重曹は、「炭酸水素ナトリウム」という白い粉末で、弱アルカリ性の性質を持ちます。「ベーキングソーダ」とも呼ばれ、お菓子づくり(ふくらし粉)や掃除、消臭など、さまざまな用途で活用されている素材です。
人やペットに対して安全性が高いことから、手軽な「雑草対策」としても注目されています。雑草に散布すると、アルカリ性や浸透圧の作用で植物に強いストレスを与え、植物体内で細胞の壊死を早める「活性酸素」や「エチレン」の発生を促します。さらに、水分の蒸散を促進して脱水させることで、雑草を枯らしたり生長を抑制したりする効果が期待できます。

ただし、化学除草剤に比べると根まで枯らす力は弱く、効果は限定的です。また、過剰に散布すると土壌にナトリウムが蓄積して「塩害」を引き起こし、周囲の植物やその後の栽培に悪影響を与えるリスクもあるため、使用する場所や量には十分な注意が必要です。

重曹の除草効果の有効性や効果的な使用方法について紹介しますので参考にしてください。

重曹に除草効果はある?

重曹は、正しいやり方で使えば除草効果はあります。ただし、化学合成された市販の除草剤と比較すると効果は限定的で、根までしっかり枯らすのは難しいです。
即効性や強力な除草効果はありませんが、安全性を重視したい家庭やコンクリートの隙間など「今後植物を植える予定がない場所」での雑草対策におすすめです。
重曹が植物の細胞に付着すると、浸透圧により葉の気孔が開いて水分を蒸発させ、植物は乾燥して枯死に向います。また、アルカリ性の強いストレスを与えることで、植物の体内で老化を進める「活性酸素」や「エチレン」の発生を促し、細胞の壊死を早める効果もあります。
重曹を除草剤として使用する際は、適切な濃度で薄めた重曹水をつくり、雑草が小さいうち(草丈10~30㎝程度)に散布するのが効果的です。重曹が植物に浸透しやすくなるように、あらかじめ雑草の表面を傷つけてから散布するとさらに効果を高められます。
ただし、重曹水による除草を頻繁に繰り返すと、土壌にナトリウムが蓄積して「塩害」を引き起こしたり、土壌がアルカリ性に傾いたりして、周囲の植物やその後の生育に悪影響を与えることがあります。散布時は、枯らしたくない植物にかからないよう、撒く範囲には十分注意してください。

重曹を使って除草するメリット

私たちの生活のさまざまなシーンで活用されている重曹。実は正しい知識を持って使えば、安心感のある雑草対策として活用できます。重曹を使って除草する主なメリットをご紹介します。

安価で手軽に入手できる

重曹は、スーパーやドラッグストアで、1~2㎏なら数百円で購入できます。わざわざ専用の除草剤を買いに行かなくても、身近なショップで安く手に入るのが大きな魅力です。
一般的に重曹は食品用と掃除用に分けられますが、違いは純度です。食品用は99%前後の高純度で口に入れても安全であり、掃除用は95%~98%と純度は低めになります。
食品用は、主にお菓子を膨らませる膨張剤(ベーキングパウダーの主成分)として使われます。掃除用は弱アルカリ性であることを利用して、油汚れや皮脂汚れなどの酸性汚れを中和させるのが特徴です。
入浴剤や消臭剤、胃酸を中和する目的で、胃腸薬としても使われます。さまざまな用途で生活に活用できるため、重曹を常備しているご家庭も多いのではないでしょうか。
このような重曹を雑草対策に使うことができるという点も、手軽に利用できるとされる要因の一つです。

特定の雑草のみにアプローチできる

重曹の除草では、枯らしたい雑草に傷をつけ、その傷口に重曹水を直接スプレーするのが基本です。浸透力や飛散性の強い化学除草剤とは異なり、成分が周囲に広がって意図しない植物まで一気に枯らしてしまうリスクが低いため、狙った特定の雑草のみにアプローチすることができます。「傷をつける」という手間は必要ですが、重曹水の浸透力の低さは、うっかり被害を防ぐメリットにもなり得るのです。

ただし、重曹は他の植物の葉や根にかかるとダメージを与えてしまいます。そのため、庭に雑草が生い茂って枯らしたくない草花と細かく混じっている場合は使用を避け、コンクリートの隙間やレンガの目地など、周りに大切な植物がない場所の雑草へピンポイントにアプローチするのが安全です。

なお、重曹は安全性が認められ、農薬取締法上の「特定農薬」に指定されていますが、大切な植物の近くに撒く際は十分に注意しましょう。

人体や環境への悪影響が少ない

除草剤と比較して効果が限定的なのに、重曹での除草が行われる理由の一つに、人体や環境への悪影響が少ないことが挙げられます。
重曹は食品や入浴剤にも使われる成分のため、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心して使用できます(※アルカリ性のため、使用時は肌荒れ防止にゴム手袋を着用してください)。
重曹が土壌や水に入ると、化学合成された除草剤のような有害な化学物質が残留することはなく、最終的には炭酸ガスや水などの環境に優しい形で循環します。ただし、ナトリウム(塩分)の成分は土壌に蓄積していくため、使いすぎには注意が必要です。

重曹を使って除草するデメリット

重曹を使って除草することには、さまざまなメリットがありますが、知っておくべきデメリットもあります。事前にデメリットを把握しておくことは、失敗を未然に防ぎ、重曹による効果的な雑草対策に繋がります。

除草剤と比べると除草力が劣る

重曹を使って除草するデメリットの一つが、除草剤と比べると除草力が劣る点です。除草剤は、雑草を枯らすために化学成分を合成してつくられたものが多く、浸透力、即効性ともに優れています。
除草剤と重曹の購入判断のポイントは、安全性・環境負荷、効果の即効性・持続性、使用場所・範囲の3点です。
たとえば、人やペット、環境への影響を最小限にすることを重視するなら重曹を使用して、広範囲の雑草を短時間で枯らしたい場合は除草剤を使用するのが合理的です。
重曹と除草剤の併用も検討の価値があります。人やペットが頻繁に出入りする通路やコンクリートの隙間は重曹で、駐車場や空き地には除草剤を散布するなどの併用です。

塩害のリスクがある

重曹の主成分である炭酸水素ナトリウムは、食塩(塩化ナトリウム)とは異なりますが、多くのナトリウム(塩分)を含んでいるため、「塩害」のリスクがあります。
重曹100gに含まれるナトリウムを食塩相当量に換算すると、約69g(全体の約7割)にも昇ります。食塩そのものを撒くよりは少ないものの、大量の塩分であることには変わりありません。
重曹を庭に散布することで土壌中にナトリウム成分が残留し、これが蓄積されて塩害を引き起こします。
土壌の塩分濃度が高くなると、植物は根から水分を吸収できなくなり、深刻な脱水症状を起こして枯死してしまいます。また、土壌中の有用な微生物の活動を妨げる原因にもなります。
安全に使用するには、1㎡あたり100~150g程度の重曹が目安とされていますが、これだけの量を撒くと土壌にしっかりと塩分が蓄積します。雨で簡単に流れることはないため、短期間で頻繁に撒くのはもちろん、今後新しく草花や作物を植えたい場所での使用は避けてください。

皮膚に付着すると肌荒れを引き起こす

重曹は弱アルカリ性なので、皮膚表面の弱酸性の皮脂を中和・分解する作用があります。
短時間であれば問題ないのですが、長時間触れていると皮膚のタンパク質や皮脂が過剰に分解されます。その結果、肌のバリア機能に影響を与え、肌荒れや乾燥を引き起こすのです。
肌を保護するため、ゴムかビニールの手袋の着用が欠かせません。特に、日頃から肌の弱い方や敏感肌の方は、短時間の使用であっても注意が必要です。
重曹が目に入った場合は、すぐに大量の水で15分以上洗い流し、眼科医の診察を受けてください。

広範囲の除草には不向き

重曹は広範囲の除草には不向きです。主な理由は、手間がかかることと効果が限定的であることです。
広範囲を除草するためには、雑草の葉や茎に傷をつけるという意味合いで、草刈りをしてから散布する必要があります。
その後、ジョウロなどの散布器を使って何往復もして散布しなければなりません。対象となる除草範囲の面積にもよりますが、家庭用のジョウロで広範囲の散布をするのは現実的とはいえません。
なお、家庭用の高圧洗浄機に重曹水を入れて噴射すると、内部の金属が腐食したり詰まったりして故障の原因になるため、絶対に避けてください。
また、根深い雑草の根を枯らすのは難しく、効果も一時的なものになりがちです。重曹による塩害のリスクが広範囲に及んでしまうことにもなります。
広範囲の除草には、除草剤の使用や防草シートの敷設などの方法が効果的です。

重曹を使った除草のやり方

重曹を使った除草は、重曹を適切な濃度で薄めてつくった重曹水を雑草に散布するのが一般的です。ただし、重曹水をただ撒くだけでは効果はありません。
正しい重曹を使った除草のやり方をステップ形式で説明します。

STEP1:濃度8~9%の重曹水を作る

まず、重曹水を作ります。重曹が水に溶ける限界は10%未満(常温で約9.6%)のため、これ以上濃く作ると粉が溶け残ってジョウロやスプレーの目詰まりの原因になります。
用意するものは、重曹80~90g程度、水1L、ジョウロです。

ジョウロに水1Lを入れたら用意した適量の重曹を混ぜて攪拌します。
肌が敏感な方は、直接重曹には触れずに、使い捨ての手袋を使いましょう。攪拌にはスプーンなどを使ってください。
「濃度が高ければ、より効果的だ」と濃い目に作る方がいますが、土壌や他の植物への影響を考えるとおすすめできません。使用に慣れるまでは、薄めの濃度から始めるようにするのが無難です。

STEP2:雑草の表面に傷をつける

次に、雑草の葉や茎の表面に傷をつけます。傷をつけることで、傷口から重曹の成分が雑草内部に効率よく浸透し、雑草を枯死させる作用を促進することができるからです。
傷のつけ方には、以下の方法があります。

  • 鎌やハサミで切る
    雑草の茎や葉を鎌やハサミで切って切り口を作ります。特に太い茎や根元部分に傷をつけると効果的です。
  • スコップで削る
    地面に生えている雑草をスコップで軽く削るようにして傷をつけます。
  • 踏みつける
    広い範囲の雑草の場合は、作業前に足で踏みつけたり歩き回ったりして葉や茎にダメージを与えるのも有効です。

傷のつけ方としては、鎌やハサミで切るのが一番確実な方法ですが、除草したい範囲の面積に応じて適宜選んでください。

STEP3:重曹水を散布し浸透させる

雑草につけた切り口や傷口を目がけて、重曹水を丁寧にまんべんなく散布します。

ピンポイントで撒く場合は、注水口の小さなジョウロやスプレーボトルを使うのがおすすめです。ただし、土に染み込んだ重曹の成分(ナトリウム)は周囲に広がるため、「枯らしたくない草花や作物のすぐ近く(混在している場所)」での使用は絶対に避け、コンクリートの隙間やレンガの目地などに生えた雑草に絞って散布してください。
散布は、雑草につけた切り口や傷口に目がけて撒くのがコツです。

STEP4:効果を高めるために管理を徹底する

重曹水の散布による除草の効果を高めるためには、散布後の経過観察や管理も大切です。
散布後、数日から数週間かけて定期的に様子を見ます。重曹水による除草では、即効性は期待できないため経過観察が必要です。
経過観察のポイントは、以下の2点です。

  • 天候のチェック
    散布直後に雨が降ると成分が流れてしまうため、その場合は晴れの日を狙って再度散布します。
  • 枯れた雑草の処分
    完全に枯れた雑草は、見栄えや虫の発生を防ぐために乾いた段階で抜き取って処分しましょう。

この経過観察を基に、次の散布のやり方の調整や別の除草方法の検討などの管理を行ってください。

重曹を使ったドクダミの除草方法

お庭のあちこちに生えてきて、独特のニオイや強い繁殖力で頭を悩ませるドクダミ。この厄介なドクダミにも、重曹を使った雑草対策が可能です。ただし、ドクダミは土の中で「地下茎(ちかけい)」という根っこを長く伸ばして広がるため、他の雑草に比べると少し根気が必要になります。

他の雑草同様、草刈り鎌などで表面に傷をつけてから重曹水を散布してください。(※ただし、庭木や他の草花が近くにある場合は、塩害を防ぐため撒く量や範囲に注意しましょう。)
これで地上の葉や茎を一時的に枯らすことはできますが、土の奥深くにある根っこまで完全に退治するのは少し難しいのが現状です。
重曹水のみで地下茎を含む根絶は厳しいですが、重曹の成分で繁茂を抑制してから根気よく手で抜き取ると、効率よくきれいに除去できます。

重曹を使って除草する際のポイント

重曹水の散布による除草は、除草剤などに比べると除草力は限定的ですが、手軽に始められて環境に優しいところがメリットです。
重曹を使って除草する際のポイントをしっかり押さえておくと、より効果的な除草を行うことができますので、覚えておいてほしいポイントを3つ説明します。

適切なタイミングで除草作業を行う

重曹での除草に適切なタイミングとしては、晴れた日の早朝、できるだけ風がない日がおすすめです。また、雑草が若い段階のほうが傷をつけやすく、重曹成分の吸収もされやすいです。
散布後すぐに雨が降ってしまうと、せっかく散布した重曹が吸収される前に流れてしまうので、最低でも散布後に数時間は雨が降らないことが重要になります。
植物は一般的に午前中、活発に水分や養分を吸収するので、早朝の散布が適しています。風が強いと、重曹水が枯らしたくない植物にかかってしまうリスクが高まるので注意してください。

必ず雑草に傷をつけてから散布する

重曹は、除草剤のように雑草を枯らすために作られてはいないので、そのままの雑草にかけても枯らすのは難しいです。必ず雑草に傷をつけ、その傷口にかかるように散布してください。
ハサミで切れ込みを入れたり、スコップで軽く傷つけたりします。広い範囲であれば、踏みつけや刈り込みも有効です。
雑草に傷をつけることで、重曹成分が植物の内部に浸透しやすくなり、効果が高まります。

定期的に散布し経過を見る

重曹による除草は、環境に優しい分、即効性はないため経過観察が大切です。雑草の葉や茎の枯れ具合、雑草の土壌からの発芽の状態を見極めながら、必要に応じて繰り返し散布します。
複数回繰り返して散布することで、徐々に雑草の勢いを弱めていくことができます。ただし、土壌のpH値やナトリウム濃度に影響を与える可能性があるため、畑や花壇など、他の植物を育てている場所での使用は避けましょう。

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まとめ

安価で手軽に入手できる重曹を使っての除草は、特定の雑草のみにアプローチできて、人体や環境への悪影響が少ない雑草対策です。同時に、除草力は限定的で、正しい使い方をしないと土壌の塩害リスクがあります。
また、穏やかに除草効果を現す重曹の除草は、経過観察により必要に応じた繰り返しの散布も求められることが多いです。
たとえば、人やペットが頻繁に出入りする通路やコンクリートの隙間などは重曹で、駐車場や空き地には除草剤を散布するなどの併用が適切な使い方の一つだといえます。