庭の手入れの中でも、手間がかかって面倒なのが雑草の駆除です。雑草には多くの種類があり、効果的に駆除するためには、それぞれの特徴を理解しておくことが必要です。
特に、季節別の雑草の特徴に合わせた効果的な駆除方法を用いることは、無駄をなくして作業時間と労力の短縮に繋がります。
この記事では、季節別に庭によく生えている雑草と特徴、それぞれの効果的な駆除方法について紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

春に生える雑草9種とおすすめ駆除方法

芽吹きの春は、雑草対策に絶好の季節です。

スギナ

01スギナ
  • トクサ科の多年草
  • 高さ・草丈は30~40㎝

駆除が難しい雑草の代表格です。地下に張り巡らされた地下茎が地中深く、広範囲に広がるのが特徴で、少しでも残っていると再生・繁茂します。除草剤によって駆除する場合は、薬剤が根まで到達して全体を枯らす、茎葉処理型と土壌処理型の併用がおすすめです。薬剤散布以外では、防草シートの敷設や石灰による土壌改良が効果的です。

スズメノカタビラ

02スズメノカタビラ
  • イネ科の一年草
  • 高さ・草丈は5~30㎝

秋に芽生えて越冬し、春から夏にかけて開花・結実して種子で増えます。根は浅いのですが、株になるため駆除が難しくなります。発生前(秋から初冬)に、土壌処理型薬剤を散布して、出芽を抑制するのが効果的です。薬剤散布以外では、まだ小さいうちに根をしっかり掘り起こすか、耕運して土を動かすかして根絶やしにするのが大切です。

ブタナ

03ブタナ
  • キク科の多年草
  • 高さ・草丈は30~60㎝

外見はタンポポに似ていますが、ヨーロッパ原産のキク科の植物です。外来種として、生態系に与える影響が懸念されている植物の一つとなっています。駆除は抜き取りや刈り取りが有効ですが、除草剤を使う場合は「サンフーロン」や「ラウンドアップ」などのグリホサート系除草剤が効果的です。散布時期は、雑草が生えてくる春や秋の1ヶ月前が適期になります。

セイヨウタンポポ

04セイヨウタンポポ
  • キク科の多年草
  • 高さ・草丈は10~50㎝

ヨーロッパ原産で、広く世界中に分布しており、日本では明治時代に食用や飼料用として導入されたのが始まりです。種子の伝搬力が強く、在来タンポポへの影響が問題視されている外来種です。効果的な駆除方法は、株が大きくなって綿毛ができる前に根ごと抜き取るか、茎葉処理型除草剤を散布します。

ヨモギ

05ヨモギ
  • キク科の多年草
  • 高さ・草丈は50~100㎝

どんな土地でも育つ強い生命力を持ち、食用や薬用として、古来より人々に親しまれてきた植物です。地下茎および種子で増えて株や根茎が発達し、完全に抜き取るのは困難なため除草剤による駆除が一般的です。除草剤は、選択的除草剤や根まで枯らすのに土では分解されるグリホサート系除草剤がおすすめとなります。

ホトケノザ

06ホトケノザ
  • シソ科の一年草(越年草)
  • 高さ・草丈は10~30㎝

秋に芽吹き葉を広げて越冬し、翌春から夏にかけて実を結んで枯死します。冬に枯れることなく年を越すため、「越年草」に分類されます。駆除は、種をつけ始める前の春の開花後に抜き取るのが最も効果的です。発生面積が広く、除草剤を使う場合は、グルホシネート系またはグリホサート系が有効です。

オオイヌノフグリ

07オオイヌノフグリ
  • ゴマノハグサ科の一年草(越年草)
  • 高さ・草丈は15~30㎝

ヨーロッパ原産の外来植物で、前年の秋に発芽し、冬越しして開花年内に枯れる「越年草」です。2~5月に、1日で落ちる小さな青い花を次々と開花させます。手で抜くときは、結実前に根ごと抜き取るのが効果的です。除草剤を使用する場合は、有効成分が葉や茎から吸収され根まで枯らす、グリホサート系が適しています。

タネツケバナ

08タネツケバナ
  • アブラナ科の一年草(越年草)
  • 高さ・草丈は10~40cm

水田の雑草として知られています。ロゼット状になって越冬し春に開花して、細長い果実が熟すと種子をまき散らして拡散します。駆除は、6~7月、9~10月、11~12月の3回行うと効果的で、カマなどで刈り取るか、根ごと引き抜きます。除草剤はグリホサート系がおすすめで、草が濡れていないときに散布するのが大切です。

チガヤ

09チガヤ
  • イネ科の多年草
  • 高さ・草丈は30~100cm

細く節のある茎と緑に赤みのある先のとがった細い葉をもち、地下茎で増えて群生します。根が強く、旺盛な繁殖力をもっているため、駆除するには厄介な雑草です。駆除のポイントは、光合成させないように刈り取り続ける、繁殖させないように根を抜き続けるの2点です。除草剤は、グリホサート系がおすすめです。

夏の雑草対策は?夏に生える雑草11種類

草木が勢いよく成長する夏は、手ごわい雑草も発生します。

ドクダミ

10ドクダミ
  • ドクダミ科の多年草
  • 高さ・草丈は20~50cm

茎葉や花から、独特のニオイを放ちます。半日陰から日陰の湿地を好み、地下茎を四方八方に張り巡らして、覆い尽くすように繁茂するのが特徴です。一般的な駆除としては、グリホサート系の除草剤を葉や茎に散布します。酸性土壌を好むので、地下茎をできる限り除去した後、苦土石灰などでアルカリ性に土壌改良するのも有効です。

オヒシバ

11オヒシバ
  • イネ科の一年草
  • 高さ・草丈は30~80cm

日当たりの良い場所を好み、強いひげ根を張って生育して、引き抜きや踏みつけにも強いです。大量発生することが多く、カメムシなどの害虫発生を助長することもあるので、除草剤による早期の駆除が一般的です。グリホサート系の除草剤に抵抗性をもつオヒシバが報告されおり、グルホシネート系の非選択性茎葉処理型の除草剤の使用が増えています。

コニシキソウ

12コニシキソウ
  • トウダイグサ科の一年草
  • 高さ・草丈は10~30cm

北アメリカ原産の外来種で、ほぼ全国に分布しています。地面をはって広がり、茎から根を出して増えます。根が浅いので手でも簡単に抜けますが、茎をちぎると出てくる白い液体に触れると、かぶれやかゆみなどの症状が出ることがあるので注意が必要です。除草剤を使用する場合は、グリホサート系がおすすめです。

カタバミ

13カタバミ
  • カタバミ科の多年草
  • 高さ・草丈は10~30㎝

地下に球根のような太い根茎を持ち、茎を地に這わせて広がる匍匐性植物で、強い再生力と繁殖力が特徴です。根が地下深くまであるので、駆除には除草剤を使うのが一般的です。グリホサート系を使用することが多いですが、芝生などの枯らしたくない植物が周囲にある場合は、選択性の除草剤を使ってください。

ヤブガラシ

14ヤブカラシ
  • ブドウ科の多年草(つる性)
  • 高さ・草丈は200㎝以上

日本在来種で日本全域に生息し、ほとんど結実せずに、太い根を地中に伸ばして繁茂していくのが特徴です。地上部では、ツルを伸ばしてフェンスや他の植物に絡みつきながら生長します。駆除は、根こそぎ抜き取ったり、根を掘り起こしたりすることが多いです。除草剤を使う場合は、グリホサート系が適しています。

ササ

15ササ
  • イネ科の多年草
  • 高さ・草丈は10~200㎝(種類による)

木質化する硬い地下茎で広範囲に繁茂し、駆除が難しい雑草の代表格です。除草剤を散布する場合は、生育の活発な時期(6~8月)に、高濃度のグリホサート系除草剤を茎葉に散布します。除草剤散布以外では、地下30㎝程度まで掘り下げて、地下茎をすべて断ち切る「根切り」を行うことが多いです。

クズ

16クズ
  • マメ科の多年生半木本性植物
  • 高さ・草丈は10m以上にも伸びる

分類としては雑草ですが、越冬すると茎が木質化するため、半木本性植物とされています。「グリーンモンスター」の異名を持つほど強健で、非常に繁殖力の強い植物です。駆除の方法としては、草取り用のカマやフォーク使って引き抜く方法がありますが、広範囲の除草では薬剤を使用するのが一般的です。ただし、通常の除草剤では効果が出にくいことがあるため、「クズ・木本性つる類」の枯殺専用剤(ケイピンエースなど)を使用することをおすすめします。

メヒシバ

17メヒシバ
  • イネ科の一年草
  • 高さ・草丈は30~70cm

春に芽を出し、夏から秋にかけて生長し、穂から種を撒き散らして増えます。茎の途中から根を出して株を広げて、冬には枯れますが、種が翌年春に発芽します。根元から引き抜いて駆除はできますが、周囲に散らばった種が発芽しますので、開花前に駆除を行うようにしてください。手軽で確実な駆除を目指すのであれば、発生前、発生初期の土壌処理型の除草剤散布がおすすめです。

ハマスゲ

18ハマスゲ
  • カヤツリグサ科の多年草
  • 高さ・草丈は15~40cm

細長い地下茎の先に硬い塊茎をつくることで繁殖します。海岸付近の砂地に多いことから、この名前がありますが、内陸地にも普通に見られアスファルトを押し上げるほど生育力が強いです。除草剤を使う場合は、グリホサート系をおすすめします。除草剤を使わない場合は、寒い時期に塊茎を土壌表面にさらし、乾燥させて死滅させる方法があります。

オオバコ

19オオバコ
  • オオバコ科の多年草
  • 高さ・草丈は10~50cm

穂状の花が4~9月頃に咲き、花後に、水に濡れると粘る種子ができます。この粘着質の種が人や動物、車などで運ばれて増えていきます。駆除の方法は、少量であれば根から引き抜き、広範囲に広がっている場合はグリホサート系除草剤を散布します。周囲に枯らしたくない植物がある場合は、選択性の除草剤を使ってください。

イタドリ

20イタドリ
  • タデ科の多年草
  • 高さ・草丈は100~150cm

日当たりの良い場所を好み、河川敷や荒れ地などで急速に群落を形成します。地下茎が発達し、太くて強靭です。発生初期の駆除は、耕起によって地下茎を切断したり、年に複数回の刈り払いを行ったりします。群落を形成している場合の駆除は薬剤を使用します。おすすめの薬剤はグリホサート系です。

秋に生える雑草の種類と効果的な駆除方法

秋の雑草対策では、種子を落とさないように気を付けましょう。

セイタカアワダチソウ

21セイタカアワダチソウ
  • キク科の多年草
  • 高さ・草丈は100~250cm

北アメリカ原産の外来種で、種と地下茎で繁殖する旺盛な生命力があります。根や地下茎から他の植物の生育を阻害する化学物質を出し、在来植物の減少を引き起こします。駆除方法としては、地下茎から根こそぎ抜き取るのが最も確実な方法です。除草剤を使う場合は、一度刈り取ってから、グリホサート系除草剤を散布します。

カヤツリグサ

22カヤツリグサ
  • カヤツリグサ科の一年草
  • 高さ・草丈は30~50㎝

葉の間から断面が三角形の茎がまっすぐに伸び、その先端に黄色っぽい穂をつけ、無数の種をまき散らして増えます。畑地や路上、空き地などの湿ったところに、種が集まって密集して繁殖するのが特徴です。駆除は、グリホサート系かグルホシネート系の除草剤を使うのが効果的です。

エノコログサ

23エノコログサ
  • イネ科の一年草
  • 高さ・草丈は20~70㎝

狗尾草(エノコログサ)とは犬の尻尾のような草という意味です。ふわふわとした花穂が尻尾に似ていることに由来しています。道端や空き地、河川敷などの日当たりの良い乾燥した場所に多く見られます。エノコログサの駆除で最も効果的で手早いのは、草丈が10~15㎝程度の生長初期の除草剤散布です。薬剤はグリホサート系やMCPがおすすめです。

オオアレチノギク

24オオアレチノギク
  • キク科の一年草(越年草)
  • 高さ・草丈は80~180㎝

南アメリカ原産のため、温帯から熱帯の環境を好み、本州以南の全域に分布しています。秋に発芽し、ロゼット(根生葉)を広げて越冬します。種子で繁殖し、乾燥に強いのが特徴です。発芽から生長初期までは、刈り取りや耕起などで駆除できます。伸びてしまっている場合は、グリホサート系かグルホシネート系の茎葉除草剤を散布してください。

ススキ

25ススキ
  • イネ科の多年草
  • 高さ・草丈は100~250㎝

日本の山野に広く分布し、丈夫な茎と、秋に銀白色の大きな穂をつけるのが特徴です。暑さや寒さに非常に強く、種子と地下茎で増え、次第に群生化します。駆除は、種子を飛ばすほど生長する前に刈り払い機で刈り取ったり、土壌を耕起耕運して種子の発芽や地下茎の生長を抑えたりします。除草剤はグリホサート系茎葉除草剤が有効です。

アキノノゲシ

26アキノノゲシ
  • キク科の一年草(越年草)
  • 高さ・草丈は60~200㎝

秋に咲く大型のキク科植物で、茎や葉を切ると白い汁が出るのが特徴です。8~11月頃に、枝分かれした茎の先にタンポポに似た薄黄色の花を多数つけます。数が少ない場合は、結実間に、刈り取るか根こそぎ引き抜いて駆除します。大量に繁茂しているときは、グリホサート系除草剤を使用してください。

ヒメムカシヨモギ

27ヒメカムヨモギ
  • キク科の一年草(越年草)
  • 高さ・草丈は100~200㎝

北アメリカ原産の外来種で、秋に発芽してロゼット状で越冬し、翌春以降に茎を立上げ生育します。日当たりの良い道端や河川敷、空き地などで大量に繁殖します。乾燥に強く、土壌を選ばずに群生して生育するのが特徴です。駆除は、秋と翌春に除草剤を散布するのが一般的です。薬剤はグルホシネート系やグリホサート系が効果的です。

チカラシバ

28チカラシバ
  • イネ科の多年草
  • 高さ・草丈は50~70㎝

根が非常に強く張って、簡単に引き抜けないことから、この名がつきました。茎や葉も大変丈夫で、踏みつけや刈り取りに強いのが特徴です。駆除の方法としては、牛を継続的に放牧して採食させたり、株数が少ない初期段階に根から引き抜いたりすることが多いです。除草剤を使用する場合は、イネ科雑草に効果のあるグリホサート系除草剤をおすすめします。

冬にも雑草対策は必要?冬に生息する雑草の種類

冬には勢いを弱める植物の多い中、活動を続ける雑草もあります。

ゼニゴケ

29ゼニゴケ
  • ゼニゴケ科|胞子よる有性・無性生殖で増殖
  • 高さ・草丈は2~10㎝

茎と葉の区別がない葉状体で、平たく地面に広がり、裏側から仮根を出して地面に張りつくのが特徴です。通常、繁殖のほとんどは胞子の拡散による無性生殖ですが、条件が揃えば有性生殖を行います。駆除には、ゼニゴケに特化した駆除剤を使用するのが効果的です。駆除剤以外の方法としては、ヘラやシャベルを使って剝がしたり、ブラシでこすり落としたりする方法があります。

スナゴケ

30スナゴケ
  • ギボウシゴケ科|胞子による増殖
  • 高さ・草丈は3~5㎝

星砂のように見える小ぶりで可憐な星形・六角形に近い葉が特徴です。日当たりの良い湿った砂地や岩場、石垣などに群生します。コケは弱酸性の土壌を好むため、アルカリ性の強い消石灰を撒いて土壌改良して駆除することができます。土壌改良は、コケの発生と繁殖の両方を抑制するのに有効です。

まとめ

季節を問わず発生する雑草。繁殖の強い雑草には早めの対策が大切です。

今回は、雑草をとにかく駆除する方法を紹介しましたが、発生する環境によっても雑草対策は異なります。

たとえば、芝生の中の雑草には芝生に害を与えない除草剤が適していますし、菜園の近くの雑草には菜園に影響を与えない方法で除草剤を散布します。

雑草の種類はもちろん発生した環境も考慮して、最適な駆除方法を選んでくださいね。