庭の目隠しにも最適!生垣におすすめの樹種を欲しい高さ別に紹介
監修者
氏永 勝之
smileグループCEO 株式会社ガーデンメーカー 代表取締役 愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役 一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
生垣に使用する樹種は、何を基準に選びますか?
好みの花が咲く樹種や、手入れの楽な品種を選ぶのも良いでしょう。
もしも目隠しとしての生垣を立てるなら、欲しい生垣の高さを基準に樹種を選ぶことも大切です。
というのは、木の種類によって樹高が異なるため、立てられる生垣の高さが変わってくるからです。
たとえば、2.0mの生垣が欲しいのに、樹高1.0mの低木を選ぶと高さが足りません。
また、1.0mの生垣が欲しいのに、成長スピードの速い木を選ぶと剪定に追われる日々となるでしょう。
ですから、欲しい生垣の高さが決まっているなら、その高さを保ちやすい樹種を選ぶのが得策です。
この記事では、生垣におすすめの樹種を、高さ別に紹介していきます。生垣の樹種選びに迷っているなら、ぜひ参考にしてみてください。
生垣の高さ別「目隠し度」イメージを画像で確認
まずは、生垣の高さによる目隠し度のちがいを把握しておきましょう。
2.0mと1.5m、そして1.0mの生垣ではどのように目隠しできるか、画像で紹介していきます。
2.0mの生垣
しっかり目隠しをしたいなら、2.0m以上の生垣がおすすめです。歩行者の頭もすっぽり隠すため、お互いに存在を意識せずに済むでしょう。
1.5mの生垣
生垣でもっともポピュラーな高さは、1.5~1.8mです。歩行者の頭が見え隠れする程度の大きさで、適度な遮蔽性がある高さといえます。
1.0mの生垣
1.0mの生垣には、目隠しとしての役割はほとんど期待できません。でも、低い生垣には管理や手入れがしやすいというメリットがあります。高い生垣と前後に配置して、デザイン的に楽しむ人も多いようです。
0.5mのちがいでも、目隠しできる範囲や庭の印象は大きく変わりますね。
さて、希望の生垣の高さが決まったら、その高さに合った樹種を選んでいきましょう。
次は、生垣の高さ別におすすめの樹種を紹介していきます。
欲しい生垣の高さ別!おすすめの樹種を紹介
高い生垣には高木、中くらいの生垣には中木、そして小さな生垣には低木を選んでいきましょう。
高さ2.5m・2.0m・1.5m・1.0m・0.5mの生垣に、おすすめの樹種を紹介していきます。
高さ2.5mの生垣におすすめの樹種4選
高さ2.5mの生垣に使いやすいのは、生育スピードの速い樹種です。刈り込みにも強い次の4種は、2.0m以下の生垣にも適しています。
レッドロビン
植物名 レッドロビン
学名 Photinia ×fraseri ‘Red Robin’
科名 バラ科
属名 カナメモチ属
別名 セイヨウカナメモチ、セイヨウベニカナメモチ
分類 常緑性中高木
樹高 3~10m
原産地 アメリカ
鮮やかな赤い色が印象的なレッドロビン。赤く見えるのは花ではなく新芽なため、刈り込むたびに季節を問わず赤い生垣を楽しめます。
成長スピード速いため、大きな生垣にぴったりです。そのぶん、こまめな剪定が必要となります。剪定の適期は年に3回。3~4月と6月、そして9~10月です。
病害虫には比較的強い樹種ですが、ごま斑点病を発症することがあります。予防のために、落ち葉は溜めずに取り除き、適度な消毒を行いましょう。
シラカシ株立
植物名 シラカシ(白樫)
学名 Quercus myrsinaefolia
科名 ブナ科
属名 コナラ属
別名 ー
分類 常緑高木
樹高 10~20m
原産地 日本、中国、朝鮮、台湾
シラカシは、カシの木の一種です。4~5月に開花して、秋にはたまご型のどんぐりができます。
枝は適度に密になり、刈り込みにも強い樹種。耐寒性も高く枯れる心配もほとんどないため、高い生垣におすすめです。
ただし、成長が非常に速いため、大きくなりすぎてしまう懸念があります。手に負えないサイズとなる前に、適度に剪定を行いましょう。
アラカシ株立
植物名 アラカシ(粗樫)
学名 Quercus glauca
科名 ブナ科
属名 ツゲ属
別名 ー
分類 常緑高木
樹高 10~20m
原産地 日本、中国、東南アジア、ヒマラヤ
アラカシも、カシ類の一種。秋にはどんぐりが実ります。シラカシと非常によく似ていますが、アラカシの葉のほうが少し横に広い形をしています。
生育が良くぐんぐん伸びるため、年に1~2度は剪定を行いましょう。成長が落ち着く6~7月と、11~12月が剪定の適期です。
病害虫には比較的強い樹種ですが、うどん粉病にかかることがあります。風通しと日当たりの良い環境を整えて、春の終わりには薬剤を散布して予防しましょう。
カイヅカイブキ
植物名 カイヅカイブキ(貝塚息吹)
学名 Juniperus chinensis ‘Kaizuka’
科名 ヒノキ科
属名 ビャクシン属
別名 カイヅカビャクシン
分類 常緑小高木
樹高 5~8m
原産地 日本、中国
カイヅカイブキの魅力は、円錐形の樹形と鮮やかな緑の小さな葉です。
乾燥に強く、病害虫の被害もほとんどない丈夫な樹種。育てやすい反面、大きくなりすぎるのが難点といえるかもしれません。
倒木やトラブルを引き起こさないように、定期的に手入れをする必要があります。
とはいえ、剪定は年に1回程度でかまいません。真冬以外ならいつ行っても大丈夫ですが、最適期は6月とされています。
高さ2mの生垣におすすめの樹木7種
高さ2mの生垣におすすめの樹種には、次の7つが挙げられます。
マサキ
植物名 マサキ(正木、柾)
学名 Euonymus japonicus
科名 ニシキギ科
属名 ニシキギ属
別名 オオバマサキ、ジャパニーズスピンドル
分類 常緑
樹高 2~6m
原産地 日本、東アジア
マサキにはいろいろな種類がありますが、本種のマサキは濃い緑の葉が特徴的。6月から7月頃にかけては白い花を咲かせ、秋には赤い実を付けます。
古くから日本で親しまれてきたマサキは、日向でも日陰でも良く伸びる、非常に育てやすい樹種です。常緑樹ではありますが、新芽と入れ替わる時期に古い葉をいっせいに落とすことがあります。
春先にガの幼虫が発生しがちなことは、マサキの難点かもしれません。放っておくと食い荒らされてしまうので見つけ次第駆除しましょう。
キンマサキ
植物名 キンマサキ(金正木/金柾)
学名 Euonymus japonicus
科名 ニシキギ科
属名 ニシキギ属
別名 ー
分類 常緑高木
樹高 2~6m
原産地 日本、朝鮮、中国
葉に黄色い縁取りのあるキンマサキは、本種のマサキより明るい印象です。バランスの良い色合いで、庭木としても人気があります。
耐寒性や耐陰性が高く、塩害にも強い丈夫な木。枝が密になり遮蔽効果も抜群なため、生垣にも最適です。
放っておくと6m近くまで大きくなりますが、刈り込みで2.0mほどの高さに維持できます。
プリペット
植物名 プリペット
学名 Ligustrum sinense
科名 モクセイ科
属名 イボタノキ属
別名 セイヨウイボタノキ、ヨウシュイボガノキ
分類 半落葉~常緑低木
樹高 1.5~3m
原産地 中国、ヨーロッパ、北アフリカ
プリペットは、常緑~半落葉樹という分類です。暖かい場所ではあまり葉を落としませんが、寒い地域ではすっかり落葉することもあります。
6~7月には芳香のある小さな白い花が咲かせるプリペット。花を楽しむなら、花芽を付ける春の剪定は避けましょう。
生育が良く芽吹きも良いので、高い生垣に適しています。
ヒイラギモクセイ
植物名 ヒイラギモクセイ(柊木犀)
学名 Osmanthus fortunei
科名 モクセイ科
属名 モクセイ属
別名 ー
分類 常緑高木
樹高 5~8m
原産地 中国
ヒイラギモクセイは、公園や庭園などの生垣によく使用されています。
ギンモクセイとヒイラギの交雑種とされ、楕円形の葉にあるツンツンとしたトゲが特徴的です。
基本的には病害虫に強いヒイラギモクセイですが、風通しの悪い場所ではカイガラムシやハダニなどが発生することがあります。
害虫予防には、落ち葉を溜め込まないことが大切です。落ち葉の掃除はマメに行い、害虫を発見したらすぐに殺虫剤を散布して駆除しましょう。
キンモクセイ
植物名 キンモクセイ(金木犀)
学名 Osmanthus fragrans var.aurantiacus
科名 モクセイ科
属名 モクセイ属
別名
分類 常緑小高木
樹高 3~6m
原産地 中国
キンモクセイは、ギンモクセイの変種です。9月から10月にかけて、香りの良いオレンジ色の小さな花を咲かせます。
成長が早く、葉が密になるため、生垣にも人気の樹種。厚みのある緑の葉で、しっかり目隠ししてくれます。
成長スピードが速いので、年に2回は剪定しましょう。花芽が付く前の2~4月と、花の終わった11月が剪定の適期となっています。
トキワマンサク
植物名 トキワマンサク(常盤万作)
学名 Loropetalum chinense
科名 マンサク科
属名 トキワマンサク属
別名 ベニバナトキワマンサク
分類 常緑性中高木
樹高 3~6m
原産地 日本、中国南東部、インド北東部
卵型でやわらかな葉を持つトキワマンサクは、花を楽しむ生垣におすすめの樹種です。花色は、白や赤、鮮やかなピンクなど。絞りや三色咲きなどの品種もあります。
花の形状も品種によりさまざまですが、特徴的なのは細いリボンのような花弁と、一斉に開花する姿です。まるで生垣全体が花に染まるようなインパクトを見せてくれるでしょう。
ラカンマキ
植物名 ラカンマキ(羅漢槙)
分類 常緑高木
樹高 2~5m
原産地 中国、日本
病害虫が比較的少なく、枝葉が密になるラカンマキ。古くから庭木や生垣として利用されてきました。
樽型の赤い実の先にグリーンピースがくっついたような、非常にユニークな形の実を付けます。
イヌマキの変種ですが、20mまで育つイヌマキと比べラカンマキの樹高は5mほど。刈り込みに強いため、高い生垣にも低い生垣にも対応できる樹種です。
1.5mの高さの生垣におすすめの品種2つ
1.5mの高さの生垣におすすめするのは、サザンカとシルバープリペットです。
サザンカ
植物名 サザンカ(山茶花)
学名 Camellia sasanqua
科名 ツバキ科
属名 ツバキ属(カメリア属)
別名 ヒメツバキ、イワハナビ
分類 常緑高木
樹高 2~6m
原産地 日本、東アジア
ツバキとよく似たサザンカですが、ツバキよりも生垣向きといえます。というのは、サザンカのほうがツバキよりも枝を密につけるからです。
サザンカの開花は10月~12月。花の少ない寒い時期に、お庭を彩ってくれるでしょう。
耐寒性が強く、基本的には丈夫な樹種。
ただし、チャドクガやイラガ、カイガラムシが発生しやすいので注意が必要です。放置するとすす病の素にもなってしまいますので、害虫は見つけ次第、駆除しましょう。
シルバープリペット
植物名 シルバープリペット
学名 Ligustrum sinense
科名 モクセイ科
属名 イボタノキ属
別名 セイヨウボタノキ
分類 半落葉~常緑低木
樹高 1~4m
原産地 ヨーロッパ、中国
クリーム色がかった斑入りの葉がさわやかなシルバープリペット。春から初夏に、白い香りの良い小花を咲かせます。
生育旺盛で成長早いため、高めの生垣におすすめです。
ただし、シルバープリペットは、剪定を怠ると「先祖返り」をすることがあるので注意しましょう。先祖返りとは、斑の入っていない緑の葉が出ることです。
もしも先祖返りしてしまったら、しっかり刈り込んで、斑入りの葉が芽吹くのを待ちましょう。
高さ1.0mの生垣におすすめの樹種4選
1.0mの生垣におすすめなのは、ツゲ系、ボックスウッド、常緑のツツジ系などです。
もちろんしっかり刈り込めば、1.0mより低い生垣にも利用できます。
ツゲ系
植物名 ツゲ(柘植、黄揚)
学名 Buxus microphylla
科名 ツゲ科
属名 ツゲ属
別名 アサマツゲ、コツゲ、ホンツゲ
分類 常緑低木~小高木
樹高 2~9m
原産地 日本
ツゲ系の樹木には、ツゲ、ヒメツゲ、セイヨウツゲなどがあります。
葉の形や性質などはよく似ていますが、高さが少し異なります。ツゲは中木でヒメツゲとセイヨウツゲは低木となっています。
ヒメツゲの樹高は0.5cmほどなので、1mの生垣には、ツゲかセイヨウツゲがおすすめです。
ツゲ系は萌芽力が強いため、樹形がすぐに乱れます。枝葉が混み合うと風通しが悪くなり病気の原因ともなりますので、剪定は定期的に行いましょう。
ボックスウッド
植物名 ボックスウッド
学名 Buxus sempervirens
科名 ツゲ科
属名 ツゲ属
別名 スドウツゲ、セイヨウツゲ
分類 常緑低木
樹高 1~2m
原産地 地中海沿岸、西アジア
明るい葉色が鮮やかなボックスウッドは、萌芽力が高く刈り込みに強い樹種。公共スペースでの植込みや、テーマパークのトピアリーなどにも良く使用されています。
成長スピードは比較的ゆったりしているので、低めの生垣にぴったりです。
ボックスウッドの緑の葉は、冬場には褐色に変化します。枯れたように感じるかもしれませんが、落葉することはありません。
基本的に丈夫なボックスウッドですが、ハマキムシやツゲノメイガといった害虫が発生することもあります。風通し良い環境を保てるよう、剪定を適宜行いましょう。
常緑のツツジ系
植物名 ツツジ
学名 Rhododendron
科名 ツツジ科
属名 ツツジ属
別名 ー
分類 常緑低木
樹高 0.5~2m
原産地 日本、東アジア
ツツジには、非常にたくさんの種類があります。低い生垣に適しているのは、常緑低木のツツジです。
具体的には、キリシマツツジやクルメツツジ、ヒラドツツジなど。それぞれ耐寒性、耐暑性ともに高く、非常に育てやすい樹種です。
4~5月に開花して赤や白、ピンク、赤紫などの鮮やかな花を咲かせます。
ツツジ系の樹種は、乾燥すると害虫が付きやすくなります。適度に保水を行って、乾燥しすぎないよう気を付けましょう。
剪定は、花の終わった9月頃がおすすめです。花芽を刈らない程度に、適度な剪定を行ってください。
ドウダンツツジ
植物名 ドウダンツツジ(灯台躑躅)
学名 Enkianthus perulatus
科名 ツツジ科
属名 ドウダンツツジ属
別名
分類 落葉低木
樹高 1~2m
原産地 日本、台湾
ドウダンツツジの花は、スズランのような白い釣り鐘型をしています。開花期は4~5月頃で、秋には紅葉も楽しめます。
病気や害虫には強い樹種ですが、乾燥する季節にはハダニが発生することもあります。葉裏に散水することで、ハダニの繁殖を抑えましょう。
ドウダンツツジを生垣にする場合、剪定の適期は5月中旬~6月中旬ごろになります。花を楽しみたいなら、花芽の出る夏以降の剪定は避けましょう。
高さ0.5mの生垣におすすめの樹種2つ
0.5mほどの生垣には、刈込可能な低木すべてがおすすめの樹種といえるでしょう。
その中から、ヒメシャリンバイとクチナシについて紹介していきます。
ヒメシャリンバイ
植物名 ヒメシャリンバイ(姫車輪梅)
学名 Rhaphiolepis umbellata
科名 バラ科
属名 シャリンバイ属
別名 ハマモッコク
分類 常緑低木
樹高 2~3m
原産地 日本
光沢のある葉がたっぷり茂り、小さいながらも存在感のあるヒメシャリンバイ。新芽は赤みを帯びていて、緑の葉とのコントラストが魅力的です。
3~4月には、ピンクがかった白い花を咲かせます。秋には古い葉が紅葉し、季節ごとに違った雰囲気を味わわせてくれるでしょう。
成長は緩やかで、1年に伸びるのは10~20mほどです。刈り込みにも強いので、低く保ちたい生垣に最適です。
クチナシ
植物名 クチナシ(梔子、口無)
学名 Gardenia jasminoides
科名 アカネ科
属名 クチナシ属
別名 センプク
分類 常緑低木
樹高 0.5~2m
原産地 中国
クチナシは、早春のジンチョウゲと秋のキンモクセイと並ぶ3大香木です。6~7月に、甘い香りのする白い花を咲かせます。
花の形状は、一重咲きや八重咲など。なめらかな緑の葉と白い花とのコントラストが美しく、和洋どちらの雰囲気にもなじみます。
花を楽しむなら、花が咲き終わったらすぐに剪定を行いましょう。
クチナシには、オオスカシバの幼虫やカイガラムシが発生することもあります。見つけたらすぐに殺虫剤などで退治しましょう。
まとめ
2.5m、2.0m、1.5m、1.0m、0.5mと、欲しい生垣の高さ別におすすめの樹種をまとめました。
なお、こちらの記事のリストは、高さを保てるおおよその基準になります。
2.5mの生垣のおすすめした樹木でも、しっかり刈り込んで高さをキープできれば、もっと低い生垣にも利用可能です。
希望の樹種が欲しい高さのリストに入っていなくても、あきらめずに造園業者や植木屋に相談してみましょう。
そして、高さも樹木もお気に入りとなる、素敵な生垣をつくってくださいね。