ツツジは春に美しい花を咲かせる人気の庭木ですが、さまざまな害虫が発生しやすい植物でもあります。グンバイムシやカイガラムシ、ドクガなどの害虫を放置すると、葉が変色したり食害を受けたりするだけでなく、生育不良や枯れる原因になることもあります。
被害を最小限に抑えるためには、害虫の種類や発生時期を知り、適切な方法で早めに駆除・予防することが大切です。
本記事では、ツツジによく付く害虫の特徴や発生時期、効果的な駆除方法、再発を防ぐための予防法までわかりやすく解説します。
この記事で分かること

この記事では、以下の内容について解説します。
- ツツジに害虫が発生する理由・症状
- ツツジに害虫が発生する時期
- ツツジに付く害虫の代表的な種類と特徴
- ツツジに付いた害虫の駆除方法
- ツツジに害虫を発生させない予防法
ツツジは日本の風土に適した、病気や強い刈り込みにも耐える丈夫な花木です。
ただし、良好な生育を維持するためには環境に配慮し、害虫の発生を抑えていくことが重要です。
そのためには、ツツジに付きやすい害虫の種類や特徴、発生時期などを把握して、適切に対処することが求められます。
ツツジに付く害虫の基礎知識

ツツジに付く害虫を適切に駆除・予防するためには、害虫の発生する理由や被害の症状、発生しやすい時期などを把握しておくことが必要です。ここでは、ツツジに付着する害虫の基礎情報を解説します。
ツツジに害虫が発生する理由
ツツジに害虫が発生する主な理由は、植栽環境の悪化や植物自体の衰弱が挙げられます。
まず、風通しや日当たりが悪くなると、枝葉が密集し、高温多湿になり、グンバイムシなどの害虫が繁殖しやすい環境となります。
特に春から夏にかけて株が水不足で乾燥すると、ハダニが急増しやすくなります。
肥料の与えすぎにも注意が必要です。窒素肥料が多すぎると新芽が柔らかくなり、害虫の好物になります。また、薬剤の使いすぎでクモなどの天敵が減ることも害虫が増える原因の一つです。
害虫が付いたツツジに見られる症状
ツツジの害虫被害は、部位ごとに異なる症状が現れます。葉、枝・幹、根、花の部位ごとに症状を説明します。
- 葉の被害(吸汁・食害・変色)
葉は最も害虫の被害を受けやすい部位で、見た目が白っぽくなったり、食べられたりします。 - 枝、幹の被害(吸汁・内部の食害)
表面に虫やロウ状の分泌物が多数付着するのが特徴です。害虫の種類によっては目立った穴や傷が見られないこともあります。 - 根の被害(地中の食害)
細根が減少し、樹皮にかじり痕が見られることがあります。土中に虫がいることもあるので注意が必要です。 - 花の被害(変色・食害)
花や蕾が変色したり食べられたりします。株全体が衰弱し、生育不良を招くことがあります。
早期発見と適切な剪定が予防と対策の基本です。害虫の種類に応じた薬剤の使用が効果的です。
害虫が発生しやすい時期
ツツジの害虫が発生しやすい時期を把握しておくことは、適切な対策を講じるうえで重要です。
地域によって発生時期が異なるため、寒冷地と温暖地の違いも考慮しておきましょう。
発生しやすい時期を以下の表にまとめました。
害虫は周囲の気温の影響を受ける「変温動物」であるため、春の訪れや気温の上昇スピードによって発生カレンダーが前後します。
| 地域区分 | 主な活動期間 | 発生の特徴とピーク時期 |
| 温暖地 (関東・東海・関西・九州など) | 3月中旬~11月頃 | ・春の訪れが早いため、3月や4月の段階から害虫が目覚め始めます。 ・年間を通じて温暖なため、害虫の世代交代(繁殖サイクル)の回数が多く、被害が長期化しやすい傾向にあります。 |
| 寒冷地 (北海道・東北・高冷地など) | 5月初め~10月頃 | ・春の訪れが遅く、発生のスタートやピークが温暖地に比べて2週間~1ヶ月ほど遅れます。 ・冬の寒さが厳しいため冬眠(越冬)からの目覚めが遅く、秋は早く活動を停止します。 |
ツツジに付く害虫の種類

以下に、ツツジに付く主な害虫の概要を表にまとめましたので参考にしてください。また、害虫それぞれの特徴、発生時期、被害のサイン、防除方法などを解説します。
| 害虫名 | 発生時期 | 発生場所 | 主な被害 | 効果的な対策 |
| ルリチュウレンジ | 4月~6月、7月~9月(年2~3回) | 新芽・葉 | 幼虫が葉を食害し、葉がギザギザになる。大量発生すると葉がなくなることもある。 | 幼虫の捕殺、発生初期の殺虫剤散布、落ち葉の除去 |
| ベニモンアオリンガ | 5月~6月、8月~9月(年2回) | 葉・新芽 | 幼虫が葉を食べ、葉脈だけ残ることがある。 | 幼虫の捕殺、殺虫剤散布、発生初期の防除 |
| ヒメシロモンドクガ | 5月~6月、8月~9月(年2回) | 葉・枝 | 幼虫が葉を食害し、枝(または株全体)が丸坊主になることがある。毒毛はないが大量発生しやすい。 | 幼虫の捕殺、殺虫剤散布、剪定による風通し改善 |
| ツツジコブハムシ | 4月~6月 | 新芽・若葉 | 成虫・幼虫が葉を食害し、穴が開く。幼虫は自身のフンでできたコブ状の殻を背負って移動・食害するのが特徴。 | 成虫・幼虫の捕殺、登録農薬の散布、落ち葉の除去 |
| ツツジグンバイムシ | 5月~10月 | 葉裏 | 葉の汁を吸い、葉の表面が白くかすれたり黄変したりする。葉裏には黒いタール状のフンが点々と付着する。 | 葉裏への殺虫剤散布、被害葉の除去、剪定による風通し改善 |
| ツツジコナカイガラムシ | 5月~7月(幼虫発生期) | 枝・葉・幹 | 樹液を吸い、生育不良やすす病を引き起こす。 | 幼虫期の殺虫剤散布、成虫はブラシなどで除去、剪定 |
| ツツジコナジラミ | 5月~10月 | 葉裏 | 樹液を吸い、葉が黄変する。排泄物によりすす病が発生しやすい。 | 葉裏への殺虫剤散布、黄色粘着トラップ、被害葉の除去 |
| ハダニ類 | 4月~10月(特に高温乾燥時) | 葉裏 | 樹液を吸い、葉が白くかすれる。被害が進むと落葉する。 | 葉裏への散水、殺ダニ剤の散布、乾燥防止、剪定による風通し改善 |
ルリチュウレンジ
ルリチュウレンジは、ツツジを食害する代表的な害虫で、黒い体に青緑色の光沢を持つハチの仲間です。
幼虫は毛虫ではなくイモムシ状で、葉の縁から食べ進めるため、葉がギザギザになったり、短期間で葉がなくなったりします。
発生時期は4~6月頃と7~9月頃で、年に2~3回発生します。幼虫を見つけたら早めに捕殺するほか、発生初期に登録のある殺虫剤を散布すると効果的です。
冬場に落ち葉を除去し、株元を清潔に保つことも予防につながります。
ベニモンアオリンガ
ベニモンアオリンガは、ツツジやシャクナゲなどを加害するガの一種です。
幼虫は緑色で葉に溶け込みやすく、葉を食べて穴を開けたり、葉脈を残して食害したりします。
発生時期は5~6月頃と8~9月頃が中心で、年に2回程度発生します。
葉に不規則な食害跡やフンが見られたら発生のサインです。幼虫の数が少ないうちは捕殺し、多発する場合はツツジ類に登録のある殺虫剤を幼虫の発生初期に散布すると効果的です。
剪定で風通しを良くし、発生しやすい環境を改善することも予防につながります。
ヒメシロモンドクガ
ヒメシロモンドクガは、ツツジやサツキなどを食害するドクガの仲間です。
幼虫は黒褐色で体に毛があり、葉を集団で食べることが多く、発生が進むと枝だけが残るほど丸坊主になることもあります。
発生時期は5~6月頃と8~9月頃で、年に2回程度発生します。葉に大きな食害跡が見られたり、幼虫やフンが確認できたりしたら早めの対処が必要です。
幼虫の数が少ないうちは捕殺し、多発時はツツジ類に登録のある殺虫剤を幼虫の若齢期に散布すると高い効果が期待できます。作業時は長袖や手袋を着用し、幼虫に直接触れないよう注意しましょう。
ツツジコブハムシ
ツツジコブハムシは、ツツジ類の新葉を加害する小型の甲虫です。成虫・幼虫ともに葉を食害し、幼虫は葉を巻いたり膨らませたりして内部で成長するため、葉にコブ状の変形が生じるのが特徴です。
発生時期は4~6月頃が中心で、新芽の展開時期に被害が目立ちます。葉の変形や巻葉、小さな食害跡が見られたら発生を疑いましょう。被害葉は早めに摘み取って処分し、発生が多い場合はツツジ類に登録のある殺虫剤を幼虫の発生初期に散布すると効果的です。
剪定して風通しを良くすることも予防につながります。
ツツジグンバイムシ
ツツジグンバイムシは、ツツジ類で最も発生しやすい吸汁性害虫の一つです。成虫・幼虫ともに葉の裏から汁を吸い、葉の表面に白い斑点状のかすり模様が現れます。
被害が進むと葉全体が黄白色や褐色に変色し、早期落葉や樹勢低下の原因になります。
発生時期は5~10月頃で、特に高温乾燥期に増殖しやすいのが特徴です。
葉裏に黒いフンや成虫・幼虫を見つけたら早めに対処しましょう。被害初期に葉裏を中心にツツジ類に登録のある殺虫剤を散布すると効果的で、落ち葉の除去や適度な剪定による風通しの改善も予防につながります。
ツツジコナカイガラムシ
ツツジコナカイガラムシは、ツツジの枝や葉に寄生して樹液を吸う吸汁性害虫です。
白い綿状のロウ物質に覆われているため見つけやすく、大量発生すると生育不良や枝枯れを引き起こします。また、排泄物にすす病が発生し、葉や枝が黒く汚れることもあります。
発生時期は5~7月頃が中心で、幼虫(ふ化直後)が最も防除しやすい時期です。
少数であればブラシや布でこすり落とし、多発時はツツジ類に登録のある殺虫剤を幼虫の発生初期に散布すると効果的です。
定期的な剪定で風通しを良くし、発生を予防しましょう。
ツツジコナジラミ
ツツジコナジラミは、ツツジ類の葉裏に寄生して樹液を吸う小型の吸汁性害虫です。成虫は白い粉をまとったような姿をしており、葉を揺らすと一斉に飛び立つのが特徴です。
発生時期は5~10月頃で、特に気温の高い時期に増殖しやすくなります。被害を受けると葉の表面に白い斑点や黄化が現れ、生育が衰えるほか、排泄物にすす病が発生することもあります。
葉裏に成虫や幼虫を見つけたら、葉裏を中心にツツジ類に登録のある殺虫剤を散布し、被害葉の除去や剪定による風通しの改善を行うと予防効果が高まります。
ハダニ類
ハダニ類は体長0.5mmほどの非常に小さな害虫で、ツツジの葉裏に寄生して樹液を吸います。
発生時期は4~10月頃で、特に梅雨明けから秋にかけての高温乾燥期に大量発生しやすいのが特徴です。
被害を受けると葉の表面に白い小さな斑点(かすり状の症状)が現れ、進行すると葉が黄化・褐変して落葉することがあります。
葉裏に細いクモの巣状の糸が見られるのも発生のサインです。葉裏へ散水して発生を抑えられるほか、多発時はハダニ類に登録のある殺ダニ剤を散布し、定期的な剪定で風通しを良くすることも予防につながります。
ツツジに付いた害虫の駆除方法

ツツジの害虫駆除は、害虫が幼虫や発生初期の段階にある時期に行うのが最も効果的です。
多くの害虫は4~6月と7~9月に発生しやすく、この時期は葉裏や新芽をこまめに点検しましょう。
被害が軽いうちに捕殺や薬剤散布を行えば、被害の拡大を防ぎやすくなります。ここからは、ツツジに付いた害虫を駆除する方法について解説します。
殺虫剤を散布する
殺虫剤は、害虫の発生初期や幼虫のうちに散布すると高い効果が期待できます。散布前に葉裏や新芽を確認し、害虫の種類に適した登録農薬を選び、使用方法や希釈倍率を守って使用してください。
薬剤は葉の表だけでなく、害虫が潜みやすい葉裏や枝の付け根までムラなく散布することが重要です。散布は風の弱い早朝または夕方に行い、高温時や雨の直前は避けましょう。
また、長袖・手袋・マスクを着用し、周囲の人やペット、洗濯物、開花中の花を訪れるミツバチなどへの飛散にも十分注意してください。
酢や牛乳を水で薄めたスプレーを散布する
牛乳を薄めたスプレーは、アブラムシなど一部の害虫に対する民間療法として紹介されることがありますが、十分な科学的根拠はありません。
また、酢(食酢)は安全性の高い「特定防除資材(特定農薬)」として国に認められていますが、殺虫剤ほどの劇的な効果は期待できず、濃度によっては葉を傷める原因になります。
使用する場合は少量を目立たない場所で試し、被害が広がっている場合は登録のある殺虫剤を使用するか、被害部分を取り除く方法を優先しましょう。
手作業で取り除く
害虫の数が少ない場合は、手作業で取り除く方法が効果的です。
発生初期に葉裏や新芽を確認し、幼虫や卵、カイガラムシなどを手袋着用で取り除きます。枝ごと切除して処分するのも有効です。
ドクガ類などの毒毛を持つ害虫に素手で触れるのは危険なため、長袖・手袋・マスクを着用し、駆除後は害虫を放置せず、袋に密封して適切に処分しましょう。
ツツジに害虫を発生させないための予防法

ツツジを健康に育てるためには、害虫が発生してから駆除するのではなく、日頃から予防を心がけることが重要です。
害虫は一度大量発生すると短期間で葉を傷め、生育不良や花付きの低下を招くことがあるからです。
ここでは、ツツジに害虫を発生させないための予防法を2つのポイントで解説します。
剪定や除草をする
ツツジの害虫予防には、定期的な剪定と除草が効果的です。
剪定は花が終わった直後の5~6月頃を目安に行い、混み合った枝を間引いて風通しと日当たりを改善しましょう。除草は春から秋にかけて月1回程度を目安に行い、雑草による蒸れや害虫の隠れ場所を減らします。
ただし、自分で剪定すると切る時期や枝の選び方を誤り、翌年の花芽を切ってしまったり、樹形を乱したりする恐れがあります。
高木や大きく育った株は無理をせず、必要に応じて専門業者へ相談すると安心です。
庭木の消毒を行う
ツツジの害虫予防には、庭木の消毒を定期的に行うことが効果的です。害虫が活動を始める前の3~4月や、発生しやすい5~7月を中心に、発生状況を見ながら年2~3回程度を目安に登録のある殺虫剤を散布すると予防効果が期待できます。
薬剤は葉の表だけでなく、害虫が潜みやすい葉裏や枝の付け根までムラなく散布することが大切です。
ただし、自分で行うと薬剤の希釈倍率や散布時期を誤って薬害を起こしたり、十分な効果が得られなかったりする場合があります。
また、風で薬剤が飛散し、近隣やペットへ影響を与える恐れもあるため、安全対策を徹底して作業しましょう。
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ツツジを含む植物に付く害虫は、植物の状態や立地条件、地域の気候に合わせた対処が重要です。
そのため、豊富な知識と経験のある造園会社に任せると安心です。
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ツツジの害虫に関するよくある質問

ツツジの葉を食べる虫を駆除する方法は?
ハバチの幼虫「ルリチュウレンジ」を含む、ツツジの葉を食べる虫の駆除方法を説明します。
発生初期で数が少ない場合は、箸やピンセットを使い手で直接捕殺するか、被害のある枝ごと切り取って処分します。
大量発生した場合は、オルトランやスミチオンなどの市販の園芸用殺虫剤(スプレーや乳剤)を散布するのが手軽で効果的です。
日頃から葉の裏や株元を観察し、早期発見に努めましょう。
ツツジに虫が大量発生する原因は何ですか?
ツツジに虫が大量発生する主な原因は以下の通りです。
- 高温多湿な環境
梅雨から夏にかけての暑さと湿気は、害虫の繁殖を急激に活性化させます。 - 風通しと日当たりの悪さ
枝葉が過密になると株の内部が蒸れ、虫にとって最適な生息場所になります。 - 窒素肥料のやりすぎ
窒素が多いと葉が柔らかくなり、虫が好む栄養状態になります。 - 天敵の減少
益虫(クモやテントウムシなど)が少ないと、害虫の数が一気に増えてしまいます。
まとめ

ツツジはグンバイムシやカイガラムシ、ハダニ類、ドクガ類など、さまざまな害虫の被害を受けやすい庭木です。
しかし、害虫ごとの特徴や発生時期を把握し、早期に駆除・対策を行えば、被害を最小限に抑えられます。
また、定期的な剪定や除草、薬剤散布などの予防を継続することも重要です。
葉の変色や食害などの異変を見つけたら放置せず、適切に対処して、美しい花と健やかな樹勢を長く維持しましょう。














