植物の「切り戻し」とは?

植物の「切り戻し」とは、伸びすぎた茎や葉を途中で切り詰めて、わき芽(新しい枝)の発生を促進させる作業です。

生命力を新しい芽に集中させるとともに、風通しや陽当たりを良くして、新芽や花、実の生長を助けて若返らせます。

草花の切り戻しでは、伸びすぎた茎や咲き終わった花を、新芽のすぐ上か株の1/2~1/3程度の高さで切り戻すのが一般的です。ただし、切り戻しをすると次の開花までに2~3週間、あるいはそれ以上かかるので、花が咲く期間が短い花の切り戻しはしません。

庭木では、枝を増やしたいなら外芽のすぐ上(5㎜程度)で、木を小さくしたい場合は枝の根元か全体の1/3程度で切ります。

草花も庭木も、切り戻しをすることによって姿が整い、花や実の数が増えるだけでなく病害虫の発生を防ぐことに繋がります。

切り戻し剪定を行う目的

植物の大切な手入れ方法の一つである切り戻し剪定の目的を3つのポイントで説明します。

植物の健康・成長を促す

伸びすぎた枝や古くなった枝を切り戻すと、植物の生命力が刺激されて、新しい芽を出そうと代謝が上がります。これにより、勢いのある健康な新しい枝葉の発生が促されます。

切り戻しによって、植物の新陳代謝が高まり、株全体が若返るのです。また、混みあった枝葉が整理されて陽当たりや風通しが株全体に行き渡るため、新芽の生長がより活性化されます。

適切な時期に、不必要な枝葉を切り戻すことは、植物の健康を維持して生長を促す大切な手入れの一つです。

植物の形やバランスを整える

植物は放っておくと、枝がバラバラな方向に伸びたり、ひょろひょろと徒長(とちょう)したりして形が崩れます。伸びすぎた部分を切ることで、全体を理想的な姿に整えることができます。

植物には、「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という、一番高い位置にある芽が優先的に育つ性質があります。枝の先端を切ることで、その下にある複数の脇芽(わきめ)の生長を促すことができるのです。

また、特定の枝だけが長く伸びると、そこにばかり栄養がいってしまいます。飛び出した枝を切り戻すことで、栄養が株全体に行き渡り、他の短い枝や新しい芽も元気に育つようになります。

このように、植物の姿や全体的なバランスを整えるために、切り戻し剪定は非常に有効です。

病気や害虫の発生を防ぐ

切り戻し剪定には、伸びすぎた枝を切り落として、株をリフレッシュさせて病気や害虫の発生を防ぐという目的もあります。

枝が茂りすぎると、株の内部に湿気がこもりやすくなり、カビや病気の温床となります。切り戻しによって陽当たりと風通しが良くなり、病害虫が発生しにくい環境をつくることが可能です。

不要な枝葉を取り除くことで、養分が植物全体に効率よく届き、樹勢は回復し抵抗力が強化されます。また、切り戻しを行う過程で、病害虫の早期発見ができて対策を早めに行うことができるというメリットもあります。

切り戻しと剪定の違い

切り戻しと剪定は、どちらも植物の枝を切る作業です。剪定は植物の形や生長を全体的に調整する広範な作業であるのに対し、切り戻しは伸びすぎた枝葉の先端を切り戻し、株を若返らせるなど特定の目的がある剪定の一種です。

剪定の種類と特徴を以下にまとめました。

切り戻し伸びすぎた枝を途中で切り、健康な生長を促し美しい姿に整える
透かし剪定不要な枝を間引きし、風通しと陽当たりを良くして植物を健康に保つ
刈り込み生垣や玉仕立てのような植物の外側を切り揃えて形を整える
芽摘み春先に伸びてきた新芽(みどり)の先端を生長しきる前に手やハサミで摘み取る

摘心(ピンチ)とは?

摘心(ピンチ)とは、植物の茎や枝の先端にある芽を指で摘み取ったり、ハサミでカットしたりする作業です。摘心(ピンチ)の目的と方法について説明します。

摘心(ピンチ)の目的

摘心(ピンチ)の目的は、先端の芽を摘むことでわき芽を次々に伸ばして、見栄え良く株全体をボリュームアップさせることにあります。

下にあるわき芽を増やすことで、縦に伸びる生長が抑制されるので、背が高くなりすぎるのを防ぐことが可能です。その結果、コンパクトで草姿の整った株に仕上げることができます。

また、枝数が増えるので、花がたくさん咲いたり実が多く収穫できたりするようになります。

摘心(ピンチ)の方法

摘心(ピンチ)は、茎の先端近く、わき芽が出る位置のすぐ上を狙います。茎の頂点にある芽を、手で摘み取るか園芸用の剪定ハサミで切り取ります。

切った後に茎があまり残らないよう、できるだけ葉に近い部分をカットしてください。

切り口はしっかり乾燥させることで、病気や腐敗を防ぐことができます。ハサミを媒介としたウイルスの感染を防ぐため、道具を消毒することも大切です。

植物の切り戻し剪定を実施する時期の目安

植物の切り戻し剪定では、実施する時期の目安を把握しておくことも大切です。適切な時期に行うことで、効果的な切り戻しが可能になり、失敗もなくなります。

植物の切り戻し剪定を実施するタイミングを5つ紹介します。

形が乱れてきたタイミング

花が少なくなって花がらが目立ち始めたり、茎が徒長して形が乱れたりしてきたら、切り戻し剪定のタイミングです。

株をコンパクトに整えることを前提に、花茎ごとカットして株元から切り戻すか、元気な葉が残るように株の1/2~1/3程度まで切り戻したります。

切り戻し剪定を行うときは、株元に葉があるかを確認してください。葉がない状態で切り戻し剪定を行うと、分枝するわき芽がなく、枯れてしまう可能性があります。

不要な枝が目立ってきたタイミング

陽当たりや風通しを悪くする枝、見栄えを悪くしている枝など、不要な枝が目立ってきたときも切り戻し剪定を行います。

不要な枝の放置は、養分を無駄に消費して本来の勢いを低下させ、花の減少や病害虫の発生の原因になりかねません。

良好な生育を妨げたり見た目を悪くしたりするだけでなく、隣家への越境や日照権侵害による近隣トラブル、倒木や枝が折れて飛散するなどのリスクもあります。

花が咲き終わってすぐのタイミング

花が咲き終わってすぐのタイミングでの切り戻しは、咲き終わった花に栄養が取られるのを防ぎます。咲き終わった花も養分を吸収するため、早めに切り落とすことで株が弱るのを防ぐことができるのです。

切り戻しによって株全体の風通しが良くなり、次の開花を早める効果もあります。ただし、花芽がつくられる時期に剪定すると翌年咲かなくなるので、切り戻しする植物の花芽をつける時期はチェックしておいてください。

休眠明けの前

休眠明け直前の時期(一般的に3月下旬〜4月下旬の新芽が出る前)の切り戻しは、植物への負担が少なく、春からの健やかな成長をサポートできる理想的なタイミングの一つです。

植物の活動が止まっている時期の切り戻しはダメージを受けにくく、春に新芽が出やすくなり、その後の生長もスムーズになります。

ただし、植物の種類によって最適な時期は異なるので注意が必要です。

春に花を咲かせる旧枝咲きの場合、休眠明け直前に切り戻すと、すでに形成されている花芽を切り落としてしまうことになります。また、寒さに弱い亜熱帯原産の植物や休眠が浅い常緑樹は十分に温度が上がってから行うほうが無難です。

晴れた日の午前中

晴れた日の午前中に切り戻しを行うと、切り口が早く乾燥しやすく、病原菌やカビの侵入によるトラブルを防ぎやすいです。

晴れた日は、湿度が低いため切り口の回復が早まります。また、植物は午前中に気孔を大きく開き、光合成を活発に行うため、その後の回復力が期待できます。

真夏の炎天下は気温が高すぎて植物への負担が大きく、雨の日や湿度の高い日は切り口が乾きにくく病気のリスクが高いです。

切り戻し剪定の正しいやり方

育ちすぎたり満開を過ぎたりして形が乱れた、開花期の長い草花の切り戻し剪定の正しいやり方を説明します。

  1. 道具を準備する
    切れ味の良い園芸バサミを用意し、アルコールなどで消毒します。雑菌の侵入を防ぎ、植物への負担を減らすことができるからです。
  2. 切る場所を見極める
    元気な「わき芽」や「節」のすぐ上(5mm~1㎝上)で、葉が2~3枚残るように切ります。または、長く伸びた茎の先端から、花が咲いた下の部分(種になりそうな部分)が切る場所になります。
  3. 切る長さの目安
    全体のバランスを見て、こんもりとした半球状になるようにするのが理想です。枝数を増やしたい場合は少し深めに、外側に広げたい場合は外芽のすぐ上で切ると枝が外向きに伸びます。
  4. カットの仕方
    新芽を潰さないように、斜めにスパッと切ります。切り口から病原菌が入らないよう、清潔なハサミで手早く行うのがコツです。

切り戻しの後は、水やりと施肥を十分に行ってください。

カーネーションの切り戻し

カーネーションの切り戻しは、一通り花が咲き終わり、咲かない蕾が増えてきた頃(梅雨入り前)に行います。高温多湿で蒸れるのを防ぎ、株をリフレッシュさせて秋に再び花を咲かせるためです。

まずは咲き終わった花がらを花房ごと切り取り、茎を株元から5~10㎝程度切り落とします。カーネーションは、茎の下の節から新しい芽が出る性質があるので、新芽やわき芽、芽吹きそうな節は残すのがポイントです。

必要に応じて、株元から茎を数本間引いたり、一回り大きな鉢に植え替えたりしてください。

サフィニアの切り戻し

サフィニアの切り戻しは、花が少なくなったり伸びすぎて株元が寂しくなったりしたとき、梅雨入り前(蒸れ対策)か8月中旬(秋の開花のため)に行います。

茎の先端の花がついている部分のすぐ下にある葉(わき芽が出やすい)を、1~2枚残るように切るのがポイントです。株元から15㎝程度の高さまで、全体的に短く切り戻すのが理想ですが、花を残したい場合は半分程度でもOKです。

植え付け後2~3週間で摘心(ピンチ)、その後も数回行い、全体がこんもりするまで繰り返します。

切り戻し剪定後のお手入れのポイント

切り戻しでは、剪定後のお手入れも重要です。ポイントを押さえたお手入れが、その後も花を長く楽しむことに繋がります。

切り戻し後は、葉の数が減るので水の蒸散量が減ります。水は土が乾いてから与え、水のやりすぎに注意してください。陽当たりと風通しの良い場所で管理して、薄めの液体肥料などで栄養を補給します。

切り戻したお花は、飾り方を工夫して最後まで楽しみましょう。茎が短い花は浅めのおしゃれな器に生けたり、茎のラインが曲がっているものは、深めの花器に野原で摘んできた花束のように飾ったりするとキレイです。

切り戻し剪定を行う「忌み枝」の種類

庭木などの切り戻し剪定で対象となる枝を「忌み枝」といいます。忌み枝は、庭木の美観を損ねたり、生長を妨げたりする不要な枝の総称です。

代表的な忌み枝の種類と特徴、見た目への影響や切り戻し剪定を行う際のポイントについて解説します。

徒長枝

徒長枝(とちょうし)は、真上に向かって勢いよく伸び、他の枝の養分を奪います。太く硬い枝が多いのも特徴で、混みあって陽当たりや風通しを悪くして樹形を不格好にします。

徒長枝は付け根(根元)から、剪定バサミでバッサリと切り落とすのが基本です。剪定は休眠期に行うのが一般的で、この時期に行うことで新しい徒長枝の発生を抑えることができます。

ひこばえ

ひこばえも株元や根元から勢いよく伸び、樹形を乱して、養分を吸い取る不要枝の代表格です。株元から生えているひこばえは、他の枝に影響を与えないよう、できるだけ根元から切り落とします。

葉が落ちた休眠期に剪定するのが基本ですが、太い枝や切り口が気になる場合は、癒合剤(トップジンMペースト)を塗布すると病原菌の侵入を防ぐので安心です。

胴吹き

胴吹きは、幹や太い枝の途中から直接芽吹きます。強剪定や環境ストレスで樹勢が衰えたときに、光合成能力の低下を補うために出ることが多い現象です。

見つけ次第取り除くのが基本ですが、全体の枝数が少ないときなどは、将来の主枝候補として1/3程度の長さに切り戻して育てることもあります。

立ち枝

立ち枝は、徒長枝の一種ですが、樹幹の内側に向かって伸びるのが特徴です。切り戻しは、根元からバッサリと切り落とすのが鉄則です。

太い立ち枝は、傷や折れを防ぐため、「三段切り」をすると切り口が傷みにくく見映えよく仕上がります。

三段切りは、最初に切りたい位置の少し先に下から切り込みを入れます。次に、枝が折れた後に残った部分を上から切り込み、最後に根元をキレイに切り直すやり方です。

交差枝

交差枝(からみ枝)は他の枝と絡み合って樹形を乱し、摩擦で傷つきやすいのが特徴です。

交差枝の切り戻しのポイントは、外側(木全体の外側)に向いている芽のすぐ上で切ることです。内向きの芽(幹側)のところで切ると、そこから伸びる枝が内側に入り込み、樹形を乱す原因になります。

失敗しない!切り戻し剪定を行う際の注意点

切り戻し剪定で失敗しないための注意点をまとめました。

  • アルコールなどで消毒した清潔な道具を使う
  • 植物ごとの適期に晴れた日の午前中に行う
  • 切る位置は枝の外芽か内芽か意識すること
  • 枝数を減らしたいときは不要な枝の根元から切る
  • 太い枝は複数回に分けて切り、切り口に癒合剤を塗布する
  • 切り戻し後は十分な水やりと施肥を行う

草花・多年草は花が一段落した直後や冬越し前に行うのが一般的です。落葉樹は、落葉後の休眠期(12月~2月)、常緑樹は春の新芽が動く前(3月~4月)が適期になります。

枝の外側に向かっている芽の上で切ると枝は外に広がり、内側に向かって伸びる芽の上で切ると内側に伸びることを覚えておいてほしいです。そして切るときは、芽の5~10mm上をスパッと斜めに切ってください。

以上のことに注意して行えば、切り戻し剪定で大きな失敗はないはずです。

庭のお手入れなら、スマイルガーデンへ

切り戻しを含めた剪定は、大切に育てている植物の良好な生育を促進し、花や実の数を増やすことに繋がる手入れの一つです。ただし、植物の種類ごとに実施する時期を守り、枝葉の状態に合わせた正しいやり方で行うことが必要です。

自分で切り戻しを行うことに、少しでも不安を感じたらプロに依頼することをおすすめします。庭の手入れだけでなく、植物の移植やガーデンリフォームについての相談もできます。

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まとめ

植物の切り戻し剪定は、伸びすぎた茎や葉を途中で切り詰めて、わき芽の発生を促進させる作業です。適切なタイミングに正しいやり方で行えば、植物の美しい姿や花を長く楽しむことができます。

切り戻し剪定は、外芽のすぐ上で枝の1/2〜1/3程度を目安に切るのが基本となります。

ポイントは、枝数を減らしたい場合は根元から、花数や枝数を増やしたい場合は外芽の上(外に広がる)や内芽の上(内側に伸びる)で切ることです。

目的と理想の樹形に合わせて芽の向きや切る深さを調整できれば、切り戻しは成功したといえるでしょう。