日本の環境に適しており、丈夫で育てやすい笹ですが、庭にはびこってしまって困るというケースも少なくありません。笹が庭に繁殖し過ぎてしまった場合、どう対応するべきなのでしょうか?

今回の記事では、笹の特性や育ちやすい環境を解説した上で、笹を駆除する方法をご紹介します。駆除に適した時期やかかる期間、刈った笹の処分方法なども解説するので、笹の対策にお困りの方はぜひ参考にしてください。

笹の駆除をする前に笹の特性を理解しよう

細長く涼し気な葉を持つ笹は和の雰囲気があり、日本庭園でもよく使われている植物です。七夕には笹の枝に、願い事を書いた短冊を飾るのが風習で、日本の夏を感じさせる風情のある植物です。

一方で、笹は生命力の強い植物で、地中茎でどんどん繁殖していきます。そのため、いったん繁殖し始めると駆除するのが困難な植物でもあります。ここからは、厄介な笹の特性について詳しく解説します。

「笹」と「竹」の違いは?

笹と竹は混同されることが多く、違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。ざっくりと「大きい方が竹で、小さい方が笹」と認識されていますが、背丈の低い竹や大きく生長する笹もあるため、大きさだけで一概に判断することはできません。ここでは、笹と竹の違いについて詳しく解説します。

属性

笹と竹はどちらも、イネ科タケ亜科に属する植物です。その中で、筍の皮にあたる「稈鞘(かんさや)」が成長とともに落ちるものが竹で、落ちないものが笹と分類されています。

育つ場所の違い

竹は比較的暖かい地域の植物で、日本では本州以南に多く分布しています。一方笹は、寒さに非常に強い植物で、北海道でも育ちます。

見た目の違い

笹と竹は葉脈や枝の付き方で見分けることも可能です。竹の場合は葉脈が格子状になっており、笹の葉脈は平行状です。また、竹は節から2本ずつ枝が生えており、笹は節から3~5本生えています。

笹が育ちやすい環境、育ちにくい環境

笹は一般的に明るい日陰を好む植物です。直射日光があたると葉が焼けてしまうことがあるので、午後は建物や塀の影になるような場所を選びましょう。笹は地下茎で繁殖していきますが、地下茎は乾燥に弱いため適度な湿り気のある土壌を好みます。

夏に強い日差しがあたる場所や、逆に全く日が当たらない場所では、笹は生長しにくくなります。真夏の炎天下にさらされる場所や、建物や塀に囲まれた場所では育ちにくいでしょう。また、土が乾燥しやすい場所では、地下茎が傷んでしまい育ちにくくなります。

笹を根絶やしにするのが難しい理由

なぜ、笹を駆除するのが難しいのでしょうか?その理由は笹の繁殖力の高さと、地下茎で広がる性質にあります。

繁殖力が高い

笹は生育旺盛な植物で、地中から水分や養分をどんどん吸収して背丈を伸ばしていきます。草刈り機を使って笹刈りをしても、すぐにまた伸びてしまいます。

地下茎で広がる

笹は地下茎を伸ばしながら、生育範囲を広げていく習性があります。そのため、笹を地際まで刈り込んだとしても地下茎は残っており、新しい芽を次から次へと生長させます。地下茎は地上に生えている笹よりも広範囲に張り巡らされており、離れた場所から新芽が出てくることもあります。

庭に笹が生えてくる主な原因

「笹を植えていないのに、急に笹が生えてきた!」
というケースもあります。植えた覚えのない笹が、なぜいきなり庭に生えてくるのでしょうか?

庭に笹が生えてくる原因を解説します。

もともと庭に植えられていた笹が繁殖した

新しい家を買ってしばらくして笹が生えてきた場合、前のオーナーが笹を植えていたという可能性が考えられます。売却のために笹を刈り取っていたものの、地下茎が生き残っていて、そこから新しい芽が出てきてしまったというパターンです。

また、庭の一画に笹を植えていて、全く違う場所から笹が伸びてきたというケースもあります。この場合も地下茎が繋がっていて、新しい場所に笹が芽を出したと考えられるでしょう。

隣の土地から地下茎が侵入してくる

笹は日本の各地に自生しており、雑木林、河川敷、空き地などによく生えているのを見かけます。自宅に隣接した土地に笹が自生している場合、地下茎が敷地内にまで侵入してくることがあります。また隣家で庭木として笹を生えている場合も同様に、地下茎で侵入してきた可能性が考えられます。

笹の地下茎の深さは約10~30cmで、尖った先端で小さな隙間や土の奥深くに入り込んで伸びていきます。塀やフェンスの下をかいくぐって、敷地内まで侵入し、ひょっこりと芽を出すことは十分考えられます。

笹を駆除せずに放置するリスク

さて、笹を駆除せずに放置しておくとどんな問題が起こるのでしょうか? 笹を駆除せずに放置するリスクは以下の通りです。

どんどん繁殖していく

笹は生育が旺盛で、地下茎を伸ばしてどんどん繁殖していきます。1~2本の笹ならば風情があって良いと感じるかもしれませんが、生育条件が揃って一度定着してしまうと、地下茎を伸ばして次から次へと新しい芽を伸ばしていきます。

他の庭木の生育を妨げる

笹は繁殖力が高いためどんどん根や地下茎を伸ばし、他の庭木に与えられるはずの養分や水分も奪って生育を妨げてしまことがあります。他の庭木が弱るとますます笹がはびこるという悪循環が生まれ、庭が笹で埋め尽くされてしまうこともあります。

近隣とのトラブルを引き起こす

笹は繁殖力が強いため、敷地の外へも地下茎で繁殖してしまうことがあります。笹を伸び放題にしていると隣接地にも新しい芽が出てきてしまうことがあり、近所迷惑になります。

景観が悪くなる

笹が放置され伸び放題になっていると、荒んだ印象となり景観が悪くなります。さらに、鬱蒼として密集して笹が生えていると蚊などの虫が増えたり、不法投棄をされやすくなったりなどの害もあります。

以上のようなリスクを減らすためにも、笹が手に負えなくなる程繁殖してしまう前に駆除する努力をしましょう。

笹を駆除する方法

笹の繁殖を抑えるには、どう対処したら良いのでしょうか?
笹を駆除する方法には、除草剤を使う方法、地下茎を掘り起こす方法、定期的に刈り取る方法、シートを使用する方法の4つがあります。ここから各方法について、詳しく解説します。

①除草剤で根まで枯らす

笹の駆除に使える除草剤は、塩素酸系とグリホサート系の2種類です。

塩素酸系の除草剤は土壌に浸透して根から吸収され、地上部だけでなく地下茎まで枯らしてくれます。笹を刈り取った後に広範囲に処理する場合におすすめです。
グリホサート系は葉から吸収されて根まで枯らす効果があり、刈り取らずに駆除したい場合に便利です。

除草剤の散布に適した時期は、笹の成長が収まる9~11月頃です。
散布後数日雨の降らない日を選びましょう。除草剤の使用量や散布方法は、各除草剤メーカーの説明書に従ってください。

②地下茎を掘り起こす

笹は地下茎で繁殖するため、地下茎まで掘り起こすことで根絶やしにできます。根切りしやすい三角ショベル、とんび鍬、根切などを使って、地下茎を根気強く掘り起こしていきましょう。

地下茎は地下10~30cmで広範囲に広がっているため、全ての地下茎を掘り起こすのは大変な作業です。家庭菜園や畑が近くて除草剤を使えない場合や、笹の繁殖が広がっていない段階で早めに駆除する場合におすすめの方法です。

③定期的に刈り取って弱らせる

定期的に刈り続けることで、笹を弱らせて枯れさせることもできます。春先・夏・秋の年に3回程度、根気よく笹を刈り続けていると生長が抑制され、次第に樹勢が衰えてきます。笹の刈り取りを毎年3回程度、3~5年間続けていると笹が弱って枯れていきます。

注意点は、笹は雑草に比べると切りにくいため、切れ味のよい刃を用意することと、安全に作業できるように軍手や長袖長ズボンの着用を徹底することです。

④シートを敷き地下茎の侵入を阻止する

自宅の近隣に笹が自自生ている場合、地下茎が侵入できないように防根シートを設置するのも効果的です。防根シートは地中に埋め込み、根が入り込まないように物理的に遮断します。笹の生えてきている周囲を掘り、地下茎の広がっている範囲を考慮して、十分な深さに掘り下げてから防根シートを埋設します。

また、シートを継ぎ足す時はすき間ができないように重ね、アルミジョイントで固定しましょう。

「石灰」や「熱湯」での駆除は効果的?

除草剤を使わずに笹が駆除できる方法として、熱湯や石灰が効果的と言われることがありますが、実際には駆除効果があるのでしょうか?

笹に熱湯をかけると、熱の力で葉にダメージを与えて樹勢を衰えさせることができます。ただし、100度近くの熱湯を用意する必要があり、火傷をする危険があります。また、熱湯を大量にかけたとしても根や地下茎まで熱は届かず、完全に笹を駆除するのは困難です。一時的に笹が弱ってもすぐに復活してしまうので、根本的な問題の解決には繋がらないでしょう。

また、笹は酸性の土壌を好むことから、土壌に石灰をまくのも効果的と言われています。石灰をまくことで酸性土壌をアルカリ性に近づけると、笹の生育を抑制することが可能です。ただし、大量に石灰を使うと、笹以外の植物にも影響が出てしまうので注意しましょう。

笹の駆除に適した時期と必要な期間

笹の駆除に適した時期は、夏の暑さが落ち着いて笹の生長が衰える9~11月頃です。除草剤や地下茎の採掘による駆除方法は即効性が高いですが、笹を刈り取って弱らせたい場合、年に2~3回の定期的な刈り取りを数年続ける必要があります。すぐに笹を枯らせたいのか、時間をかけて徐々に枯らせたいのかによって、適切な駆除方法を選んでください。

刈った笹の処理はどうすればいい?

刈った後の笹の処理は、お住まいの自治体のルールに従って処分しましょう。笹は可燃ゴミとして回収されるのが一般的ですが、剪定枝や刈草を資源物として回収してくれる自治体もあります。

刈った後の笹は数日間天日干しして乾燥させると、水分量が減って袋詰めがしやすくなります。自治体のルールに従って、指定されているゴミ袋に入り切る大きさに切ったり折り曲げたりして、袋詰めにしましょう。笹の稈で袋が破れないように、注意してください。

庭の手入れはプロへ依頼がおすすめ

笹はさまざまな方法で駆除できますが、どの方法も薬剤を散布したり道具を揃えたりする必要があり、また駆除に費やす時間や労力もかかります。自力で笹を駆除するのが大変だと感じる場合や、DIYでの駆除が上手くいかなかった場合は、プロの業者に依頼することを検討してみましょう。

厄介な笹の駆除は、造園業界全国チェーン数No1のsmileガーデンにお任せください。smileガーデンに依頼すれば、経験豊富な造園作業のプロによる確実かつ迅速な笹の駆除が可能です。笹駆除のご相談やお見積りはインターネット上からも受け付けています。ぜひお気軽にお問合せください。

まとめ

一度はびこってしまうと厄介な笹の駆除方法について解説いたしました。除草剤を使うにしても、地下茎から採掘して駆除するにしても、生育旺盛な笹を完全に駆除するには、大変な労力と時間がかかります。自分では対処しきれないと感じる場合は、造園業者に依頼するのがおすすめです。

造園のプロに依頼すれば、庭の状態や周辺環境に合わせて最も適切な方法で、笹を確実に迅速に駆除できます。笹の駆除以外のお庭の悩みにも対応してもらえるので、ぜひ造園業者に相談してみてください。