘削法」と「引っ張り法」の2つに分けられます。

掘削法は、根を掘り出して取り除く方法で、土を掘るためのシャベルやスコップが必要です。根の周囲を土から剥がしながら掘り進めていくことで、根を完全に露出させて抜根します。

掘削を行う際は、木の周囲1メートル以上掘るのがおすすめです。細い根も含めてしっかりと抜くことができて、後々の土壌の回復にも有利になります。

次に、引っ張り法は、トラクターやウインチを使って木の根を引き抜く方法です。特に根が深く張っている場合は、この方法が効果的です。

引っ張る際は、木が引き抜かれる方向を確認し、周囲に安全なスペースを確保してから行うようにしましょう。根がしっかりと土に埋まっている場合は、根回りに水を与えて軟らかくして抜きやすくするのがコツです。

自分で抜根を行う際は、力を入れすぎて体を痛めないように注意し、作業は安全第一で行うことが重要です。

業者に依頼する際の注意点

業者に抜根を依頼する際の注意点として、第一に挙げられるのが業者の選定方法です。信頼できる業者を選ぶためには、口コミや評価を調べることが有効です。特に、抜根を行う場合は技術と経験が求められることが多いため、過去の実績を確認することは重要です。

見積もりの取り方についても注意してください。複数の業者から見積もりを取ることで、相場を把握することができます。
提示された内容に少しでも不明な点があれば、遠慮せず質問をすることです。それによってお互いの信頼関係が構築され、納得のいく作業やサービスを受けることに繋がります。

見積もりには作業の内容、費用、作業期間が明記されていることが望ましく、安易に「一式」を多用する業者は避けるべきです。契約時には条件や作業内容を十分確認することも大切です。抜根後の処理や庭の回復について表記されているかを確認しましょう。

完了後に「残土の処理は追加料金が発生します」といったトラブルが発生しないように、事前に曖昧さを排除しておくべきです。

最後に、作業中の安全確保も重要なポイントです。業者が適切な安全対策を講じているか確認してください。特に、隣家や人通りに面した抜根する際には、周囲への配慮が求められます。自宅だけでなく、近隣への影響も考慮できるかどうかの判断が、信頼できる業者選びには不可欠です。

安全に作業を進めるためのポイント

生垣を含む庭木の伐採や抜根の作業を安全に進めるためのポイントを、周囲への配慮と安全用具の準備の2つに集約して説明します。

周囲への配慮

庭木の伐採や抜根作業は、周囲への配慮が不可欠です。特に、住宅地などの密集したエリアでは、近隣住民への配慮を怠るとトラブルの原因となることがあります。

伐採する木が1m以内の距離にお隣の敷地がある場合、その木が倒れたり、枝が飛んできたりするリスクが高まります。事前に近隣住民に作業を告知することは、良好な関係を維持する上でも重要です。

作業予定日を周知し、伐採後に出るゴミや木片の処理について説明することも、心配を減らす手段となります。さらに、伐採で発生する騒音や振動についても考慮し、作業は午前中のまだ周囲が静かな時間帯に行うことをおすすめします。

周囲に植えられている他の植物にも影響を与える可能性があるため、適切な距離を保ちながら作業を進めることが大切です。

また、剪定や伐採を行う際には、風向きや天候を考慮する必要もあります。風が強い日は、木の倒れる方向が制御しづらくなるため、安全を第一に考えて作業を延期することも検討すべきでしょう。

作業中には周囲に人がいないことを確認し、もし通行人がいる場合には安全のために声をかけ、一時通行を止めるなどの対策を講じることも欠かせません。このような周囲への配慮を行うことで、作業がスムーズに進むだけでなく、事故を未然に防ぐことが可能となります。

安全用具の準備

安全作業を実現するためには、適切な安全用具の準備を怠ることはできません。

まず、作業者自身を守るための基本的な用具として、ヘルメット、保護メガネ、耳栓、手袋、そして安全靴などが挙げられます。これらの用具は、頭部や目、耳、手、足を保護し、事故や怪我を防ぐために必須です。

チェンソーを使用する場合は、使い方に関する知識や技術も必要で、正しい持ち方や切る角度を理解しておくことが重要です。

作業を始める前に、現場の状況を確認し、周囲に人がいないか、作業に適したスペースが確保できているかも見逃せません。特に、高木の伐採や抜根作業では、落下物が危険を伴うため周囲の確認を怠らないようにしましょう。

また、気象条件も考慮すべきです。風が強い日や雨が降っている日に作業を行うことは避けるべきです。これらの条件では、木が思わぬ方向に倒れる可能性が高まり、安全性が著しく低下します。

万が一の事故に備えて、救急セットを用意しておくことも有効です。身近に適切な知識を持つ人がいる場合には、何かあったときのために連絡手段を確保しておくことも大切です。

庭のお手入れなら、スマイルガーデンへ

庭木一本の伐採や伐根も大変な作業ですが、生け垣となると本数も多く伐採によって出た枝葉やゴミの処理も楽ではありません。また、作業中に人や車の往来に気を遣いながら、安全に作業を進めることはそう簡単ではありません。個人で行うのは避けてプロへ依頼することをおすすめします。


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