春の訪れとともに庭木や草花は色づき楽しませてくれますが、同じ時期から悩みの種になるのが雑草です。毎年の雑草対策を何とか楽にできないかと考える方は多いでしょう。
この雑草対策の代表格が「防草シート」です。防草シートは土の上に敷くことで日光を遮断して雑草の生長を抑えるのですが、正しい敷き方をしないと思うような効果を得られません。
この記事では、防草シートのデメリットとされていることと対策、正しい敷き方、防草効果をさらに高める砂利敷きとの併用などについて解説します。
防草シートとは?

防草シートは、地面に敷くことで雑草の光合成を遮断し、生育を抑制するシートです。
素材はポリエチレンやポリプロピレンなどの合成繊維です。
草取りや草刈りの手間を大幅に減らすことができ、庭や駐車場など、さまざまな場所で利用されています。ほとんどの防草シートには透水性があり雨水を下へ通すため、水たまりができにくく、泥はねやぬかるみ防止にもなります。
防草シートを選ぶ際は、以下のポイントをチェックしてください。
- 遮光率|日光などの可視光線を遮る割合を示す数値
- 透水性|水を透過させる性能の高低(遮水タイプもあり)
- 耐久性|使用する場所や期間にあった耐用年数のもの
- 貫通抵抗力|雑草が突き抜ける度合い(織布と不織布)
織布と不織布とは、防草シートの繊維の構造の違いで、不織布のほうが繊維のすき間が小さいため雑草は突き抜けにくいです。
一般的に、性能が高く、耐用年数が長いものほど価格は高くなります。防草シートを使用したい場所や期間と価格とを検討し、費用対効果を考えて選ぶ必要があります。
防草シートを敷くデメリットと対策

防草シートは、敷く場所に適したシートを正しく敷くことで優れた防草効果を発揮します。予備知識なしで防草シートを敷いてしまい、思った効果が得られず、デメリットと感じられる方もいらっしゃるようです。
防草シートを敷くデメリットとされていることと、その対策を説明しますので参考にしてください。
敷く場所に適したシートを敷かないとすぐに劣化してしまう
防草シートは、敷く場所に適したシートを敷かないと劣化を早めてしまいます。注意したい敷く場所の条件としては、陽当たりが強い、水はけが悪い、強雑草が多いなどが挙げられます。
それぞれの条件に合わせた防草シートについて説明します。
- 陽当たりが強い
陽当たりが強い場所では、紫外線や熱に強い素材であるポリエステルの不織布シートを選びましょう。素材だけでなく、シートが厚めであること、耐UV加工しているなども対策として有効です。 - 水はけが悪い
水はけが悪い場合は、シートを敷く前に地面を整備することが必要です。整地して穏やかな勾配をつけて水を流せるようにしたり、真砂土やクラッシャーなどと土壌を入れ替えたりします。 - 強雑草が多い
強雑草とは、スギナやドクダミ、チガヤなど地下茎や根茎で増殖する繁殖力の強い雑草のことです。ススキやヨシのような葉先が尖った雑草も要注意です。これらの雑草が多い場所では、特に貫通抵抗力が強いシートを選んでください。
正しく施工しないと十分な効果が発揮されない
防草シートの施工で特に注意したいのが、下地処理は適切に行うこと、シートを敷くときは「すき間をつくらないこと」の2点です。
防草シートを敷く前の下地処理は、防草効果の維持とシートの劣化を早めないため、とても重要です。地面の整地が不十分で凸凹があると、風でシートがバタついて固定ピンの穴が広がったり、シートが擦れて傷んだりしやすくなります。
雑草の根や石が地面に残っていると、それが原因でシートが破れ、そこから雑草が生えてくることもあります。下地処理は確実に行いましょう。
生命力旺盛な雑草は、わずかな光や水分だけで発芽し生長します。そのため、防草シートのすき間や合わせ部分から雑草が生えてきたり、風でめくれたりして本来の効果を発揮できないことがあります。
防草シートを敷くときは、シート同士の重ね部分を10㎝以上にするのがおすすめです。
また、壁や構造物などにあたる端部は少し折り上げるなどして、すき間をつくらないように施工することが大切です。
耐用年数を過ぎた防草シートは処分・交換が必要
防草シートの耐用年数は、素材や施工法で異なりますが、一般的に安価な織布タイプは3~5年程度、不織布タイプや高耐久な織布タイプは10~20年程度の長期にわたるものまで、製品によって幅があります。
耐用年数を過ぎた防草シートは効果が低下したり、景観や土壌に悪影響を及ぼしたりするため、処分か交換が必要になります。新しい防草シートと交換するときも、古い防草シートは処分しなければなりません。
防草シートを処分するときは、剥がすときに付いている土や砂を取り除き、固定ピンは必ず取り外して分別することが必要です。
家庭で使用した防草シートは、細かく裁断して「可燃ごみ」または「不燃ごみ」として出すか、粗大ごみとして処分します。素材によって燃えるごみか不燃ごみかが変わります。
防草シートの素材、一度に処分できる量、詳しい分別方法などは自治体によって大きく違ってくるため、必ず住んでいる地域の自治体のルールに従ってください。
事業用で発生した場合は、「産業廃棄物」の扱いになるため、産業廃棄物処理業者に依頼して処分します。
お庭の景観が損なわれてしまう
防草シートは、一般的に黒や暗い緑色なのでデザイン性が低く、そのまま敷いただけではお庭の景観が損なわれてしまいます。防草シート敷設後のお庭の景観を改善するための対策を以下にまとめました。
- 化粧砂利を敷く
防草シートの上に、お庭の雰囲気に合った化粧砂利を敷くと、見た目が向上するだけでなくシートの耐久性を向上させます。砂利が紫外線や風を防ぎ、重みによってシートの安定性も高めるからです。 - 人工芝を敷く
一年を通して緑鮮やかな人工芝を楽しむことができるため、景観は大きく向上します。 - 植物を植える
防草シートに穴を開け、庭木や草花を植えれば見栄えは格段に良くなり、グランドカバーならシートを覆い隠すことも可能です。
防草シートを敷設したままの施工を「暴露施工」といいます。暴露施工はシートが紫外線や風雨の影響を直接受けるので、シートの上に何かを敷くことは、景観を高めるだけでなく劣化を遅らせる効果もあります。
地面の状態によっては虫が湧いてしまう
防草シート下の地面の水はけが悪かったり、枯れ草などの有機物が溜まっていたりすると、シートが湿った暗い環境をつくりだすため虫が湧いてしまいます。
暗く湿った環境を好む虫は、シートの下のわずかなすき間に入り込んでくるのが特徴です。完全に取り除かれずに残っている雑草や枯れ草、落ち葉などが腐ったものをエサにします。
虫の発生を防ぐためには、丁寧に下地盤の整地を行って水の溜まりができないようにして、雑草や枯れ葉、石などは確実に取り除くことが大切です。また、防草シート敷設時には、シートが下地と密着するように固定して、虫が入り込むすき間を減らすことも必要です。
防草シートは、できる限りでいいので、水はけがよくて適度に陽当たりのある場所を選んで敷かれることをおすすめします。
防草シートの下に発生しやすい虫の種類
防草シートの下に発生しやすい虫は、湿気や暗がりを好むダンゴムシ、ナメクジ、ミミズ、ムカデ、ハサミムシなどです。それぞれの特徴を紹介します。
| ダンゴムシ | 夜行性の節足動物で、湿った場所を好み落ち葉や枯れ葉の下で生息 |
|---|---|
| ナメクジ | 体長4~7㎝の軟体動物で野菜や落ち葉、虫の死骸も食べる雑食性の生物 |
| ミミズ | 目のない紐状の動物で土の中の有機物を食べ排泄物は土壌を豊かにする |
| ムカデ | 多足類の節足動物で湿気を好み夜行性でゴキブリやクモ、ミミズなどをエサにする |
| ハサミムシ | ハサミ状の腹部末端を持つ昆虫で夜行性、ダンゴムシやガの幼虫を捕食する |
これらの虫は、防草シート自体が原因ではなく、下地の土壌の状態により発生します。防草シートを敷く前に、これらの生物が住みにくい環境をつくることが最も効果的な対策です。
防草シートを敷くメリット

日光を遮断することで雑草の光合成を妨げ、発芽と生長を根本から抑制する防草シートを敷くことで得られるメリットについて紹介します。
長期的な雑草抑制効果
草刈りをしても、薬剤を使っても、雑草を抑制できる期間は数か月間と限定的です。しかし、防草シートを使えば耐用年数の期間、安価なものでも3~5年、高品質のものであれば10~20年という長期にわたる雑草抑制効果があります。
ただし、過湿な土壌の改良、敷く場所にあったシート選び、適切な手順での設置などは必要になります。
作業時間の大幅削減
草取りや草刈りは、対象範囲の広さにもよりますが重労働であることは間違いないです。同じような体勢を続けるので、体に大きな負担になります。
特に、夏場の暑い時期の作業は大変ですが、最近の気候変動の影響で暑い夏は長くなる傾向にあります。真夏の炎天下では熱中症対策が必要になり、さらに負担感は増すばかりです。
防草シートを敷くことで、これらの作業時間を大幅に削減できます。
経済的に整地できる
雑草対策から解放されたいと、コンクリートやインターロッキング、石張りにする場合、初期費用は高額になります。ちょっとしたすき間や目地から雑草が生えてくることもよくあることです。
ライフスタイルが変わってリフォームをする場合も、かなりの費用と時間がかかります。
防草シートであれば、比較的容易にリセットして整地することが可能です。
防草シートの正しい敷き方

防草シートの機能を十分に発揮させるためには、防草シートを正しく敷くことが最重要です。そうしないと、シートにすき間、破れ、めくれ上がりなどができて、そこから雑草が生えてくる可能性があります。
防草シートの正しい敷き方をステップ形式で解説します。
ステップ1:下地となる場所を整地する
まず、対象範囲の除草が必要です。この場合、「草刈り」ではなく、根から除去する「草取り」をするのが一般的です。
草刈り後に、除草剤を散布するなら、効果が現れる数日から一週間程度の猶予期間が必要です。
除草の際は、石やゴミなどがあれば取り除いてください。地面に石や尖っているものが残っていると、シートを破ったり傷つけたりする原因になります。
次に、地面を平坦にする整地を行います。地面に凸凹があると、シートとのすき間から雑草の種子が入り込みやすくなり、固定ピンの効きが悪くなってめくれやすくなるからです。
地面が凸凹していると、設置後のシートが波打って見えて、見栄えもよくありません。
整地をするときに注意したいのが、雨水が溜まらないように自然な水勾配をつけることです。特に水はけが悪い土壌では、表面水が排水設備に向かうような勾配を考えることが必要になります。
異物を取り除き、地面を平坦に整地することは、防草シートの機能を発揮させて耐久性を高めることに繋がります。
ステップ2:防草シートを敷設する
防草シートは、風にあおられないように少しずつ広げながら敷きます。シートを広げたら、端部は仮留めすると作業がしやすいです。
複数のシートを並べて敷く場合は、重ね合わせ部分を10㎝以上はつくり、必要に応じて専用テープで留めてズレないようにしてください。
壁際では、シートを5~10㎝ほど折り上げて壁に密着させ、すき間ができないようにします。柱や植栽などはシートに切れ込みをいれて通し、周囲を密着させるようにしながら余分な部分を切り取ります。
シートのカットは、シート同士でも壁や柱に対しても、ぴったり合わせて切るのではなく少し余裕をもって切るのがコツです。余裕部分をつくってカットすることで、すき間のない施工ができるようなります。
繁殖力旺盛な雑草は、わずかなすき間から入る日光や水分で発芽し生育します。できる限り「すき間をつくらないこと」が雑草を抑制する最大のポイントになります。
ステップ3:固定ピンでシートを固定する
防草シートの固定ピンには、風の侵入防止、風によるバタつきやめくれの防止、シート下の土の中に埋もれている雑草の種子の発芽によるしシートの持ち上げ防止などの働きがあります。
その他、壁、柱などの周りは、シートがズレたりヨレ足りしやすいので固定ピンで留めるのが効果的です。
固定ピンで、よく使われるのが長さ15~20㎝のピンで、太さは3~4mmのものが多いです。ピンの形状は、U字やコの字と呼ばれるものが主流となっています。
固定ピンを使う際、ワッシャー(押さえ板)を併用すると固定効果が格段にアップします。地面との密着度が高まり、優れた雑草抑制効果を発揮します。
材質には、プラスチック、鉄、ステンレスなどがあり、地面の硬さや耐用年数、価格などを検討して選びますが、一番使われているのはメッキ加工した鉄製ピンです。
ピンの使用本数は、1㎡当たり、4~5本が基本です。シートが1m幅か2mかで打ち込みパターンは変わってきますが、シートの端は50㎝間隔、中央部分は100㎝間隔というのが目安となります。
ステップ4:専用テープで仕上げる
防草シートを敷いて固定ピンで留め、地面と密着していることを確認したら、シートの端部を専用テープでしっかりと固定して仕上げます。
防草シートを設置していると、すき間ができやすい部分がどうしてもでてきます。シートの切り込み部、継ぎ目部、端部などです。
そういうとき使うのも防草シート専用テープです。専用テープを使うとそうでないとでは、雑草の発生具合に大きな違いがあります。
シート同士の重ね合わせ部分も専用テープで固定してください。壁や構造物との際の部分もすき間ができやすいので、テープで留めると密着度が格段に違います。
専用テープを選ぶときは、テープの耐用年数をシートの耐用年数と合わせましょう。シートの耐用年数が長くても、テープが劣化していると、そこから雑草が生えてくる可能性があります。
防草シートと砂利を組み合わせて使用する場合

お庭に砂利を敷いて雑草対策をする場合、防草シートを組み合わせるかどうかで防草効果やシートの耐久性に大きな違いがでます。砂利の種類を選べば、庭をおしゃれに見せることも可能です。
防草シートのあるなしで、砂利敷きにどのような違いがあるのかを説明します。
防草シートなしで砂利敷きする
防草シートなしで砂利敷きするということは、その分の材料費や施工費が不要になるということです。防草シートは、合成繊維でありプラスチック製品なので、環境負荷を軽減することにもなります。
しかし、砂利のみの場合は種子が直接土壌に届きやすく、シートがある場合と比べると陽当たりや雨水なども通しやすいので雑草の発生リスクが高まります。
人の通行や風雨の影響も受けやすく、砂利の沈み込みにも注意が必要です。
防草シートありで砂利敷きする
防草シートありで砂利敷きすると、砂利だけでは届きやすい紫外線を遮断するので、シートと砂利の相乗効果で雑草発生の抑止力が強まります。
砂利にはさまざまな種類があり、お庭や外構にあったものを選べば景観の向上が可能です。また、紫外線削減によるシートの劣化軽減、ぬかるみや砂利の沈み込みの防止にも繋がります。
砂利の間のわずかな土砂から雑草が生えてくることがありますが、シートがあるため根が浅くなるので草取りも楽です。
防草シート・砂利敷きはプロへ依頼がおすすめ

防草シートの敷設や砂利敷きをプロへ依頼すると、施工にかかる手間と時間を大幅に省くことができて仕上がりもきれいです。
防草シート・砂利敷きの防草効果を長く持続させるには、施工の正確さが最大のポイントです。費用はかかってもメンテナンスのことを考えたら、経済的であるといえます。
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まとめ

雑草対策を何とか楽にしたいという方にとって、防草シートは強力なアイテムです。
ただし、防草シートの効果を最大限に発揮させるためには、デメリットとされていることと対策を理解しておくことが必要です。
デメリットの対策が事前にわかっていれば、施工前の不安は薄れて大きな失敗もなくなります。
防草シートと砂利敷きを組み合わせることで、相乗的に防草効果が高まり、シートの劣化を軽減させることも覚えておいてほしいです。













