重曹は、「炭酸水素ナトリウム」という白い粉末で、弱アルカリ性の性質を持ちます。「ベーキングソーダ」とも呼ばれ、お菓子づくり(ふくらし粉)や掃除、消臭など、さまざまな用途で活用されている素材です。
植物の老化を促す「活性酸素」や「エチレン」を発生させるとともに、水分の蒸散を促進して脱水し雑草の生長を抑制する効果があるため、人や環境に優しい「除草剤」として注目されているアイテムでもあります。
重曹の除草効果の有効性や効果的な使用方法について紹介しますので参考にしてください。

重曹に除草効果はある?

重曹は、正しいやり方で使えば除草効果はあります。ただし、化学合成された市販の除草剤と比較すると効果は限定的で、根までしっかり枯らすのは難しいです。
即効性や強力な除草効果はありませんが、安全性を重視したい家庭や他の作物に影響を与えたくない場所で使うのにおすすめです。
重曹が植物の細胞に付着すると、浸透圧により葉の気功が開いて水分を蒸発させ、植物は乾燥して枯死に向います。また、重曹は、植物の老化を進める「活性酸素」や「エチレン」を発生させるため細胞の壊死を早めます。
重曹を除草剤として使用する際は、適切な濃度で薄めた重曹水をつくり、雑草が小さいうち(草丈10~30㎝程度)に散布するのが効果的です。重曹が植物に浸透しやすくなるように、雑草を傷つけてから撒布するとさらに効果を高めます。
重曹水による除草を頻繁に繰り返すと、土壌がアルカリ性になり、他の植物の生育に影響を与えることがあるので注意が必要です。散布時は、周囲の植物にかからないよう撒く範囲にも気をつけてください。

重曹を使って除草するメリット

私たちの生活のさまざまなシーンで活用されている重曹を使った除草は、コストパフォーマンスが良く、人や環境にも優しいです。重曹を使って除草するメリットについて説明します。

安価で手軽に入手できる

重曹は、スーパーやドラッグストアで、1~2㎏なら数百円で購入できます。重曹は水に薄めて使用するので、この量でもかなりの範囲や回数を散布できますが、市販の除草剤では数倍の費用が必要です。
一般的に重曹は食品用と掃除用に分けられますが、違いは純度です。食品用は99%前後の高純度で口に入れても安全であり、掃除用は95%~98%と純度は低めになります。
食品用は、主にお菓子を膨らませる膨張剤(ベーキングパウダーの主成分)として使われます。掃除用は弱アルカリ性であることを利用して、油汚れや皮脂汚れなどの酸性汚れを中和させるのが特徴です。
入浴剤や消臭剤、胃酸を中和する目的で、胃腸薬としても使われます。さまざまな用途で生活に活用できるため、重曹を常備しているご家庭も多いのではないでしょうか。
このような重曹を雑草対策に使うことができるという点も、手軽に利用できるとされる要因の一つです。

特定の雑草のみにアプローチできる

重曹の除草では、枯らしたい雑草に傷をつけ、その傷口に重曹水を散布することで枯らします。庭に雑草が生い繁って枯らしたくない草花と混じっている場合、枯らしたい雑草にのみ傷をつけることで、特定の雑草のみにアプローチすることが可能です。
重曹は農薬取締法上の「特定農薬」に指定されており、有機栽培などでも使用が認められている安全性の高いもので、普通に散布すれば植物には害がありません。
浸透力の強い除草剤では、枯らしたくない植物にかかると、そのまま枯らしてしまうことがあります。「傷をつける」という手間は必要ですが、重曹水の浸透力の低さは、メリットにもなりうるということです。

人体や環境への悪影響が少ない

除草剤と比較して効果が限定的なのに、重曹での除草が行われる理由の一つに、人体や環境への悪影響が少ないことが挙げられます。
重曹は食品にも使われる成分のため、人やペットなどに害はありませんが、長時間素手で触れていると肌荒れを起こすことがあります。使用する際はビニール手袋やゴム手袋の着用が必要です。
重曹が土壌や水に入ると自然に分解されて、ナトリウム、炭酸ガス、水などに変化するので、化学合成された除草剤よりも環境負荷は低いです。ただし、大量に使いすぎると土壌のpHバランスを崩す可能性があるので注意してください。

重曹を使って除草するデメリット

重曹を使って除草することには、さまざまなメリットがありますが、知っておくべきデメリットもあります。事前にデメリットを把握しておくことは、失敗を未然に防ぎ、重曹による効果的な雑草対策に繋がります。

除草剤と比べると除草力が劣る

重曹を使って除草するデメリットの一つが、除草剤と比べると除草力が劣る点です。除草剤は、雑草を枯らすために化学成分を合成してつくられたものが多く、浸透力、即効性ともに優れています。
除草剤と重曹の購入判断のポイントは、安全性・環境負荷、効果の即効性・持続性、使用場所・範囲の3点です。
たとえば、人やペット、環境への影響を最小限にすることを重視するなら重曹を使用して、広範囲の雑草を短時間で枯らしたい場合は除草剤を使用するのが合理的です。
重曹と除草剤の併用も検討の価値があります。人やペットが頻繁に出入りする庭や玄関周りは重曹で、駐車場や空き地には除草剤を散布するなどの併用です。

塩害のリスクがある

重曹の主成分である炭酸水素ナトリウムは、食塩(塩化ナトリウム)とは異なります。しかし、ナトリウムの含有量が多く、食塩相当量も高いため塩害のリスクに注意が必要です。
食塩のナトリウムの含有量は約39.3%ですが、重曹の炭酸水素ナトリウムのナトリウム含有量は約69g/100gとなり、より多くのナトリウムを含んでいます。
重曹を庭に散布することで土壌中にナトリウムイオンが残留し、これが過剰に蓄積されて塩害を引き起こすのです。適量を守り、広範囲に散布しないようにすることでリスクを軽減できます。
塩分濃度が増加すると、植物の気孔が開きっぱなしになり水分が過度に蒸発し、土壌中の微生物の活動も抑制されます。
安全に使用するには、1㎡あたり100~150g程度の重曹が目安とされています。この程度の量であれば過剰に蓄積されることはないはずです。
短期間で頻繁に撒くと塩害のリスクが高まるため、散布する頻度にも留意が必要になります。

皮膚に付着すると肌荒れを引き起こす

重曹は弱アルカリ性なので、皮膚表面の弱酸性の皮脂を中和・分解する作用があります。
短時間であれば問題ないのですが、長時間触れていると皮膚のタンパク質や皮脂が過剰に分解されます。その結果、肌のバリア機能に影響を与え、肌荒れや乾燥を引き起こすのです。
肌を保護するため、ゴムかビニールの手袋の着用が欠かせません。特に、日頃から肌の弱い方や敏感肌の方は、短時間の使用であっても注意が必要です。
重曹が目に入った場合は、すぐに大量の水で15分以上洗い流し、眼科医の診察を受けてください。

広範囲の除草には不向き

重曹は広範囲の除草には不向きです。主な理由は、手間がかかることと効果が限定的であることです。
広範囲を除草するためには、雑草の葉や茎に傷をつけるという意味合いで、草刈りをしてから散布する必要があります。
その後、ジョウロなどの散布器を使って何往復もして散布しなければなりません。対象となる除草範囲の面積にもよりますが、家庭用のジョウロで広範囲の散布をするのは現実的とはいえません。
高圧洗浄機などを使う方法もありますが、家庭用の設備では限界があるでしょう。
また、根深い雑草の根を枯らすのは難しく、効果も一時的なものになりがちです。重曹による塩害のリスクが広範囲に及んでしまうことにもなります。
広範囲の除草には、除草剤の使用や防草シートの敷設などの方法が効果的です。

重曹を使った除草のやり方

重曹を使った除草は、重曹を適切な濃度で薄めてつくった重曹水を雑草に散布するのが一般的です。ただし、重曹水をただ撒くだけでは効果はありません。
正しい重曹を使った除草のやり方をステップ形式で説明します。

STEP1:濃度10%の重曹水を作る

まず、濃度10%程度の重曹水を作ります。目安は、水1Lに重曹100g程度です。
用意するものは、重曹100g程度、水1L、ジョウロです。ジョウロに水1Lを入れたら用意した適量の重曹を混ぜて攪拌します。
肌が敏感な方は、直接重曹には触れずに、使い捨ての手袋を使いましょう。攪拌にはスプーンなどを使ってください。
「濃度が高ければ、より効果的だ」と濃い目に作る方がいますが、土壌や他の植物への影響を考えるとおすすめできません。使用に慣れるまでは、薄めの濃度から始めるようにするのが無難です。

STEP2:雑草の表面に傷をつける

次に、雑草の葉や茎の表面に傷をつけます。傷をつけることで、傷口から重曹の成分が雑草内部に効率よく浸透し、雑草を枯死させる作用を促進することができるからです。
傷のつけ方には、以下の方法があります。

  • 鎌やハサミで切る
    雑草の茎や葉を鎌やハサミで切って切り口を作ります。特に太い茎や根元部分に傷をつけると効果的です。
  • スコップで削る
    地面に生えている雑草をスコップで軽く削るようにして傷をつけます。
  • 踏みつける
    広い範囲の雑草の場合は、作業前に足で踏みつけたり歩き回ったりして葉や茎にダメージを与えるのも有効です。
  • 高圧洗浄機で噴射する
    重曹水を高圧で噴射することで、雑草に傷をつけながら同時に散布することが可能です。

傷のつけ方としては、鎌やハサミで切るのが一番確実な方法ですが、除草したい範囲の面積に応じて適宜選んでください。

STEP3:重曹水を散布し浸透させる

枯らしたい雑草に重曹水を散布し浸透させます。一面の雑草をすべて枯らしたい場合は、ジョウロなどで、全面にかかるように丁寧にまんべんなく散布してください。
庭の一部の雑草だけを枯らしたいときや、雑草にまぎれて枯らしたくない草花などがある場合は、ピンポイントで枯らしたい雑草だけに散布します。ピンポイントで撒く場合は、注水口の小さなジョウロやスポイトを使うのがおすすめです。
散布は、雑草につけた切り口や傷口に目がけて撒くのがコツです。

STEP4:効果を高めるために管理を徹底する

重曹水の散布による除草の効果を高めるためには、散布後の経過観察や管理も大切です。
散布後、数日から数週間かけて定期的に様子を見ます。重曹水による除草では、即効性は期待できないため経過観察が必要です。
経過観察のポイントは、以下の2点です。

  • 散布後の雑草の変化
    散布によって雑草は枯れ始めたのか、枯れ切ったのか、変化が見られないのかなどを観察します。
  • 散布後の土壌の変化
    重曹の成分が土壌に浸みこみpHが変化し、雑草の発芽や生育が抑えられているかなどです。

この経過観察を基に、次の散布のやり方の調整や別の除草方法の検討などの管理を行ってください。

重曹を使ったドクダミの除草方法

厄介な雑草の代表格であるドクダミも重曹を使って除草することができます。他の雑草同様、草刈り鎌などで表面に傷をつけてから重曹水を散布してください。
ドクダミは、地下茎を長く伸ばして繁殖するため、一度生えると広範囲に広がり駆除が難しい雑草とされていますが、秋ごろにできる種にも発芽力があります。そのため、種が落ちる前に散布を行うと効果的です。
重曹水のみで地下茎を含む根絶は厳しいですが、重曹の成分で繁茂を抑制してから根気よく手で抜き取ると、効率よく確実に除去できます。

重曹を使って除草する際のポイント

重曹水の散布による除草は、除草剤などに比べると除草力は限定的ですが、手軽に始められて環境に優しいところがメリットです。
重曹を使って除草する際のポイントをしっかり押さえておくと、より効果的な除草を行うことができますので、覚えておいてほしいポイントを3つ説明します。

適切なタイミンクで除草作業を行う

重曹での除草に適切なタイミングとしては、晴れた日の早朝、できるだけ風がない日がおすすめです。また、雑草が若い段階のほうが傷をつけやすく、重曹成分の吸収もされやすいです。
散布後すぐに雨が降ってしまうと、せっかく散布した重曹が吸収される前に流れてしまうので、最低でも散布後に数時間は雨が降らないことが重要になります。
植物は一般的に午前中、活発に水分や養分を吸収するので、早朝の散布が適しています。風が強いと、重曹水が枯らしたくない植物にかかってしまうリスクが高まるので注意してください。

必ず雑草に傷をつけてから散布する

重曹は、除草剤のように雑草を枯らすために作られてはいないので、そのままの雑草にかけても枯らすのは難しいです。必ず雑草に傷をつけ、その傷口にかかるように散布してください。
ハサミで切れ込みを入れたり、スコップで軽く傷つけたりします。広い範囲であれば、踏みつけやり刈り込みも有効です。
雑草に傷をつけることで、重曹成分が植物の内部に浸透しやすくなり、効果が高まります。

定期的に散布し経過を見る

重曹による除草は、環境に優しい分、即効性はないため経過観察が大切です。雑草の葉や茎の枯れ具合、雑草の土壌からの発芽の状態を見極めながら、必要に応じて繰り返し散布します。
複数回繰り返して散布することで、徐々に雑草の勢いを弱めていくことができます。ただし、土壌のpH値やナトリウム濃度に影響を与える可能性があるため、畑や花壇など他の植物を育てている場合は注意が必要です。
家庭で使える簡易的な「土壌酸度計(pH測定器)」は、一般的な通販で1,000円程度から購入できます。ガーデニングされる方は、揃えておく価値はあると考えます。

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まとめ

安価で手軽に入手できる重曹を使っての除草は、特定の雑草のみにアプローチできて、人体や環境への悪影響が少ない雑草対策です。同時に、除草力は限定的で、正しい使い方をしないと土壌の塩害リスクがあります。
また、穏やかに除草効果を現す重曹の除草は、経過観察により必要に応じた繰り返しの散布も求められることが多いです。
たとえば、人やペットが頻繁に出入りする庭や玄関周りは重曹で、駐車場や空き地には除草剤を散布するなどの併用が適切な使い方の一つだといえます。