草刈り機を使うことで、草刈り作業の体力的な負担は軽減し、作業時間を大幅に短縮することができます。
ただし、正しい使い方や上手に刈るコツを知っているのとそうでないのとでは作業の効率が格段に違います。また、動力で刃を高速回転させる機械なので、安全作業のための注意点を理解しておくことも重要です。
この記事では、より効率的で安全な草刈り作業をするために、草刈機の基礎知識と正しい使い方、上手に刈るコツや取扱いの注意点を解説します。

草刈り機の基礎知識

草刈り機の用途や種類を知っておくことは、本来の機能に合った使い方による、安全で効果的な作業のベースになります。草刈り機の主な用途、種類と特徴について説明します。

草刈り機の主な用途

草刈り機と似た機械でよく聞くものに、「芝刈り機」や「刈払い機」があります。
芝刈り機は芝生を均一に刈り揃える機械で、刈払い機は草刈り機とほぼ同じものですが、草刈り機のほうがより広範囲の場所で使用するというイメージです。
草刈り機は、庭や農地、公園、道路など、さまざまな場所の除草で使われます。水田や果樹園、山林など、除草剤を使いたくない、環境に負荷をかけたくない場所でも使用されています。
芝刈り機の特徴は、芝生をきれいに保つために集草機能がある点です。刈払い機は手持ち式のものが多く、狭い場所や多様な地形で使われることが多いです。

草刈り機の種類

草刈り機の種類は、動力源、操作方法、刃の違いによって分けることができます。
動力源は、エンジン式と電動式に大別され、さらに電動式は電源コード式と充電式に分けられます。エンジン式はパワーがあり、広い土地や硬い草の刈り取りに向いていて、燃料で動くので連続使用が可能です。
電動式の電源コード式は比較的軽量ですが、コードの長さが作業範囲を制限します。充電式はコードレスで自由に動けますが、稼働時間がバッテリー容量に左右されます。
操作方法の主な種類は、ハンドル式、自走式、乗用式の3つです。ハンドル式には、両手ハンドル、ループハンドル、ツーグリップなどがあり、用途や体への負担を考慮して選びます。
その他、車輪で自走する自走式草刈り機(モアー)や人が乗って操作する乗用式草刈り機などがあり、どちらも広く平坦な場所向きの草刈り機です。
刃の種類は、金属刃、チップソー、ナイロンコードなどで、作業する場所の範囲や条件に合わせて選びます。金属刃は丈夫で硬い草や笹、チップソーは茎の太い草や竹、笹向きです。
ナイロンコードは柔らかい草に適しており、障害物を傷つけにくく、小石を飛ばすことも少ないです。

草刈り機を使う前に行うべき準備

草刈り機を使うときに第一に考えなければならないのは、安全に作業を行うということです。
身の安全を守ることはもちろん、周囲に迷惑をかけたり、被害を及ぼしたりすることも避けなければなりません。そのために必要な準備について解説します。

適切な作業着を着用する

草刈り機を使った作業中は、小石や太い茎、刈り草などが高速で散乱します。肌や目に当たると痛い思いや怪我をすることになるので、適切な作業着や保護具を身に着けることが大切です。
作業着と保護具について以下にまとめました。

長袖・長ズボン肌の露出は最小限に抑え、飛び石や草、虫刺されから身を守る
帽子直射日光を避け、熱中症を予防する
長靴ゴム引きの長靴か安全靴で足元を守る
保護メガネ(ゴーグル)飛び石や飛び散る草から目を保護する
フェイスシールド顔全体を広範囲に防護する、ゴーグルとの併用も可能
手袋防振機能のある厚手のものがおすすめ

この他、必要に応じて、落下物から頭部を守るヘルメット、エンジン音による聴覚への負担を軽減する耳栓なども準備します。
サンダルやスニーカーを履いたり、首にタオルを巻いたりすると、巻き込み事故や怪我の原因になるため避けましょう。

草刈り機の取扱説明書を読む

草刈り機による作業前に、取扱説明書を読むことは、安全に作業を行う上で非常に重要です。取扱説明書には、機械の正しい操作方法、安全上の注意点、メンテナンス方法などが詳しく記載されています。
取扱説明書で確認すべきポイントは以下の通りです。

安全装備推奨される作業着や保護具の確認
適合する燃料やオイルの種類ガソリンやオイルの種類や量、混合比
各部の点検箇所燃料漏れ、刃の緩みや破損、カバーの状態など
正しい指導手順チョークレバーの位置、プライミングポンプの操作回数など
停止方法と緊急停止スイッチの位置と操作方法
正しい姿勢と操作方法ハンドルの持ち方、歩き方、振り方など
清掃方法と保管場所清掃の必要な箇所や方法、安全な保管場所

取扱説明書を読むことは、未然に事故を防ぎ、機械の寿命を延ばすための基本です。作業を始める前に必ず目を通し、不明点があればメーカーや購入先に問い合わせましょう。

事前メンテナンスを行う

草刈り作業を安全かつ効率的に行うためには、事前のメンテナンス(点検)が不可欠です。点検・整備は必ずエンジンを停止し、機体が冷えきっている状態で行います。
作業に適した作業着や保護具を着用しているかを確認したら、機体の点検を行います。
燃料は十分あるか、色や粘度などで劣化していないか確認した後、オイルの量と汚れのチェックも必要です。燃料やオイルの補給や交換はエンジンが冷えた状態で行い、こぼした場合はきれいに拭き取ってください。
次に、刈刃の刃こぼれ、摩耗、亀裂などの確認が必要です。刃の取り付けボルトの緩み、飛散物防護カバーの位置や破損もチェックしてください。
ハンドルやシャフト、その他のネジも緩みがないか確認し、もし緩ければ正しく締め付けます。使用中に異常を感じたら、すぐにエンジンを停止して原因を確認することが必要です。

作業エリアの障害物を確認する

草刈り機での作業前に、作業エリアの障害物の確認をすることは、怪我や機械の損傷を防ぐために重要です。
まず、作業エリアに石、枝、ゴミ、金属片などがあれば取り除きます。雑草に隠れた石や埋設管の蓋、マンホールの凹凸がないかもチェックしてください。
作業範囲内(半径15m以内)に人やペットがいないことを確認し、安全な作業エリアを確保することも忘れてはいけません。
取り除くことができない障害物(電線、フェンス、庭木など)がある場合は、目印をつけて安全作業できるようにします。障害物が多い場所では、障害物が当たって跳ね返るキックバックに注意しましょう。

草刈り機の正しい使い方とポイント

庭の手入れやガーデニングにおいて欠かせない草刈り作業ですが、草刈り機を使えば作業が格段に楽になります。
ただし、草刈り機は動力で動く刈り刃のついた機械です。正しく使って安全に本来の機能を発揮させることが重要です。
草刈り機の正しい使い方とポイントについて説明します。

草刈り機の持ち方

草刈り機の持ち方のポイントは、体の安定性とバランスの確保にあります。
肩掛けベルトを左肩にかけて、本体が体の右側にくるようにしてください。本体を体に沿わせ、シャフト部分を腰に当てて引き寄せるように持つと安定します。
両足は肩幅程度に開いて、安定した姿勢を保つことが必要です。
ハンドルの握り方は、片方の手をループの内側、もう一方の手を外側に置いてバランスを取ります。片手は力を入れて、もう片方の手は安定させる程度に握るとバランスを取りやすいです。
バンドで機械の重量を支えるようにして、手や腰だけで支えないようにすると、手にかかる負担を減らせます。
刈り刃は、肩掛けベルトやハンドル位置を調整しながら、地面から数センチ浮いた高さで水平な状態にします。

草刈り機の動かし方

草刈り機の動かし方は、刃は反時計回りに回転するので、「右から左」へ動かして刈るのが効率的です。
一度右から左に刈り取ったら、草刈り機を右側に戻し、再び右から左へ動かして次の範囲を刈り取ります。前後に往復して作業するのは危険です。
刃を少し左に傾け、左側を使って草を刈り取るようにすると、草を捉えやすくなりスムーズです。移動する際は「すり足」で歩幅を小さくし、足元を確認しながら前進します。
刃に障害物が当たるとキックバックの原因になるため、注意することが必要です。草や紐が刃に絡まった場合は、必ずエンジンを切ってから取り除いてください。

体や足の動かし方

体や足の動かし方は、刈り進む方向に対して右足を一歩前に出した状態から開始し、左足がそれに続いて「すり足」で前進するという動きを繰り返すのが基本です。
歩幅を大きくしすぎると、刈り残しと刈り込み済みの場所の区別がつきにくくなるため、こまめな歩幅で足場を確認しながら進みます。
一度に刈る範囲を、体から離れすぎない50cm〜1m程度の範囲にすると安定します。後退しながらの作業は危険を察知しにくくなるため、必ず前進して作業してください。
姿勢を変える前や、作業を離れる前は、必ずスイッチを切ってから本体を動かすのが鉄則です。

草刈り機で草を上手に刈るコツ

草刈り機で作業をする際、上手に刈るコツを知っていると、より効率的で疲労感も軽減できます。プロもやっている草刈り作業のコツを紹介します。

エンジン始動時は刃を浮かせる

エンジン始動時には、刃を地面から浮かせることが重要です。これは、エンジンの回転と同時に刃が回転し、地面に接触すると故障や怪我の原因になるためです。
エンジンはアイドリング状態でも刃が回り始めます。地面に接触したまま始動すると本体が跳ねたり、石に引っかかったりして機械の負担や周りの人に当たったりする危険性があります。

刃は左に傾け、右から左へ動かす

常に草刈機は「右から左へ」動かします。これは刃が反時計回りに回転するため、左側で刈るのが効率的だからです。
刃を地面に平行にしないで、地面から少し浮かせて左に傾けるのもポイントです。これにより、地面に刃が当たるのを防ぎ、根元から効率よく草を刈ることができます。
刈り残しがあっても往復で刈るのは避け、本体を右に戻し、再び右から左へ動かして刈るようにしてください。

雨が降った数日後がベストタイミング

草刈り機での作業は、雨が降った数日後(土が乾いた頃)の、湿度が低く晴れた日がベストタイミングです。
雨の直後はぬかるんで作業性が悪くなりますが、数日後であれば土が適度に湿っており、根元から刈りやすくなります。
雨上がり直後の濡れた草は重く、草刈り機に絡みやすいです。乾いた状態であれば絡みにくく、効率的に作業できます。

草が絡む時は低速から高速回転に上げる

草が絡む時は、エンジンの回転数を低速から高速に上げると、刃の切れ味が増してスムーズに刈ることができます。絡まった草は、必ずエンジンを停止してから取り除いてください。
機械を右から左に振ることを意識すると、草を効率よく刈って左側に集めることができますが、左から右に振ると刈った草を巻き込んで絡まる原因になりやすいです。

背の高い草は複数回に分けて刈る

背の高い草を刈るコツは、いきなり根元から刈ろうとせず、まず上部を刈って高さを低くし、それからまた低い位置から刈り直します。
一度に刈ろうとすると、刃に草が絡まりやすく、エンジンに余計な負担がかかります。背の高い草は複数回に分けて、少しずつ刈ることを意識してください。
これにより、草が刃に絡まったり、エンジンに負担がかかったりするのを防ぎ、効率良く作業できます。

草刈り機を使う際の注意点

草刈り機を使うことで草刈り作業にかかる労力や時間は大幅に軽減できますが、使用する際に必ず覚えておいてほしい注意点がいくつかありますので説明します。

キックバック(刈刃の跳ね返り)に注意する

草刈り機の使用中は、キックバックが起こる可能性があります。キックバックとは、金属製の刃(チップソーなど)の先端から右側部分が、石や樹木などの硬い障害物や地面などに当たって跳ね返る現象です。
キックバックが起こると、草刈り機が思わぬ方向に動き、怪我や事故の原因になります。そのため、作業前に石や空き缶などの障害物は取り除き、取り除けない障害物には近づき過ぎないように注意してください。
また、草刈り機は反時計回りに回転するため刃の右側で作業しない、往復刈りや大振りは避けることも大切です。

機械の調子が悪い時は使用を中止する

機械の調子が悪い時は、直ちに使用を中止してください。そのまま使い続けることは故障を悪化させるだけでなく、重大な事故に繋がる可能性があり危険です。
よくある不調と対処法をまとめました。

異音・異常振動がある刃やカバー内部を確認し、改善しない場合は修理に出す。
エンジンがかからない・止まる燃料・プラグ・フィルターを確認、必要なら交換・清掃する。
出力不足・回転数が上がらない燃料やフィルターを点検、改善しない場合は業者に依頼する。
燃料・オイル漏れ漏れている箇所を特定し、部品を交換するか修理する。

作業エリアに人を入れないようにする

草刈り機を使用する際は、作業エリアの周囲に人を入れないように、半径15メートル以内に人がいないことを確認してください。
作業中は、飛び散った石や障害物による事故を防ぐため、常に周囲の安全に配慮し、人が近づいた場合はエンジンを停止してください。
作業エリアの近くに人がいる場合は、大きな声で注意を促すなどして、常に危険を周知してください。

長時間使用しない場合は燃料を抜いて保管する

草刈り機を長期間使用しない場合は、燃料を抜いて保管することも大切です。
燃料をそのままにしておくと、燃料が劣化して固まってキャブレターが詰まって故障したり、燃料がキャップやエアー抜き部分から漏れて火災になったりすることがあります。また、劣化した燃料が機械内部の部品を溶かすこともあります。

草刈り機の適切な保管方法

草刈り機の保管する際は、エンジンが完全に冷めてから保管するようにして、熱いまま立てかけないようにしてください。泥や草、ゴミはきれいに取り除き、エアフィルターやマフラーの詰まりがないかも確認します。
怪我防止やサビ防止のためにカバーを取り付け、直射日光が当たらない、風通しが良く湿気が少ない場所で保管します。
スペースがあれば、棚などに横置きにするのが望ましいです。
縦置きする場合は、重いエンジン側を下にします。エンジン側を上にして置くとバランスが悪くなり、倒れて破損したり人に当たって怪我の原因になったりします。
倒れないようにヒモなどでしっかり固定し、燃料漏れを防ぐため燃料が空であることを確認することも必要です。
マフラーの出口に虫が巣をつくることがあるため、ティッシュペーパーや割りばしの切れ端を差し込んでおくと、虫の侵入を防ぐことができます。

庭のお手入れなら、スマイルガーデンへ

草刈り機を使った草刈り作業は、専門業者のプロに依頼するのがおすすめです。安全作業できれいな仕上がりの作業をしてくれます。
費用はかかりますが、機械を購入する必要も、メンテナンスや保管の心配もいりません、貴重な時間を取られることも、体力を使うこともないです。
プロに依頼するなら、「smileガーデン」を検討してください。草刈りや草取りはもちろん、庭木の伐採や移植、庭のリフォームなどについても相談できます。
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まとめ

草刈り機の使い方の基本は「右から左」に刃を動かし、刃は常に地面から少し浮かせて左に傾けることです。安全のため、作業時は作業範囲15m以内に人がいないことを確認します。
作業前の準備も大切です。服装は長袖長ズボン、ゴーグルや振動を防ぐ手袋などの保護具も着用します。
燃料を補給したら平らな地面に置き、刈刃が地面や障害物に触れていないか確認してからエンジンを始動させます。
草刈りは動力で動く機械です。安全に留意して作業することを最優先に考えてください。