カイガラムシは、植物の幹や枝葉に固着して吸汁し、生長を阻害します。
寄生された植物は、正常な光合成が行えなくなって新しい枝葉の出方が悪くなり、枝枯れを起こすこともあります。カイガラムシの排泄物が原因で、「すす病」が発生することも多いです。
この記事では、カイガラムシの生態や発生原因、効果的な対策を解説します。また、カイガラムシの駆除に効果を発揮する殺虫剤・薬剤についても紹介していますので参考にしてください。

この記事で分かること

この記事では、以下のことが分かります。

  1. カイガラムシの主な種類や発生時期
  2. カイガラムシが発生する原因
  3. カイガラムシの成長過程別の駆除方法
  4. カイガラムシの駆除に効果的な殺虫剤や農薬
  5. カイガラムシを発生させないための予防対策

カイガラムシとは?

カイガラムシの生態を知っておくことは、効果的に駆除を行うための基本になります。カイガラムシの種類、発生時期、つきやすい植物について説明します。

カイガラムシの主な種類

カイガラムシにはいろいろな種類があり、日本だけでも400種以上が存在していると言われます。

大きく分けると硬殻系、軟殻系、ロウ物質系の3タイプに分かれます。

①硬殻系(マルカイガラムシ類)

貝殻やワックス状の硬い殻を体に被っているタイプで、体長1.5~2.5mmほどの小さな貝殻や粒のような姿をしています。成虫のメスには足がなく、一度寄生すると移動せずに樹液を吸います。

樹液を吸われることで植物が衰弱し、枝枯れなどを引き起こします。なお、他のカイガラムシとは異なり排泄物(甘露)を出さないため、「すす病」を誘発しないのが特徴です。

  • アカマルカイガラムシ(体長2〜2.5mm)
    柑橘類などに多く発生し、赤褐色で丸い殻を持つ。排泄物を出さないためすす病は併発しない。
  • ナシマルカイガラムシ(体長1.5~2mm)
    茶褐色~灰色の小さな円形の殻をかぶり、果樹や庭木に寄生

②軟殻系(カタカイガラムシ類)

比較的柔らかい殻を持つタイプですが、多くの種類は成虫になると脚が退化し、枝葉に固着して移動できなくなります。体長は種類によって異なりますが、約2~10mmと硬殻系よりも大きめです。

成虫になると薬剤が効きにくく、排泄物による「すす病」を誘発します。成虫の駆除は歯ブラシやヘラなどで直接こすり落としたり、被害のある枝葉を剪定したりするのが効果的です。

  • カタカイガラムシ(体長2〜10mm)
    庭木や観葉植物に広く発生する。成虫になると脚が退化し、移動しなくなる種類が多い。
  • ツノロウムシ(体長6〜9mm)
    厚い白〜ワックス状のロウ物質をまとい、角(つの)のような突起がある。成虫は薬剤を弾くため、冬の油剤か夏の幼虫期に駆除する。
  • ルビーロウカイガラムシ(体長3〜5mm)
    赤茶色くツヤのあるドーム状のロウ物質に覆われている。潰したときに出る赤い体液に触れると、人によってはアレルギー反応を引き起こすことがある。

③粉・綿毛系(コナカイガラムシ科)

ロウ(蝋)やワックスで体を覆うタイプのカイガラムシで、体長は約1.5~5mmです。

成虫は厚いロウ物質がバリアとなって薬剤を弾くため殺虫剤が効きにくく、ふ化直後の幼虫を狙って薬剤散布をしないと駆除できません。

  • コナカイガラムシ(体長1.5mm〜5mm)
    体全体が白い粉状・綿状の分泌物で覆われている。成虫になっても移動できる種類が多く、観葉植物や多肉植物で特に発生しやすい

それぞれの見た目や駆除方法が違うため、対策には種類を見分けることが大切です。

カイガラムシの発生時期

カイガラムシは雌雄で姿形が全く異なり、植物に寄生して樹液を吸うのはメスです。オスはハエや蚊に似た姿で飛び回り、メスを探して交尾をしますが、カイガラムシの多くの種類はメスだけでも卵を産んで繁殖する特性を持っています。

幼虫がふ化して活発に動き回る発生時期は、種類にもよりますが主に5月~7月頃です。この幼虫の時期が、薬剤駆除の最も適したタイミングとなります。

カイガラムシがつきやすい植物

カイガラムシは、さまざまな植物につきますが、特にみかんやレモンなどの柑橘系の樹木に付きやすいです。葉や枝、果実に付いて吸汁します。
その他、ナンテン、ビワ、カキ、ツバキなどにも付きます。
カイガラムシは、風通しが悪く湿度が高い場所で発生しやすく、新梢や新葉の出方が悪くなります。樹木は適切に剪定を行い、常に風通しの良い状態しておくと、カイガラムシは付きにくいです。

カイガラムシが発生する原因

カイガラムシは種類が多く、成長周期によって形態も違うため対処の難しい害虫ですが、代表的な発生原因と対策、予防に効く薬剤について紹介します。これだけ覚えておけば、大きな失敗はないはずです。

繫殖によるもの

カイガラムシは、温暖・多湿な環境下で急激に繁殖します。通常は、温暖な時期(5~7月)が繁殖のピークですが、室内では一年中繁殖します。
雌だけで繁殖する種が多く、一度に数百の卵を産むことがあり、1匹でもいればあっという間に増殖するのが特徴です。

風による媒介

カイガラムシの成虫は動かず固着していますが、生まれて間もない幼虫は活発に動き回ります。この小さくて軽い幼虫が風による媒介(飛散)で、周辺の植物から飛ばされてきます。
窓を開けて換気する際、風に乗って飛んできた幼虫がベランダや室内で育てている観葉植物に付着することがあるので注意が必要です。

人の衣類などに付着して侵入

外出先(公園、庭、散歩中など)で、風に乗ってきたカイガラムシの幼虫が衣服、バッグ、帽子などに付着し、そのまま室内に持ち込まれて観葉植物に寄生するケースも多いです。
庭木の手入れや外出後は衣服をよく払い、洗濯物は取り込む前に虫がついていないか確認することが大切です。

カイガラムシの成長過程別の駆除方法

カイガラムシを駆除する時は、成虫の殻や分泌液、殺虫剤が体に付着するのを防ぐために、長袖・長ズボン・軍手などの着用を徹底しましょう。また、薬剤の吸引を防ぐマスクや薬剤から目を守るための防護メガネの着用も推奨します。

カイガラムシの成虫は殺虫剤が効きにくく、最も効果的な駆除方法は物理的にこすり落とすことです。歯ブラシやヘラなどを使って、樹皮を傷つけないように注意しながらこすり落としましょう。

カイガラムシの卵を駆除する

カイガラムシは成虫になると殺虫剤が効かなくなることが多いため、幼虫のうちに駆除することが大切です。カイガラムシの幼虫駆除は、幼虫が発生する5~7月に、1週間に1回程度の頻度で行うのが効果的です。

農薬を使いたくない場合は、木酢液を使用する方法もあります。木酢液には虫の忌避効果や植物を健康にする作用があるため、カイガラムシの予防に役立ちます。原液では強すぎるため、水で100倍~500倍に薄め、希釈した木酢液をスプレーボトルに入れて、カイガラムシに向かって吹きかけましょう。

カイガラムシの幼虫を駆除する

カイガラムシは、卵や成虫のように殻で覆われていない幼虫のときが一番駆除しやすいです。カイガラムシの幼虫の駆除で、よくある方法を3つ紹介します。

  • 殺虫剤で駆除する
    直接散布であればスミチオン、土に撒くタイプならオルトランがおすすめです。用法・用量さえ守れば、植物へのダメージは最低限で効果を発揮します。
  • 牛乳やマシン脂で駆除する
    薬剤を使いたくないという方は、スプレーボトルなどを使って牛乳やマシン油を吹き付けましょう。牛乳やマシン油が膜となってカイガラムシを覆い窒息させて駆除します。
  • 木酢液で駆除する
    木酢液は、炭を作る際に出る水蒸気を冷やして液体にしたもので、原液ではなく希釈してスプレー散布します。自然由来の成分ですが、殺虫効果の評価は高いです。

カイガラムシの成虫を駆除する

カイガラムシの成虫は、硬い殻で覆われているので殺虫剤は効きません。歯ブラシなどを使って、植物から擦り落とすしかないです。
カイガラムシの成虫はしっかりと植物に固着していることが多いので、かための歯ブラシで取れてこないときはヘラなどでこすってみてください。
とにかく擦って駆除するときのポイントは、植物をいかに傷つけないようにするかです。擦りながら、もう一方の手は枝葉に添えてサポートしましょう。

カイガラムシの駆除におすすめの殺虫剤・農薬

カイガラムシに殺虫剤や農薬を散布する場合は、幼虫の時期に行うのが一般的です。成虫は、ロウ状の物質で覆われていたり、硬い殻を背負っていたりして散布しても付着しにくいからです。

カイガラムシの駆除におすすめの殺虫剤・農薬を5種類紹介します。

  • マシン油乳剤
  • カイガラムシエアゾール
  • ベニカXファインスプレー
  • 家庭園芸用スミチオン乳剤
  • オルトランDX粒剤

カイガラムシを発生させないための対策

カイガラムシの発生を予防するためには、庭木の消毒が効果的です。庭木の消毒はスミチオン乳剤、オルトラン水和剤、アクテリック乳剤などの殺虫剤や、STダコニール1000などの殺菌剤を希釈して、スプレーボトルや噴霧器で散布して行います。

カイガラムシ対策としての消毒なら、オルトラン水和剤やアクテリック乳剤がおすすめです。

農薬を扱う庭木消毒は非常に危険な作業です。薬剤の取り扱いに慣れていない場合は、人体に危険を及ぼしたり、重大な事故を引き起こしたりするリスクがあります。庭木の消毒は、プロの業者に依頼するのがおすすめです。

カイガラムシの防除に効果的な薬剤

カイガラムシに効くと評価が高く、一般の方にも使いやすい薬剤を5つ紹介しますので参考にしてください。

  • マシン油乳剤(キング95マシン)
    マシン油乳剤(キング95マシン)は、通常の薬剤では駆除が難しいカイガラムシ類の成虫やハダニ類に効果を発揮する薬剤です。害虫を油膜で覆い窒息死させて駆除します。
  • カダンK
    カダンKは、油膜でカイガラムシを覆うことで駆除するスプレータイプの専用薬です。特にバラに発生することが多いシロカイガラムシへの効果が高いです。ただ最高気温が20℃を超えると枝葉焼けが起きるので使用できません。
  • GFオルトラン液剤
    GFオルトラン液剤は葉や根から吸収され、植物全体にゆきわたり効果が持続する優れた移行性殺虫剤であり、広範囲の害虫に対して効果を発揮する害虫防除薬です。
  • スミチオン乳剤
    スミチオン乳剤は、害虫が薬剤に触れたり薬剤が付着した植物を食べたりすることによって効果を発揮する薬剤で、植物内に侵入した害虫にも有効とされます。
  • トレボン乳剤
    トレボン乳剤は、人や動物に優しいとされる低毒性の殺虫剤です。速効性と残効性に優れ、水稲、野菜、花き類、樹木類など幅広い植物で使用可能です。

カイガラムシに関するFAQ

カイガラムシを放置するとどうなりますか?

カイガラムシは植物の汁を吸って栄養を奪います。葉が黄色くなったり、新芽が出なくなったりして、最終的に枯れてしまうこともあります。
「甘露(かんろ)」という排泄物を出し、これを栄養にした黒いカビが発生して、すす病を引き起こすので注意が必要です。すす病が発生すると、葉や枝が黒く汚れて見栄えが悪くなるだけでなく、光合成ができなくなって生育不良を起こします。

カイガラムシは人体に影響しますか?

カイガラムシを素手で触ってしまっても、基本的に人体への影響はありません。

ただし、ねばねばとした体液を持つルビーロウカイガラムシなど、体液に触れるとアレルギー症状を引き起こすものもあります。カイガラムシの駆除をする時には軍手などを着用し、万が一素手で触ってしまって肌が痒くなったり赤くなったりした場合は、流水でしっかり洗い流しましょう。

症状が長引く場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。

カイガラムシ駆除はスマイルガーデンにお任せください

カイガラムシの駆除は、薬剤が成虫には効きにくいこともあり、数が少なければ歯ブラシなどでこすり取る物理的な方法が効果的です。
しかし、害虫は見るのも近づくのも無理という方は多く、まだ大丈夫と放置して大量発生させてしまうことも少なくありません。そういうときに頼りになるのがスマイルガーデンです。
スマイルガーデンの経験豊富なスタッフが、発生状況を丁寧に確認し、植物や環境に配慮した最適な方法でしっかり駆除します。再発防止のアドバイスや定期管理のご提案も可能です。
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まとめ

カイガラムシは、比較的よく目にするうえに、駆除に手間がかかる厄介な害虫です。
発生を避けるために、風通しが悪く湿度が高い環境になっていないか、日ごろからチェックすることをおすすめします。そして、植物の状態をこまめに観察して、カイガラムシが発生していないか確認しましょう。
もし、発生していたら、歯ブラシでこすり落とすか枝ごと剪定します。それが無理なほど増えている場合は、適切な殺虫剤で早めに駆除することが被害を大きくさせないためのポイントです。