庭木の剪定は一年中いつでもできるわけではなく、剪定に適した時期とそうでない時期があります。ここからは、ヒイラギモクセイを剪定するのに適した時期について解説します。

ヒイラギモクセイの剪定に適した時期は、3～5月頃と11～12月頃の年に2回です。春の剪定では強剪定を、秋の剪定では花が咲いた後に、夏の間に伸び過ぎた枝を整える程度の軽めの剪定を行いましょう。

ヒイラギモクセイの花を楽しむための剪定時期ワンポイントレッスン

ヒイラギモクセイの花はその年に伸びた葉の付け根や枝先に咲きます。そのため、夏の生長期に入ってから多くの枝を切り落とすような強剪定を行うと、花芽も落とすことになってしまい、花付きが悪くなります。

ヒイラギモクセイの花を楽しみたい場合は強剪定は前年の花後すぐの冬時期や今年の春先に行い、夏以降の剪定は、花が散るまで辞めておきましょう。

ここからは、ヒイラギモクセイの剪定を自分でしたいという方のために、剪定に必要な道具や基本の剪定方法を紹介します。

また、ヒイラギモクセイの剪定で失敗しないための注意点も紹介するので、剪定に挑戦する前にご一読ください。

ヒイラギモクセイの剪定に必要な道具は以下の通りです。

剪定道具は用途に応じていろいろありますが、どれも十分に注意して使用することが大切です。それでは、一つずつ見ていきましょう。

葉に鋭いトゲのあるヒイラギモクセイの剪定では、必ず剪定用の手袋を着用しましょう。剪定中に枝の切り口や刃物などで手指を傷つけるのを防ぎます。

手のひら側が樹脂コーティングになっているものは、剪定バサミやノコギリが滑りにくく安全です。

ヒイラギモクセイの剪定で活躍するのが、ペンチのような形をした剪定用のハサミです。直径1～2cm程の枝を切るのに使います。

剪定バサミには、バイパス式とアンビル式の2種類があります。バイパス式は上下の2枚の刃を交差させて枝を切断するタイプで、生きた枝を剪定するのに向いています。アンビル式は下刃が受け皿状になっているのが特徴で、硬い枝や枯れた枝を剪定するのに向いています。

剪定バサミで切れない直径2cm以上の太い枝を切る時に使います。
剪定用ノコギリは、木工用ノコギリと比べると細身で、生きた枝が切りやすいよう刃の目が粗いのが特徴です。

剪定用ノコギリもサイズがいろいろありますが、最も一般的で使いやすいのは長さ25〜30cmぐらいのノコギリです。

ヒイラギモクセイを生垣として仕立てる時に便利なのが刈り込みバサミです。植木バサミよりも刃の部分が長く、長い柄を両手で持って使います。枝を切るというよりは葉を細かく整える目的で使い、生垣の表面となる広い面積を効率的に整えられます。

トリマーは刈込剪定用の機械で、燃料によるエンジン式とコードや充電式の電気タイプがあります。刈り込みバサミで刈り込むよりも数倍速く作業が可能で、生垣や植込みの手入れに便利です。プロの庭師はエンジン式を使用しますが、家庭用なら電気式のトリマーの方が手軽で使いやすいでしょう。

太い枝を剪定した後の切り口に塗ります。ヒイラギモクセイの剪定で使う癒合剤としておすすめなのは、トップジンＭペーストやカルスメイトなどです。

手の届かない高さの枝を切る時には、脚立を使用します。脚立には脚が4本ある四脚タイプと、脚が3本ある三脚タイプの2種類がありますが、造園業では地面が凸凹した屋外でも安定しやすい三脚タイプを使うのが一般的です。

脚立を使用する場合は、一番上の段に載って作業しない、上を向いて作業しないなどのルールがあります。危険防止のため遵守しましょう。

高枝切りバサミ（細い枝なら脚立不要）、熊手（剪定した葉や枝を集めるのに使用します）、箕（ちりとり代わりに使います）、シュロ縄（切ってはいけない枝を一時的にまとめておく紐）、フレコンバッグ（枝葉を入れるごみ袋）などがあると便利です。

ヒイラギモクセイの剪定方法は、生垣として仕立てる場合と、単体の庭木として仕立てる場合とで異なります。

基本の剪定手順

①枯れている枝や病気の枝は、付け根から切り落とす。
②樹形から飛び出している伸び過ぎた枝は切り戻す。
③枝が込み合っている部分は、重なった枝、他の枝に絡んだ枝などを選んで、枝の付け根から切り落とす。
④全体的に今年の尾田枝の下から1～2節残して剪定する。
⑤切り口に癒合剤を塗る。

生垣の剪定手順

①全体をチェックし、仕上がりの樹高や樹幅をイメージする。
②刈り込みバサミやトリマーでは切れない太めの枝は、剪定バサミで仕上がり樹形に収まるように切り戻す。勢いよく伸びている徒長枝は、枝の分岐している部分で切り落とす。
③刈り込みバサミやトリマーを使って、生垣の側面を刈り込む。刈り込みは下から上へ行い、上部は狭めで下部は少し広めの台形に仕上げる。
④上面はなるべく平らに刈り込む。次の剪定までに生長することを見込んで、理想の樹高よりもやや低めに刈り込む。
⑤太い枝の切り口には癒合剤を塗る。

ヒイラギモクセイの剪定で注意したい点は、以下の通りです。

 
①定期的に切り戻すことが大切
ヒイラギモクセイは比較的生長が早く、1年で約15cm程枝を伸ばします。毎年定期的に剪定をしていても、徐々に大きくなってしまいます。大きくなり過ぎてしまったら、太い枝を切り詰めて一回り小さく剪定しましょう。

 
②葉を残す
ヒイラギモクセイは強剪定に強いと言っても、葉がほとんどなくなり枝だけになるような剪定をすると、枝ごと枯れてしまう可能性が高いです。今年伸びた枝の下から1～2節残し、その枝の葉を全部落とさないように剪定することが大切です。

 
③葉のトゲに注意
ヒイラギモクセイの葉にはヒイラギと同じように鋭いトゲがあります。葉質はヒイラギほど硬くはありませんが、剪定中に素手で触ってしまうと怪我をする恐れがあります。ヒイラギモクセイの剪定をする時には必ず手袋と長袖を着用し、手や腕をトゲで傷つけないように注意しましょう。

ヒイラギモクセイは強剪定にも強く、素人でも比較的剪定しやすい庭木です。しかし、葉には鋭いトゲがあり、大きく生長したヒイラギモクセイの生垣を剪定するには脚立やトリマーが必要となります。また、剪定後の枝葉ゴミの処分も大変な作業です。

自分で剪定するのが難しいと感じたら、造園業者・庭師に剪定を依頼するという手もあります。

ヒイラギモクセイを自分で剪定するメリットとデメリットを紹介します。

メリット

・剪定道具を揃えてしまえば、ほぼ費用がかからない
・自分のスケジュールで剪定できる
・満足感や達成感が得られる

デメリット

・剪定道具の購入に費用がかかる
・剪定道具の収納場所が必要になる
・脚立を使った剪定や、葉のトゲで怪我をする危険がある
・剪定後の枝葉ゴミを自分で処理する必要がある
・時間が取られる

自分で剪定するか業者に依頼するかで悩んでいる方は、メリットとデメリットをよく比較した上で判断してください。

ヒイラギモクセイの剪定は自分で行うことも可能ですが、プロの業者に依頼するメリットも多くあります。ここでは、造園業者や庭師に頼むメリットは以下の3つです。

良い仕上がりが期待できる

造園業者や庭師に依頼する最大のメリットは仕上がりのクオリティが高いことです。ヒイラギモクセイは強い刈り込みにも耐えられますが、生垣として美しく仕立てるためにはコツが必要です。プロに依頼すれば、自分で剪定するよりも良い仕上がりが期待できます。

時間や労力を省ける

剪定に必要な道具を揃えたり、実際に剪定作業をしたり、後片付けをしたりと、自分で剪定するには時間がかかります。仕事が忙しくてなかなか休みが取れない方、せっかくの休みの日は趣味や家族の団らんに費やしたい方は、業者に剪定をしてもらうのが良いでしょう。

枝葉ゴミの処分もしてもらえる

ヒイラギモクセイを剪定した後には多くの枝葉ゴミが発生します。自分で剪定する場合は枝葉ゴミの処分も自分で行わなければならず、お住まいの自治体の規定に基づいて枝を一定の長さで切り揃えたり、細かな葉や小枝をゴミ袋に詰めたりするのに大変な労力を要します。

また、ヒイラギモクセイの葉には鋭いトゲがあるため、枝葉を処分する時にも十分気を付ける必要があります。業者に剪定を依頼すれば、枝葉ゴミの処分まで行ってもらえるので安心です。

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