コガネムシは、成虫が葉や花を、幼虫は土中で根を食害する害虫です。この食害により、植物は生育不良や突然の枯死を引き起こします。

コガネムシは種類が多く、発生時期や被害状況もさまざまですが、いずれも早期発見による適切な対策が重要です。

本記事では、コガネムシの生態と発生する原因、被害状況、効果的な予防・駆除方法を紹介します。大切な植物をコガネムシから守るため、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

この記事では、以下のことが分かります。

  1. コガネムシの成虫は夏に活動が活発になり、植物の葉を食害します。
  2. コガネムシの幼虫による被害は夏から秋にかけてが多く、地中で植物の根を食害します。
  3. コガネムシは一度発生すると短期間で繁殖してしまうため、事前の予防が重要です。
  4. コガネムシの発生予防には土の表面を覆うマルチング、雑草をこまめに除去する、コンパニオンプランツを活用するなどの対策が効果的です。
  5. コガネムシが大量に発生したら、農薬散布が効果的です。

コガネムシとは何か

コガネムシとは、甲虫目コガネムシ科に属する昆虫の総称で、丸みのある体と光沢のある外見が特徴です。日本では身近な昆虫の一つで、公園や庭先などでもよく見られます。

成虫の体長は1~3㎝程度で、体色は種類によって違いますが、緑・金色・茶色などがあります。幼虫は芝生や野菜、庭木の根を食べて枯らし、成虫は葉を食べて穴だらけにします。

園芸害虫として発生しやすい種類には、ドウガネブイブイ、アオドウガネ、マメコガネ、ヒメコガネなどがあります。

発生しやすい時期と発生サイクル

コガネムシは越冬した幼虫が春に蛹(サナギ)となり、5月下旬〜7月頃に成虫として土から出てきます。夏の間は地上で活発に活動し、植物の葉や花を食い荒らします。

成虫の寿命は1ヵ月程度で、夏から秋にかけて土の中に産卵します。地中でふ化した幼虫は、植物の根を食害しながら生長します。

10月を過ぎて気温が寒くなってくると、幼虫は地中深くで越冬し春を待ちます。コガネムシの幼虫は基本的に一年中地中で見つけられますが、植物の根を活発に食べて被害が目立ちやすくなるのは、越冬前後の4~5月頃と、9~10月頃です。

春(4~5月)越冬した幼虫が蛹になり、その後成虫として土から出てきます。
初夏~夏(5~8月)成虫が活動し、葉や花を食害しながら交尾します。
夏~秋(7~9月)成虫は土中に産卵し、寿命は1ヶ月程度です。
秋~冬(10月~)孵化した幼虫が土中で植物の根を食べて成長し、寒くなると地中深くで越冬します。

生息地

コガネムシの生息地は非常に広く、日本全国で普通に見られる昆虫です。主な生息場所は以下のとおりです。

庭・芝生幼虫が土の中で生活し、芝や植物の根を食害
畑・果樹園成虫は葉や果実、幼虫は土中で植物の根を食べるため農地にも多い
公園・街路樹都市部でも街路樹や植え込みがあれば普通に見られる
森林・雑木林樹木の葉や樹液を餌にする種類が多く、自然林に多く生息

コガネムシは「自然の中だけでなく、人の生活圏にも適応している」のが特徴です。

発生する植物

コガネムシは雑食性の昆虫のため、ほとんどの植物が対象になります。代表的な品種を以下にまとめました。

  1. 果樹類|ミカン、カキ、ブドウ、リンゴ
  2. 庭木・花木|サクラ、バラ、ツツジ、ウメ
  3. 野菜類|ナス、トマト、豆類、トウモロコシ
  4. 芝生・草花|芝生、パンジー、マリーゴールド

特に注意すべきは、目に見えにくい幼虫による根の被害で、気づいたときには植物が弱っているケースが多い点です。

コガネムシによる被害

コガネムシによる被害は、成虫による葉の食害と、幼虫による根の食害に分けられます。それぞれについて詳しく解説します。

成虫の場合

成虫は、6~9月(最盛期は7~8月)に活動し、主に「葉・花・果実への食害」を行います。

バラ、ブドウ、カキ、サツマイモ、アジサイ、豆類、庭木など幅広い植物を好み、花や葉をボロボロにして光合成を阻害し、植物を枯死させることもあります。

葉脈だけを残して網目状(骨組みだけ残す状態)に食害するのが特徴です。花びらや熟しかけの果実も食い荒らすため、鑑賞価値や商品価値を大きく損ないます。

コガネムシは群れで発生することがあり、短期間で被害が拡大しやすいため見つけ次第の対策が重要です。

幼虫の場合

幼虫は、夏から秋(特に8〜9月)にかけて地中で植物の根を食い荒らし、株を弱らせて枯死させる非常に厄介な害虫です。主な対象は、バラ、ブドウ、果樹類、サツマイモなどの根菜類、イチゴ、ラッカセイ、芝生などです。

幼虫の食害により、植物は水分や栄養を吸収できなくなり、根を切られるため支持力も失います。特に芝生への被害は顕著で、根が食べられるため絨毯のように簡単に剥がれます。

また、二次被害にも注意が必要です。幼虫を狙って動物が土や芝生を掘り返し、被害を拡大させることがあります。

コガネムシが発生する原因

コガネムシが発生する主な原因は、成虫が好むエサ(葉や花)が豊富にある環境と、幼虫が育ちやすい土壌環境(有機質が豊富で柔らかい)が揃っていることです。

特に未熟な堆肥や腐葉土、放置された雑草地は産卵場所となりやすく、大量発生の要因となりやすいです。

コガネムシの成虫は飛翔能力が高く、近隣に発生源(公園・畑・雑草地)があると、夜間の照明などに引き寄せられて飛来します。そのため、自宅だけ対策しても外部から侵入することがあります。

幼虫は腐植質の多い柔らかい土を好むため、堆肥や腐葉土を多く入れた庭や、水はけがよく適度に湿った土壌は格好の生息場所です。

このような要因に加え、気候条件によって発生が増えることもあります。気温が高い年は活動・繁殖が活発になり、極端な乾燥や長雨が少ない場合は生存率が上がります。

コガネムシによる被害の予防方法

コガネムシは、一度発生すると短期間で増殖し被害が拡大するため、被害を抑えるためには事前の予防が重要です。ここでは、予防方法のポイントを説明します。

土壌の質を高める

未熟な有機物はコガネムシを引き寄せやすいため、完熟した堆肥や腐葉土を使用してください。幼虫は湿った環境を好むため、土を掘り起こして(天地返し)日光に当て、表面の土を乾燥させるのも有効です。

6〜9月の産卵期に、鉢植えや作物の株元を不織布、防虫ネット、軽石、砂利などで覆うと、成虫が土中に侵入できず産卵を防ぐことができます。

雑草をこまめに除去する

コガネムシは、雑草が茂る場所や、隠れ家となる堆積した落ち葉に産卵しやすい傾向があります。

畑や庭の雑草を根元からこまめに抜き、土の表面をきれいに保つことで、産卵場所を減らし、コガネムシが隠れにくい環境を作ります。特に6〜9月の産卵期は注意が必要です。

コンパニオンプランツを活用する

コンパニオンプランツ(共栄植物)を活用するのも有効です。

コガネムシが嫌う香りを放つ、ハーブ類、マリーゴールド、ニンニク・ニラなどを、被害に遭いやすい野菜や果樹の周囲に植えてください。

被害に遭いやすい野菜は、ナス、イチゴ、サツマイモ、マメ類など、果樹はブルーベリー、ブドウなどです。

薬剤以外のコガネムシの駆除方法

果樹や家庭菜園で被害が発生している場合や、小さなお子さん・ペットがいるため殺虫剤を使いたくない場合は、以下の方法でコガネムシを駆除することが可能です。

手で捕殺する

早朝の気温が低い時間帯は、コガネムシの動きが鈍く、手でも簡単に捕まえられます。

コガネムシを捕まえて駆除する場合は、脚のトゲで怪我をしたり、不快な臭いの分泌物が手に付いたりしないように、軍手や園芸用手袋を着用しましょう。

また、コガネムシは危険を察知すると自ら地面に落ちて逃げる習性があります。コガネムシのいる枝の真下にバケツを置き、枝を揺らして驚かせるとポロリと枝から落ちて、バケツの中に捕まえられます。バケツに少量の台所用洗剤を混ぜた水を入れておけば、バケツに落ちたコガネムシは数分で窒息して駆除できます。

捕獲装置を使用する

コガネムシを直接触らなくても捕獲できるグッズも販売されています。

強力な粘着テープのついた柄付きの捕獲アイテムなどを使って、植物について葉を食害している成虫を安全に捕まえられます。

地中の幼虫を駆除する方法としては、土を浅く掘り起こして幼虫をピンセットや手づかみで駆除する方法が効果的です。また、鉢植えの場合は、大きめのバケツに水をためて、植木鉢ごと数分水に浸すと、空気を求めて浮いてきた幼虫を駆除できます。

コガネムシによる被害が発見されたら

コガネムシによる被害が発見された場合、幼虫と成虫それぞれに対応する必要があります。

幼虫の対策では、地植えの場合は株元の土を掘り返して幼虫を駆除します。被害が大きいときは、スミチオン乳剤などを希釈し、土壌に十分に染み込ませてください。

鉢植えやプランターでは鉢から株を抜き、土を崩して幼虫を直接駆除するか、きれいな土に植え替えてダイアジノン粒剤などを土壌に混ぜ込みます。

成虫の対策は、夕方から夜にかけて現れるため、見つけ次第手で捕獲して処分します。防虫ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)で植物を被覆して、成虫が産卵のために土に潜るのを防ぐのも有効です。

大量発生している場合は、スミチオン乳剤、マラソン乳剤などを散布します。

コガネムシ防除に使うことのできる農薬

コガネムシ防除に使用できる農薬のうち、代表的なものを3種類紹介します。

1.ダイアジノン粒剤5

ダイアジノン粒剤5は、コガネムシ幼虫対策で広く使われる土壌処理用殺虫剤(有機リン系)です。有効成分はダイアジノン(5%)です。

即効性が高く、土中の幼虫に直接効きます。粒剤なので広範囲に均一散布しやすいです。

2.マラソン乳剤

マラソン乳剤は、コガネムシの成虫対策が中心で、有機リン系の代表的な殺虫剤です。有効成分はマラチオン(MEP)で、水で希釈して散布します。

葉や花を食べる成虫に直接散布して駆除します。幼虫(地中)には基本的に効果が弱いです。

3.ベニカ水溶剤

ベニカ水溶剤は、浸透移行性殺虫剤で、成虫対策+発生抑制に有効です。有効成分はネオニコチノイド系のクロチアニジンです。

植物体内に吸収されて効果を発揮するため、葉裏や新芽にも効きます。吸汁・食害の両方に効果があり、残効性が比較的長いです。

よくある質問

コガネムシは害虫?

コガネムシは、幼虫が土中で植物の根(特に細根)を食い荒らして株を急激に弱らせ、成虫が葉や花をレース状に食害する代表的な園芸・農業害虫です。

特に幼虫は植物の根を食害し、家庭菜園や芝生、庭木に深刻な被害を与えるため、最も問題視される害虫段階です。成虫は種類によっては被害が軽いケースもあります。

防除・対策は幼虫、成虫それぞれに行う必要があり非常に厄介な害虫です。

コガネムシとカナブンの違いは?

コガネムシの幼虫は植物の根を食べ、芝生・野菜・庭木に大きな被害を与えますが、カナブンの幼虫は根をほとんど食べません。

コガネムシの成虫は葉や花を食害しますが、カナブンの成虫は樹液・熟した果実・花粉などを食べて葉を食べることは少なく、被害も限定的です。

コガネムシは完全に害虫扱いですが、カナブンは土壌改良に役立つという側面があり、どちらかといえば益虫寄りの扱いです。

コガネムシを見つけたらどうする?

成虫を見つけて、被害が出ていない場合は無理に駆除する必要はなく、捕獲して外へ逃がす程度で問題ありません。葉や花を食べている場合は、手で捕殺したり、必要に応じて殺虫剤を使用したりします。

幼虫(白い幼虫)を見つけて植物に被害がある場合は、すぐに掘り出して除去し、土壌用の殺虫剤を使用してください。幼虫は放置すると被害が一気に進むので、初期段階での確実な駆除が重要です。

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まとめ

コガネムシの駆除は、成虫と幼虫で対策を分けることが重要です。

成虫には捕殺や防虫ネット、殺虫剤の散布が有効です。一方、土中の幼虫にはダイアジノン粒剤などの土壌処理剤を使用し、根の食害を防ぎます。

対策時期の目安は、成虫は夏(7~9月)、幼虫は秋・冬です。予防として、ハーブやマリーゴールドを一緒に植えると、コガネムシを遠ざける効果が期待できます。

あわせて、雑草や落ち葉を除去して産卵場所を減らす予防も効果的です。発生初期から継続的に対策することで、被害を最小限に抑えることができます。