芝生のエアレーションと聞くと、ゴルフ場や競技場で芝生の管理をするプロの方たちがやる、難しい作業なのではないかと考える方が多いようです。
しかし実際は、道具があって、やり方さえわかれば一般の方にも簡単にできる作業です。
エアレーションを行う最適な時期やタイミング、得られる効果と必要な道具、やり方の手順を紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、大切な芝生の良好な生育を保つための参考にしてください。
芝生のエアレーションを行う最適な時期・タイミングとは?

エアレーションは、「空気を送り込む」という意味です。芝生のエアレーションは、芝地に穴を開けて土壌中に空気が入り込みやすくして、芝生の根に酸素が供給されやすくします。
芝生のエアレーションの最適な時期としては、春と秋の2回が推奨されています。
日本芝などの暖地型芝生は3月中旬~6月と9月頃、西洋芝などの寒地型芝生は3月中旬~6月中旬、9月中旬~10月下旬が適しています。夏と冬にエアレーションすると、芝生が弱りやすく、傷みやすいので避けるのが一般的です。
芝生のエアレーションを行うことによる効果

花壇や菜園で、草花や野菜を育てるとき、土壌を耕すことが多いはずです。そうすることで、根が新鮮な空気や水分、栄養を吸収しやすくなるからです。
芝生は、芝を張ってしまうと土を耕すということができません。そのため、エアレーションが必要になります。
エアレーションを行うことで、芝生に現れる効果を4つ説明します。
効果1
エアレーションを行うことで、土壌に酸素が供給され通気性が向上します。
芝生の根も他の植物の根と同様に呼吸が必要です。しかし、芝地は年月の経過とともに硬くなり、芝生の根は呼吸がしにくくなります。
エアレーションを行うことで、硬化した土壌に穴が開き通気性は向上し、土壌はほぐされて根茎の呼吸は促進されます。土壌がほぐれて柔らかくなるほど、芝生の根は深くしっかりと張ることができるからです。
効果2
エアレーションによりほぐれた芝地は、通水性、透水性、排水性などの水はけが向上します。
特に、人がよく通る場所は、踏み圧によって土壌が硬くなるので水はけが悪くなりやすいです。水はけが悪いと、根が腐りやすくなったり成長が悪くなったりするので、適度な水はけを確保するためにもエアレーションは必要になります。
効果3
エアレーションをする過程で古い根が切られるので、新しい根の発根が促進されます。
長年、同じ場所に植えられている芝生は根が詰まって、新しい根が発生しにくい状態です。それによって新陳代謝が悪くなり、芝生に元気がなくなってしまうことがあります。
エアレーションによって根切りが行なわれることで根を張るスペースが確保され、細く密な新しい根が発生しやすくなり、より美しく丈夫な芝生の生育が可能になります。
効果4
エアレーションによって土壌の通気性や透水性が改善されると、土壌中の微生物が活性化されて芝生にとって有害な雑菌の発生が低減されます。
また、エアレーションによって芝生の代謝が促されると、有害な雑菌に対する耐性が高くなります。
特に、過湿状態になりやすい土壌では、エアレーションによって古い根やサッチの分解が促進されやすくなります。
芝生のエアレーションに使用する道具

芝生の良好な生育を促進するためには、定期的なエアレーションが欠かせません。エアレーションには、その目的別に種類があり、それぞれに専用の道具があります。
エアレーションを行う道具の代表格である、ローンパンチ、ローンスパイク、ターフカッターの3つを紹介しながら、各エアレーションの目的や必要性、注意点などを説明します。
道具1
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ローンパンチは、中が空洞の突起が付いた道具で、両手でハンドルを握って突起を芝地に押し込むようにして使います。突起の空洞に芝ごと土が入って穴が開くという仕組みです。
この抜き取った土を「コア」と呼ぶため、この作業をコアリングと呼びます。コアを放置すると潅水作業や目土入れの邪魔になるため、トンボやホウキで回収します。
ローンパンチで穴を開けてコアを回収し、その穴に適切な目土を充填することで、芝生の根の生長が促進されます。
道具2
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ローンスパイクは、刃が付いたフォークのような形状で、土に突き刺して穴を開けます。コアは抜きませんが、土壌に小さな穴をたくさん開けることで、芝生の根を活性化させる空気や水、肥料を芝生の根に届けやすくします。
ローンスパイクで穴を開ける作業は、「スパイキング」と呼ばれます。靴底にスパイクが付いた道具を履いて歩き、簡易的にスパイキングする場合もあります。
スパイキング作業のポイントは、所定の深さまで、均一に穴を開けることが重要です。
道具3
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ターフカッターは、芝生の根を切るための道具です。古い根を切り、新しい根の発根を促します。
形状は、小ぶりのスコップのようですが、先端が鋭利な刃物になっています。
この芝生の地下茎に切れ目を入れる作業は、スラインシングと呼ばれています。ターフカッターを芝生に突き刺して均等に切れ目を入れていきますが、切れ目の間隔は20~30㎝程度が目安です。
スライシングは、芝生の張りつけ後3年以上経過していて、根が充分に張ってから行うことが推奨されています。
芝生のエアレーションを行う際の手順

芝生のエアレーションを行う際の手順を紹介します。効果的なエアレーションを行うためには、必要な道具を揃え、正しい手順で作業することが必要です。
ここでは、芝生のエアレーションとして一番ポピュラーな、コアリングによるエアレーションの手順で説明します。
大まかな流れとしては、まず芝刈りをして、穴を開け抜いたコアを収集します。それから、目土や目砂を行って最後に水やりです。
①芝刈り
エアレーションをする前は必ず芝刈りをして作業をしやすくします。ゴミや小石がある場合は取り除いてください。
芝刈りをしながら、芝生の状態のチェックもしてください。芝生の表面のでこぼこや、水はけが悪く乾燥しているところ、芝生の生長に差があるところなどを見極めておきましょう。
そういう箇所は、より念入りにエアレーションで調整する必要があるからです。
②穴をあける
次に穴を開ける作業ですが、芝生は乾燥している状態よりも、雨上がりなどの土壌が柔らかいほうが穴を開けやすいです。
ローンパンチを準備したら上部のグリップを両手で持ち、芝生に垂直に立て、足で体重をかけて押し込みます。
中が空洞の先端のパイプを突き刺すことで、芝生の下の土や根がパイプの中に入り込み、コアとして取り出すことが可能になります。
穴の間隔は、5cm~20㎝程度が目安です。間隔が狭いほど効果は高まりますが、芝の状態や体力に応じて調整してください。
穴の深さは10㎝程度が目安ですが、地中の配管や配線を傷つけないように注意しましょう。
③抜いた土を収集する
穴開けが完了したら、抜いた土(コア)を収集します。抜いた土は、まず、乾燥させて集めやすくしてください。
しっかり乾燥したら、トンボやレーキを使って集めます。目土として再利用する場合は、ふるいにかけて根やサッチ、小石などを取り除き、土壌改良材や川砂などを混ぜて使うと効果的です。
④目土(目砂)をする
土を抜いた穴に、芝生の生育を促進するための目土をします。目土には、水はけが良く、雑草の種子は含まない土を選ぶことが重要です。
目土の粒径は、0.1~0.3mm程度が一般的で、この粒径は保水性も期待できます。水はけを重視したい場合は目砂してください。
芝生に効果のある肥料分を含んだ目土をすることもあります。
⑤目砂の擦りこみ
目土が完了したら芝生の表面に目砂を撒き、擦り込んで定着させます。できる限り、芝の根元に擦り込むようにしてください。
芝生の表面に擦り込むように目砂をすることで、地面を平らに整え、芝生の根や茎を覆って乾燥を防ぎます。
この作業では、芝生用の擦り込みブラシがあると便利です。芝の表面を傷めづらく、適度な柔らかさで芝生が立ち上がります。
⑥水やり
エアレーション作業が完了したら、仕上げに水やりをします。エアレーション直後は、開けた穴から土壌深くまで水が浸透しやすくなっているので、通常よりもたっぷりと与えてください。
水をやると目土や目砂が不十分な箇所がはっきりしますので、その部分は目土・目砂を入れ直し、水やりも再度必要です。
まとめ

エアレーションにより、土壌の通気性や水はけは向上し、芝生の根の生長が促進されます。さらに目土や目砂をすることで、芝生は元気を取り戻して病害虫への耐性も高まります。
芝生のエアレーションは、春と秋の年2回が推奨されています。忙しくてどうしても2回は無理というときは、根の活動が活発になる春だけでもエアレーションを行ってほしいです。
適切な時期に、適切な方法でエアレーションを行うことは、元気な芝生を保ち続けるための大切な作業の一つです。