庭木の剪定の種類は多く、透かし剪定はその一つです。庭木を美しく整えるとともに、良好な生育を促すための剪定です。

自分で透かし剪定をやるときは、事前に必要な道具を準備して、正しいやり方や失敗しないためのコツを確認しておくことが大切です。

この記事では、透かし剪定の概要と行う時期の目安、作業のやり方やコツを解説します。また、透かし剪定に関するよくある質問と回答も紹介していますので参考にしてください。

透かし剪定とは?

透かし剪定は、間引き剪定とも呼ばれ、本来の自然な樹形を保つよう不要な枝を取り除く剪定です。庭木の見栄えを良くするとともに、庭木全体の陽当たりや風通しが良好になって光合成が促進されます。

混みあった枝葉が減るので、湿気がこもらず病害虫の予防に効果的です。枝がしなやかになり、雪が積もっても自然に落ちやすくなるので、枝が折れるリスクも減ります。

さらに、不要な枝に回っていた養分が残した枝や新芽に供給されるようになって、庭木全体が健康になり力強く生長します。

透かし剪定を行う時期の目安

透かし剪定を行う時期の目安は、樹種(落葉樹、常緑樹、花木)によって違ってきます。樹種ごとの目安は以下の通りです。

樹種剪定の適期代表的な品種
落葉樹12~2月アオダモ、ヤマボウシ、ハナミズキ、モクレン、エゴノキ、サルスベリなど
常緑樹4~5月、6月コニファー類、松類、シマトネリコ、ヒイラギ、ツツジ類、ツバキなど
花木花後すぐツツジ類、ツバキ、キンモクセイ、サザンカ、フジ、ミモザなど

落葉樹

冬(12~2月)が最もおすすめの時期で、葉が落ちているので枝ぶりが見やすいです。落葉樹は休眠している時期のため庭木への負担も少なくなります。

常緑樹

回復力のある春(4~5月)か初夏(6月)の時期がおすすめです。常緑樹は1年中光合成をするので、日差しが弱く温度の低い時期に剪定すると、ダメージが大きく枯れてしまう可能性があります。
落葉樹も常緑樹も、水分が蒸散しやすく日焼けも起こしやすい真夏(7~8月)は避けましょう。

花木

花が終わった直後が目安になります。多くの花木は花後すぐに翌年の花芽を作り始めるため、遅れると花芽を切ってしまうことになりかねません。

透かし剪定の基本のコツ

初めて透かし剪定をするときは、どこから手を付けていいのか迷うことが多いです。繁茂しすぎている庭木の、どの枝をどこで切ったらいいかを3つのポイントで説明します。

はじめに不要枝を全て取り除く

透かし剪定で一番大切なのは、はじめに明らかに不要な枝を全て取り除くことです。優先的に切ってほしい枝を以下にまとめました。

  • 枯れ枝や病気の枝
  • 交差してこすれている枝
  • ひょろ長く勢いだけのある徒長枝
  • 幹の中心へ内向きに伸びている枝
  • 下向きあるいは真下に垂れている枝
  • 幹から何本も束になって出ている枝を減らす

透かし剪定では、枝を「間引く」意識が大切です。同じ場所から出ている枝は、1~2本残して、他は取り除いてください。

この段階では、切るか切らないか迷ったら切るのをやめましょう。後々、切るべきかどうか分かってきます。

枝の付け根ぎりぎりの場所で切り落とす

透かし剪定は、枝の付け根ぎりぎりの場所で切り落とすのが基本ですが、この「ぎりぎり」の場所というのが、失敗しないためのポイントになります。

枝の付け根「そのもの」ではなく、枝の付け根のふくらみを残して、そのすぐ外側(枝側)で切ってください。

この付け根のふくらみのことを、「ブランチカラー」といいます。ブランチカラーは専門用語で、ブランチは枝、カラーは襟(えり)のことです。

ブランチカラー部分は、栄養が豊富で、庭木が自分で切り口を修復する組織が形成されています。ここを残すことで、切り口が腐りにくくなって、病気も入りにくくなります。

特に、太い枝ほど幹と面一(つらいち)で切るのは避けなければなりません。また、幹に食い込むように切るのは切り過ぎで、枝を長く残してしまうと切り残しになります。

太い枝を切る際は、枝の重みで途中から折れたり皮が裂けたりするのを防ぐため、三段切りで切るのが一般的です。

やり方としては、まず下から切り込みを入れ、その少し外側を上から切り落とし、最後に付け根に沿ってきれいに仕上げます。

全体のバランスを見ながら切る

透かし剪定では、全体のバランスを見ながら切ることも重要です。作業を始める前に、剪定の対象となる庭木から3mほど離れて庭木全体を眺めてください。

高さ、横幅、樹形など、おおまかなシルエットを先に決め、それに合わせて葉が密集していて黒っぽく見えるところや樹形を乱している枝を見極めます。

それから作業を開始しますが、集中しすぎると、つい切り過ぎてしまうことが多いです。枝を何本か切るごとにハサミを置いて数歩下がり、全体のシルエットを確認するようにします。

正面・横・斜めなど角度を変えて確認し、庭木を三段(上・中・下)に分けてイメージする樹形に整えられているか、左右の枝葉のボリュームに違和感がないかを意識するのがコツです。

完全な左右対称にするのが目的ではなく、日差しや風通しが庭木全体に行き渡るような形であることが重要です。

剪定すべき不要枝の種類

剪定すべき不要枝とは、日当たりや風通しを悪くし、樹形を乱す枝全般のことです。以下は、不要枝の種類と特徴です。

不要枝の種類特徴
枯れ枝完全に枯れている枝で、病害虫の温床になりやすい
徒長枝枝の途中から真上に勢いよく長く伸びる枝で折れやすく、害虫の温床になりやすい
交差(からみ)枝他の主要な枝や幹に絡みついたり、ぶつかり合ったりして伸びる枝
ふところ枝幹や太い枝の根元付近(懐)から内側に向かって伸びる弱々しい枝
下り枝水平または上向きに伸びるべき枝から、さらに下方向に垂れ下がって伸びる枝
平行枝同じ方向へ同じような太さや長さで伸びている枝で、重なり枝とも呼ばれる
ひこばえ木の根元や株元から勢いよく伸びる若枝
逆さ枝他の枝とは逆方向の幹や中心部に向かって下向きに伸びる枝
胴吹き枝幹の途中から直接生える枝で、勢いが強く樹形を乱す枝
車枝1ヶ所から何本もの枝が放射状に生える枝

透かし剪定で必ず切ってほしい枝は、枯れ枝・病害枝、庭木の内側へ伸びている内向きの枝、こすれて傷になる交差枝・平行枝、上に勢いよく伸びた細長い枝、根元や幹から突然出るひこばえ・胴吹きなどです。

状況次第で切る枝は、下向きの枝や極端に細い枝、日当たり・風通しを悪くする枝などになります。

切り過ぎは樹勢を弱めるので、一般的には、一度に切るボリュームは全体の3割程度を目安にしてください。

透かし剪定を行う前に準備する道具

実際に作業を行うときに必要な道具について、必ず準備したい道具と、あれば便利な道具を説明します。

必ず準備したい道具

剪定ばさみ

透かし剪定では最重要の道具で、細~中枝(直径1.5~2cm程度)の枝を切るときに使い、バネ付きで手が疲れにくいものがおすすめです。

剪定ノコギリ

太枝(直径2cm以上)を落とす場合に必要で、折りたたみ式が安全です。

軍手・剪定用手袋

トゲ・擦り傷防止用で手のひらがゴム加工でフィット感があるものが疲れません。

あれば便利な道具

脚立

背の高い庭木を剪定するときに必要で、足元が安定するので無理な体勢での作業が避けられます。

癒合剤(トップジンMペーストなど)

太枝を切った切り口を保護し、特にサクラなど病害虫が入りやすい樹種では必須です。
以上の他、作業後・片付け用に、ブルーシートやゴミ袋、ほうき・熊手などがあると効率的になります。

複数の庭木を剪定する場合、剪定ばさみやノコギリの刃を消毒するアルコールかクリーナーがあると、病気の伝搬を防止することができます。

透かし剪定のやり方【図解】

透かし剪定は、枝を間引くことで風通しや日当たりを良くするための作業で、不要な枝を根元近くから切り落とすのが基本です。透かし剪定のやり方を分かりやすく解説します。

①仕上がりの樹形をイメージする

作業前に仕上がりの樹形をイメージしましょう。透かし剪定では、切る作業よりも庭木を見てイメージする作業が重要です。

まず、庭木の用途を頭に置いてください。自然な樹形を目指すのか、目隠しだから下枝を残すのか、景観重視なら幹や枝ぶりの姿が中心になります。

イメージができたら、幹と主枝を骨格として見て残す枝を決めます。骨格が決まると、切る枝が自然に見えてくるからです。

主幹は1本か株立ちか、主枝は上下に重なっていないか、内向き・交差はしていないかなどを見極めてください。

次に、光と風の通り道を想像します。葉が重なっていない、風が幹まで通るなど、木の中に空間があるかを見ていきます。

作業中に、遠くや低い位置など、視点を変えて眺めてみることも大切です。3~5m離れてみる、しゃがんで見上げる、逆光でシルエットを見るなどすると樹形を崩している枝が分かってきます。

透かし剪定で多い失敗が「切りすぎ」です。一度に切るのは全体の2~3割以内にして、「まだ切れる」くらいで止めておくのが目安になります。

②不要枝を取り除く

実際の作業では、不要な枝を見つけて取り除くことから始めます。主な不要枝には、以下のようなものがあります。

  • 枯れ枝・病害枝|見栄えだけでなく、庭木の良好な生育のために切除する
  • 内向き枝|木の内側に向かって伸びる枝
  • 交差枝|他の枝とぶつかって交差している枝
  • 徒長枝|勢いよく上へ伸びすぎた枝

不要枝は、なるべく枝の付け根(元)から切り落とすのが基本です。

③長い枝を切り理想の樹形に近づける

透かし剪定では、長く伸びた枝を整理して理想の樹形に近づけるという意識も必要です。不要枝を処理した後、残った枝の中で特に長い枝や、樹形から飛び出している枝を調整します。

枝の分岐点や適切な長さの位置にある外向きの芽の上で切ります。枯れ込みにくい場所を選んで切るのが基本で、枝先を切り揃えるということはしません。

全体的なバランスを見ながら少しずつ間引きして、目的とする樹形に近づけていきます。

④細かい枝をバランスよく切り落とす

長い枝を切り終わったら、次に細かい枝をバランスよく切り落としていきます。「上から下へ」「太い枝から細い枝」の順に、風通しと日当たりが均等になるように切り落とすのが基本です。

庭木全体のシルエットを意識して、立体的に枝の配置を調整しながら、「Y字」になるように細かい枝を落としていきます。

枝分かれしている部分では、太いほうを切って細い方を残すこともあります。また、枝が三又の場所は、真ん中を切り落とすのが一般的です。

バランスを調整したいときは、枝葉の多い部分を減らし、少ない部分に合わせるようにするとキレイに仕上がります。ただし、一度に多くの枝を切ると庭木の負担になるため、無理のない範囲で切ることを心がけてください。

透かし剪定を行う際の注意点

不要な枝を間引いて、庭木の健康維持と美観向上につなげる、透かし剪定を行う際の注意点について解説します。

まず、どんな樹形にしたいか、不要枝はどれか、日当たりや風通しのための空間はあるかを事前にイメージすることが非常に重要です。

行う時期は、庭木が弱っている真夏や真冬は避けること、花木なら花後に行うなど適期を考えることも大切になります。

作業を行う際は、汚れても構わない長袖、長ズボン、手袋などを着用してください。剪定作業は、庭木の樹液や樹皮で、汚れたり擦り傷ができたりしやすいです。

実際の作業のポイントとしては、全体を見ながら上から下へ、奥から手前を意識します。また、枝の分岐点(根元)で切り落とし、枝の先端だけをちょこちょこ切るのは避けるようにします。

残す枝の形をY字にすることを心がけると見栄えがよくなりますが、間引きしすぎると庭木の負担となるので注意が必要です。一度に切るのは、枝葉全体の2~3割程度に抑えると間違いないです。

庭木の状態によっては、透かし剪定で樹勢が弱ることがあります。剪定後は、水やりを十分に行い、必要に応じて肥料を与えるようにしてください。

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透かし剪定に関するよくある質問

透かし剪定の注意点は何ですか?

作業をする前に全体のバランスを見ながら、完成したときの姿をイメージしてみることが大切です。それから、不要枝(枯れ枝・交差枝・内向き枝)を根元に沿って切ることから始め、外向きの枝を残すようにします。

樹種に合わせて剪定適期を守って、切り過ぎない(全体の2~3割)ことも覚えておいてください。剪定後は、水やりを十分に行い、必要に応じて肥料を与えるようにします。

剪定でやってはいけないことは何ですか?

剪定でやってはいけないことを下記にまとめました。

  • 切り過ぎる(一度に大量に切ると木が弱る)
  • 時期を間違えて剪定する(花芽や実がつかなくなる)
  • やみくもに太い枝を切る(樹形が乱れ、回復に時間がかかる)
  • 切り口を乱す(腐れや病気の原因になる)
  • 枯れ枝や病害枝を放置する(病気・害虫が広がる)
  • 内向き枝や交差枝を残す(日当たり・風通しが悪くなる)

透かし剪定の時期はいつですか?

落葉樹は12~2月頃の休眠期、常緑樹は春(4~5月)か初夏(6月)、花木は花後すぐに行うのが基本です。

休眠期は生長が止まっているため病気のリスクや樹勢への影響を最小限に抑えられて、新芽が出る前に剪定すると樹勢の回復が早まります。

花木は花後(多くは夏)に花芽をつけるものが多いので、花が終わってから早め(遅くとも1ヶ月以内)に剪定するのが一般的です。

剪定で枝を透かすとどうなりますか?

剪定で枝を透かすと、庭木全体の日当たりや風通しが良くなり、病害虫のリスクを下げることができます。枝葉が多すぎると風の抵抗を受けやすく、透かすことで抵抗が軽減されて被害を未然に防ぐことが可能です。

不要な枝に消費されていた養分が残すべき枝や新しい芽に効率よく行き渡り、樹形が整って見た目がきれいになるとともに、花や実がつきやすくなります。

まとめ

透かし剪定は、枝を間引いて日当たりと風通しを良くする剪定です。不要な枝を根元に沿って切ることで、樹形を整えて病害虫を防ぐ効果もあります。

剪定前に完成時の姿をイメージすること、切り過ぎに注意し、一度に切るのは全体の2~3割に抑えるのがポイントです。

これらのことを意識して、枝を短く切るのではなく混んだ枝を減らすことができれば、透かし剪定で大きな失敗はないはずです。