常緑樹は、一年を通して緑の葉を保つため、冬場でも庭が寂しくならず景観が安定します。また、目隠し、防風・防音、シンボルツリー、生垣などに活用され、花や実を楽しめる種類も多いです。
さまざまな目的で活用される常緑樹は、種類も豊富です。種類によって性質や形状、最終的な樹高などに違いがあります。
本記事では、常緑樹の特徴や選び方を解説するとともに、用途別におすすめの常緑樹をご紹介していますので参考にしてください。
この記事でわかること
この記事では、以下のことが分かります。
- 常緑樹は一年を通して葉を保つ樹木で、庭木、シンボルツリー、目隠し、生垣などに幅広く活用されています。
- 常緑樹には冬でも緑を楽しめる、一度に大量に落葉しないため落ち葉掃除の手間が少ない、目隠しとして一年中利用できるなどのメリットがあります。
- 常緑樹を選ぶ時には、見た目、成長のスピード、環境との適応をチェックすることが大切です。
- 成長が早く剪定の頻度が高い常緑樹、害虫が付きやすい常緑樹、根が強く張りやすい常緑樹は、庭木としておすすめしません。
- 樹高の異なる常緑樹や花や実を楽しめる常緑樹など、種類別のおすすめの樹種が分かります。
常緑樹とは何?

常緑樹とは、秋や冬になっても一斉に葉を落とさずに、一年中葉をつけている樹木のことです。まったく生え替わらないとか、葉を落とさないというわけではなく、数年かけて少しずつ生え変わっています。
常緑樹は、大きく広葉樹と針葉樹の2種類に分けられます。広葉樹は葉が柔らかく広いのが特徴で、針葉樹は葉が針のように細くシャープな印象です。
その他にも、高木・中木・低木、耐寒性の高低、手入れの頻度、花や実の有無などの違いがあります。常緑樹の種類ごとの特徴をしっかり理解して、自分に合った常緑樹を選ぶことが重要です。
常緑樹の寿命
常緑樹は一年を通して緑の葉をつけている樹木ですが、葉を全く落とさないというわけではありません。葉が古くなると光合成によって作られる養分が少なくなり、老いた葉は落葉して、新しい葉に更新されます。
日本の常緑樹の葉の一般的な寿命は、1~3年です。熱帯林など暖かい地域の常緑樹は比較的寿命が短く、3ヵ月程度で葉が入れ替わる樹種もあります。一方、マツやスギなど針葉樹の葉の寿命は比較的長く、2~5年で入れ替わります。
常緑樹が良く活用されているシーン

庭木やシンボルツリー
常緑樹は一年中スタイリッシュな葉形や美しい樹形を保つため、庭木やシンボルツリーとして人気です。
洋風・和風どちらの住宅にも合わせやすい樹種が多く、住宅の雰囲気を引き立てます。狭いスペースやコンクリート床の場所では、鉢やプランターに植えて緑を取り入れることも多いです。
手間が少なくて丈夫に育ち、葉がおしゃれで、花や実をつける樹種は特に人気が高いです。代表的な常緑樹としては、ソヨゴ、ハイノキ、キンモクセイ、オリーブなどが挙げられます。
周辺からの視線を遮ることができる
常緑樹は、一年を通して葉を落とさず青々としているため、周辺からの視線を遮ることができる「目隠し」として活用されることも多いです。
道路に面したリビングやサニタリーの窓辺、玄関やアプローチの目隠し、お隣との境界線などが代表的なシーンです。目隠しとしては、シマトネリコ、常緑ヤマボウシ、サザンカ、アオキなどの常緑樹が選ばれます。
フェンスやコンクリートに比べて、柔らかい印象を与え、圧迫感を緩和します。
生垣を作る
常緑樹は常に目隠し効果があり、冬でも寒々とした印象を避けられるので、生垣の素材としても人気があります。
常緑樹の生垣は、道路や隣家からのプライバシーの確保、境界線のおしゃれな仕切り、防風・防音・防塵対策、冬の殺風景さの解消として利用されます。無機質なフェンスと違い、花や新芽、香りを楽しめるのがメリットです。
常緑樹の生垣としては、レッドロビン、アベリア、シルバープリペット、シャリンバイなどが人気です。
常緑樹を育てる3つのメリット

見た目で四季を楽しめる
一年中緑を保てる常緑樹ですが、ずっと同じ緑というわけではなく、季節ごとの変化を楽しむことができます。特に冬場は、落葉樹が葉を落とすため、庭全体に安定感も与えてくれます。
春は新芽が芽吹いて明るい緑になり、夏は葉が茂って、濃い緑で涼しさを演出できます。秋から冬にかけては実が成る種類も多く、赤い実や花が庭の景観に映えて美しいです。
たとえば、秋に香り高い花を咲かせるキンモクセイ、冬に赤い実をつけるソヨゴ、通年美しいシルバーグリーンを保つオリーブなどは、季節ごとに違った表情を見せてくれる常緑樹です。
管理が楽なものが多い
常緑樹は、管理が楽なものが多いのも大きな魅力です。庭木初心者や忙しい方にも向いています。
まず、落葉樹のように一斉に葉を落とさないため、秋の大量の落ち葉掃除が不要です。
常緑樹は成長が比較的ゆるやかなものが多いため、年一回程度の軽い剪定で済む種類が多いです。シマトネリコ、ソヨゴ、オリーブなどが代表格です。
葉を一年中つけている分、環境変化に強く、病害虫によるトラブルも比較的少ない傾向にあります。水やりの手間についても、地植えの場合は、根付けば基本的に自然の降雨だけでOKです。
常緑樹は、できるだけ手をかけずに庭をきれいに保ちたいという方にぴったりの庭木です。
目隠しになる
常緑樹は冬でも葉を落とさないため、四季を通じて安定したプライバシー対策ができます。落葉樹の場合、冬になると葉が落ちて視線が通ってしまいますが、常緑樹なら道路や隣家からの視線をしっかり遮ることが可能です。
フェンスや塀と違い、常緑樹はやわらかく自然な印象の目隠しを作れます。目隠しにおすすめの常緑樹は以下のとおりです。
- シラカシ|葉が密に茂り、生垣に最適
- ソヨゴ|成長が比較的遅く、おしゃれな風貌
- シマトネリコ|さわやかな雰囲気で目隠しに人気
- オリーブ|洋風の庭に合い、寒さにも強い
常緑樹を選ぶ際の3つの指標とポイント

見た目から選ぶ
常緑樹を選ぶ際は、樹形、葉の印象や形、季節のアクセントとしての花や実など、見た目で選ぶことも大切です。長く付き合う庭木は、自分の好みや目的に合っていて、飽きのこない見た目であることは重要なポイントの一つです。
樹形には、株立ち、1本立ち(単幹)、円錐形・円柱形(特にコニファー類)などの種類があります。葉の密度と軽やかさ、色の明るさや深さも印象を左右します。
また、一定の雰囲気が継続する常緑樹では、花や実の色や香りで季節の変化を感じることも見逃せません。
成長の速さで選ぶ
常緑樹の成長の速さは、植え付け後の管理の手間や目隠し効果のスピードに直結します。
すぐに目隠しが欲しい、庭の完成形を早く見たい場合は成長が早い常緑樹がおすすめです。ただし、剪定をおろそかにすると大木化して、近隣トラブルになる可能性があります。
狭いスペースに長く植えたい場合や、樹形を乱したくない場合は、成長がゆっくりで剪定の手間が少ない木を選ぶべきでしょう。
日当たり等の環境から選ぶ
常緑樹を植える場所の日当たり等の環境から選ぶことは、庭木を枯らさないための大切なポイントです。その樹種にとって、どの日照条件(日なた・半日陰・日陰)がベストなのかを確認しておく必要があります。
| 日なた | 多くの常緑樹が適する | オリーブ、キンモクセイ、コニファー類など |
|---|---|---|
| 半日陰 | 日なたも日陰も耐えられる | ソヨゴ、ハイノキ、ツバキなど |
| 日陰 | 陰樹と呼ばれ日陰に強い | アオキ、ヤツデ、ヒイラギナンテンなど |
日照条件の他、耐寒性・耐暑性が地域の気候と合うかどうかの確認も重要です。
おすすめできない常緑樹の特徴と失敗の原因

成長が早く剪定の頻度が高くなってしまう
成長スピードが速い樹種は、放置するとすぐに隣地や電線に届いてしまいます。樹形も乱れやすく、剪定回数が年2~3回必要になることもあります。
植えたときは小さくても、数年で5m以上になると、根が周囲の構造物に影響する可能性が高いです。
成長の早い常緑樹は、剪定してもすぐ新芽が伸びる「萌芽力」が強い傾向があります。楽しみながら庭木の剪定ができる方以外は、萌芽力が強すぎない樹種を選びましょう。
虫が多く衛生的によくない
常緑樹の中には、虫が付きやすく、衛生面でトラブルになりやすいものもあります。虫が多くなりやすい常緑樹の特徴は以下のとおりです。
- 葉が密集して風通しが悪い|蒸れやすく、病害虫の温床になりやすい
- 成長が早く枝が込み合う|剪定が追いつかず、害虫が発見しにくい
- 甘い香り・樹液が出る|花の香りや樹液に虫が集まりやすい
対策には、春~初夏の薬剤の予防散布や、定期的な剪定が挙げられます。
根が強く張ることで配管等への影響が出る
常緑樹には、根が強く広がることで、配管や基礎に影響を与える可能性のある樹種があります。
成長が早く、地上部がよく伸びる常緑樹は、地下の根もよく伸びると考える必要があります。根は、成長が早い地上部を育むために、水や養分を求めて広範囲に広がるためです。
樹高が5m以上になるタイプは、倒木防止のために根が太くなりやすい傾向があります。また、水が不足しやすい環境では、湿った場所を求めて配管周辺に根を伸ばすこともあります。
植える際は、建物や配管から2~3mは離し、必要に応じて防根シートの施工を行ってください。
庭木におすすめの高木常緑樹6選

シマトネリコ

| 分類 | モクセイ科トネリコ属(常緑広葉樹・小高木~高木|寒冷地では落葉することもあります) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(沖縄)、中国、台湾、フィリピンなど熱帯・亜熱帯地域 |
| 樹高 | 3~5m(放置すると10m以上) |
小さな葉が密集し、軽やかで爽やかな印象の常緑高木です。強い日照を好み、暑さや乾燥に強い一方で、寒さにはやや弱いため、暖地での育成に向いています。
特に株立ちが人気で、複数の細い幹が立ち上がる樹形は自然でモダンな景観をつくり出し、庭のシンボルツリーに最適です。
成長が早く、大きくなりやすいため、定期的に剪定(切り戻し)を行い、大きさをコントロールする必要があります。-5℃程度までは耐えられますが、強い寒風にさらされると落葉しやすくなります。
常緑ヤマボウシ

| 分類 | ミズキ科ミズキ属(常緑広葉樹・小高木~高木) |
|---|---|
| 原産地 | 中国(香港など) |
| 樹高 | 3~6m(放置すると10m以上) |
1年を通して光沢のある濃い緑の葉を持ち、初夏に白い花(総苞片)が樹を覆うように1ヶ月程度咲く、シンボルツリーとして非常に人気の高い常緑樹です。秋には葉が赤く色づき、表面が少しブツブツした赤い実が熟します。実は甘く、食用やジャムに利用できます。
自然な状態で美しい樹形が整いやすく、病害虫にも強いため、初心者の方や手間をかけたくない方の庭におすすめです。
耐暑性は強いのですが、極端な寒さには弱い傾向があり、寒冷地では落葉したり枯れたりするケースがあります(耐寒性は-5℃~-8℃程度)。
ハイノキ

| 分類 | ハイノキ科ハイノキ属(常緑広葉樹・小高木~高木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(関東以西、近畿以西、四国、九州、屋久島) |
| 樹高 | 3~5m(放置すると10m以上) |
比較的葉は小さく、細い枝が密になりにくいため、涼しげな雰囲気を持ちます。4~5月頃に白い5弁の花が咲き、多数の雄しべが突き出る繊細な姿が魅力です。
自然樹形が美しいため、剪定の手間がほとんどありません。
日当たりを好みますが、半日陰でも十分に育つので、都会の住宅街などでも管理しやすいです。乾燥に弱いため、特に夏場は乾燥させすぎないように注意してください。
寒さには比較的強く、耐寒温度は-5℃~-10℃程度ですが、寒風が当たる場所では葉を落とすことがあります。
シラカシ

| 分類 | ブナ科コナラ属(常緑広葉樹・高木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本、中国 |
| 樹高 | 3~5m(放置すると10~20m) |
葉は長楕円形で細長く、やや薄めで光沢があり、裏面は緑白色を帯びます。一年中濃い緑を楽しめ、冬でも落ち葉が少なく、目隠し効果も高い樹種です。
4〜5月頃に黄色い花を咲かせ、秋(10〜11月)に小ぶりなドングリを実らせます。耐寒性・耐陰性があり丈夫ですが、植え替えには弱いため、定植場所の選定には注意が必要です。
萌芽力が強いため、6〜8月または11〜12月に強めの剪定を行います。その時期以外にもこまめな剪定を行い、庭木としての樹形を維持するようにしましょう。
枝葉が混み合わないように定期的な透かし剪定を行い、日当たりと風通しを確保することが病害虫予防につながります。
ブルーアイス

| 分類 | ヒノキ科イトスギ属(常緑針葉樹・高木) |
|---|---|
| 原産地 | 北アメリカ(アリゾナ州周辺) |
| 樹高 | 3~5m(放置すると10~15m) |
葉に白い粉(ワックス)が付着しており、氷をまとったようなシルバーブルーに見え、特に新芽が美しい品種です。柑橘系(レモン)に似た爽やかなシトラススパイシーな香りが強く、森林浴効果も期待できます。
剪定(9~10月か2~4月)に強く、病害虫もほぼつかない丈夫な常緑樹で、自然とキレイな円錐形に整います。根張りが浅いので、強い風が当たる場所では支柱が不可欠です。
乾燥した環境を好みますが、乾燥しすぎると下葉が枯れることがあるため注意が必要です。冬場は北海道などの極寒地を除き、全国的に植栽可能です。
アラカシ

| 分類 | ブナ科コナラ属(常緑広葉樹・高木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(石川県以西の本州、四国、九州、沖縄)、中国、朝鮮半島、台湾、インドシナ半島、ヒマラヤ |
| 樹高 | 10~20m(放置すると25m以上) |
アラカシは、日本の本州以南の温暖な地域に自生する常緑広葉樹です。生長が早く剪定せずに放っておくと樹高10~20mと大きく育ちますが、剪定によって4~5m程度に維持できます。萌芽力が高く、刈り込みにも耐えられるため、2m前後の高めの生垣として育てられることもあります。
アラカシは日当たりと風通しの良い場所を好みますが、半日陰の場所でもよく育ち、大気汚染や潮風にもよく耐える樹木です。一般住宅の背の高めの生垣やシンボルツリー、街路樹、公園や商業施設の緑化、海沿いの防風林など、幅広い用途で植えられています。
放置していると巨木に生長しやすく、枝葉が生い茂って樹形も乱れてしまうため、剪定は不可欠です。定期的な剪定で、場所と用途に合った樹高や樹形に保ちましょう。
庭木におすすめの中木常緑樹4選

サザンカ

| 分類 | ツバキ科ツバキ属(常緑広葉樹・小高木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(固有種) |
| 樹高 | 2~6m(放置すると10mに達することもある) |
一年を通して濃い緑色の光沢のある葉(葉身3〜7cm)を茂らせるため、冬でも殺風景にならず、生垣や目隠しに最適です。通常3〜5m程度の中木に成長しますが、剪定によって低く保つことも可能です。
晩秋から冬(10月〜12月頃)にかけて開花します。原種は白色の一重咲きですが、園芸品種は赤、ピンク、白など多彩で、一重から八重、獅子咲きなどがあります。
チャドクガ(毛虫)がつくことがあるため、春から秋にかけてはこまめに葉を観察し、対策(殺虫剤など)を行うと良いです。
冬の寒空に鮮やかな色を添え、かつ管理しやすい常緑の中木として、日本の庭園には欠かせない樹木です。
ソヨゴ

| 分類 | モチノキ科モチノキ属(常緑広葉樹・小高木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(本州・四国・九州)、台湾、中国 |
| 樹高 | 3~7m(放置すると10mに達することもある) |
自然な樹形が美しく、涼しげな葉が風にそよぐ、管理が容易な人気の常緑中木です。年間の成長は約25cmと緩やかで、剪定の手間も少なめです。
5~6月頃に小さな目立たない白花を咲かせます。
ソヨゴは雌雄異株(しゆういしゅ)のため、雌株であれば12月頃に赤い実が付き、観賞用としても人気があります。実を楽しみたい場合は雌株を選ぶようにしましょう。
狭い庭にも植えやすく、和・洋どちらの雰囲気にも合わせやすいです。
日当たりを好みますが、乾燥や半日陰にも比較的強く、病害虫にも強いため、初心者にも育てやすい庭木です。常緑でありながら、重くならず、ナチュラルな「雑木の庭」に適しています。
ゴールドコーン
| 分類 | ヒノキ科ビャクシン属(常緑針葉樹・中木) |
|---|---|
| 原産地 | 北アメリカ、ヨーロッパ、西アジアの北半球一帯 |
| 樹高 | 2~3m |
北半球の広い範囲に自生する「西洋ネズ」の園芸品種で、春の新芽は鮮やかな黄色(金色)で、夏には黄緑色になり、冬には少し褐色を帯びます。枝が垂直に伸び、すき間なく密に茂るため、整った円錐形の樹形が自然に形成されます。
最終樹高は約2〜3m、横幅は0.5~0.6mほどに収まり、管理がしやすい樹種です。
日当たりと風通しの良い場所を好みます。日照不足だと黄金色の発色が悪くなり、枝が弱々しくなります。枝が密生するため、3月から梅雨前に、形を整える程度の剪定を行います。
病害虫に強く、寒さにも強い(-10℃でも越冬可能)ため、初心者にも育てやすいコニファーです。
モッコク

| 分類 | サカキ科モッコク属(常緑広葉樹・小高木〜高木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(関東以西の本州、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、東南アジア、インド |
| 樹高 | 5~6m(放置すると10m以上) |
モッコクは、「庭木の王様」とも呼ばれるほど人気の庭木です。光沢があり厚みのある常緑の葉、初夏に咲く上品で甘い香りを放つ白い花、秋に実る赤い実など、四季を通じて楽しめる庭木です。「三大庭木」や「江戸五木」の一つにも数えられており、古くから日本の庭園に植えられてきました。
モッコクは午前中は日が当たり、午後は日陰になるような場所を好みます。強い日差しや極端な寒さは苦手なので、真夏の西日が当たる場所や、冬の寒風を受けやすい場所は避けましょう。小枝を密に茂らせる性質があるため、定期的に透かし剪定をして樹冠の風通しを良くし、ハマキムシなどの害虫や、すす病などの病気を防ぐことが大切です。
庭木におすすめの低木常緑樹3選

ヒメシャリンバイ

| 分類 | バラ科シャリンバイ属(常緑広葉樹・低木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(中部地方以南) |
| 樹高 | 1~3m |
樹高1〜3m程度でコンパクトですが、強健な常緑低木です。葉は小さく硬めで、光沢のある濃緑色をしていて、赤い新芽との対比が美しいです。
3~5月頃に白~薄ピンクの小さな梅に似た花を咲かせ、秋には黒紫色の実を付けます。
成長が比較的遅く、剪定は、花後(5月下旬~6月下旬)に、透かし剪定を行う程度で十分です。生垣の場合は、6月頃に刈り込みます。
日なた~半日陰で育ち、耐暑性・耐潮性・大気汚染にも強いのが特徴です。小さな庭のシンボルツリー、生垣、低木寄せ植え、道路沿いの植栽に向いています。
乾燥には強いですが、乾燥しすぎると落葉することがあります。
マホニアコンフューサ

| 分類 | メギ科ヒイラギナンテン属(常緑広葉樹・低木) |
|---|---|
| 原産地 | 中国 |
| 樹高 | 1~2m |
別名は「細葉ヒイラギナンテン」で、細長く尖った葉が涼しげな姿をしています。地植えは、暖地であれば通年可能ですが、土が凍るような地域では鉢植えが安全です。
和洋問わず馴染むスタイリッシュな外見で、成長は遅く、病害虫にも強いです。手入れがほぼ不要なため、現代的な住宅の庭木やシェードガーデンとして最適です。
剪定は、3月か6月頃に、伸びすぎた枝を節の位置で切り戻す程度の問題ありません。
10月下旬~12月頃、晩秋から冬に黄色い小花が房状に咲き、春(4~5月)にブルーベリーに似た黒紫色の実をつけます。
病害虫は比較的少ないですが、湿気が多いとカイガラムシやうどん粉病が出ることがあります。
アベリア

| 分類 | スイカズラ科ツクバネウツギ属(半常緑広葉樹・低木) |
|---|---|
| 原産地 | 中国 |
| 樹高 | 1~1.5m |
5月中旬〜10月にかけ、白や薄ピンクの小さな鐘状の花を長期間咲かせる、半常緑〜常緑の低木です。丈夫で耐暑性・耐寒性に優れ、乾燥や排気ガスにも強いため、生垣や道路の植栽に最適です。
花後に赤い萼(がく)が残るため、長期間鑑賞を楽しめます。葉は光沢のある緑色で、冬場も葉が落ちにくいですが、寒冷地では落葉・紅葉する場合があります。
成長が早く、枝が込み合いやすい性質があります。剪定は2〜3月が適期で、全体を刈り込むと、より樹形が整います。
日当たりを好み、半日陰でも育ちますが、日なたの方が花付きは良くなります。地植えでの水やりは、ほぼ不要で、肥料は2〜3月と花後の秋に与えます。
花が咲く常緑樹4選

トキワマンサク

| 分類 | マンサク科トキワマンサク属(常緑広葉樹・低木~小高木) |
|---|---|
| 原産地 | 中国、台湾、インド東部 |
| 樹高 | 3~5m |
4枚の細い花弁を持つ花が春に株を覆い尽くすように咲き、葉は小さな楕円形で一年中茂ります。花色は白や濃桃色(紅花)があり、特に紅花は葉も赤紫色を帯びるため、カラーリーフとして人気です。
成長が比較的早く、剪定に強いのが特徴で、強めの刈り込みも可能です。生垣やシンボルツリー、目隠しとして幅広く利用されています。
病害虫は比較的少なく、乾燥や日照にも強いですが、寒さにはやや弱いため関東以西の暖地向きです。花が終わった直後に剪定を行うと、翌年もきれいに花を楽しむことができます。
キンモクセイ

| 分類 | モクセイ科モクセイ属(常緑広葉樹・小高木) |
|---|---|
| 原産地 | 中国 |
| 樹高 | 3~6m(放置すると10m程度) |
遠くまで届く甘く強い香りが特徴で、秋の訪れを感じさせる代表的な庭木として、その芳香を活かした植栽が広く親しまれています。
9月下旬〜10月上旬にオレンジ色の小さな花が密集して咲きますが、花期は3〜7日程度と短いです。常緑性で一年中緑の葉をつけ、葉は長楕円形で縁に細かな鋸歯(ギザギザ)があります。
剪定は、10〜11月の花後、または2〜3月が適期で、透かし剪定を行います。
日当たりを好みますが、乾燥や極端な寒さ(寒風)にはやや弱いです。日なたに植えると花付きが良くなります。
日本に流通しているのは雄株のみで、挿し木繁殖のため実はなりません。
クチナシ

| 分類 | アカネ科クチナシ属(常緑広葉樹・低木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(本州の東海地方以西~沖縄)、台湾、中国、インドシナ半島など |
| 樹高 | 1~2m |
三大香木の一つに数えられ、ジャスミンに似た強い甘い香りが特徴で、花色は白から黄色へと変化します。葉は艶のある濃い緑色の常緑で、刈り込みに強く、株立ち状によく分岐して茂ります。
秋に熟すオレンジ色の果実は「口無し」の名の通り裂けず、生薬(山梔子)や黄色染料として古くから利用されています。
注意点としては、オオスカシバ(蛾)の幼虫が葉を好んで食べるため、見つけ次第駆除が必要です。
艶やかな葉と香りの良い白花は、特に梅雨時期の庭によく映えます。
ツバキ

| 分類 | ツバキ科ツバキ属(常緑広葉樹・低木/小高木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(北海道南西部、本州、四国、九州、沖縄)、中国、朝鮮半島南部、台湾 |
| 樹高 | 1~5m(放置すると15m以上) |
ツバキは、光沢のある厚い葉と、冬から早春にかけて咲く色鮮やかな花が魅力の日本原産の花木です。美しい葉を一年中楽しめ、花の少ない冬の庭に美しい花を咲かせるため、古くから庭園樹として親しまれてきました。
ツバキは生長が比較的緩やかで、1年間で10cm程しか枝を伸ばしません。庭木としては樹高1~5mで育てられることが多いですが、環境が合うと年月をかけて大木に育ちます。何十年、何百年と生き続ける長寿の樹種で、古くから不老長寿や長寿繁栄を象徴する縁起木とされています。
ツバキは日当たりが良い場所から、1日数時間しか日の当たらない日陰まで、幅広い場所に適応して育ちます。花を多く咲かせたい場合は、日当たりの良い場所を選ぶのがおすすめです。
実がなる常緑樹4選

オリーブ

| 分類 | モクセイ科オリーブ属(常緑広葉樹・高木) |
|---|---|
| 原産地 | 地中海沿岸地域 |
| 樹高 | 2~5m(放置すると5~15m) |
葉の表は光沢のある緑、裏は銀白色で、風になびくと銀色に輝きます。
実は10~11月頃に、緑色から黒色へと熟します。自家不結実性のため、実を付けるには異なる品種を近くに2本以上植える必要があります。
実の生食は苦くてできませんが、塩漬けやオイル、ピクルスなどの加工用として楽しまれています。乾燥や暑さに強く育てやすい一方、剪定を怠ると大木化するため、年1回の管理が推奨されます。
寒さにはある程度耐えますが、寒冷地では防寒対策が必要です。
キンカン

| 分類 | ミカン科キンカン属(常緑広葉樹・低木) |
|---|---|
| 原産地 | 中国中南部 |
| 樹高 | 1.5~3m |
冬(2月~5月)に成熟した実を収穫できます。皮ごと生食でき、ジャムや甘露煮にも利用されます。
病害虫が比較的少なく、寒さや乾燥にも強いため、初心者でも育てやすい柑橘類です。
常緑性で1年中美しい葉を保ち、冬は実がなるため、観賞用としても優れているのが特徴です。高さが1~2m程度(剪定により調整可能)に収まるコンパクトな樹木です。
夏(5月~9月頃)に、良い香りがする小さな白い花が咲きます。品種によっては四季咲き性もあります。
冬の庭を彩る実のなる木として、キンカンは家庭菜園やシンボルツリーに最適です。
フェイジョア

| 分類 | フトモモ科アッカ属(常緑広葉樹・小高木) |
|---|---|
| 原産地 | 南アメリカ(ブラジル南部、ウルグアイ、パラグアイ) |
| 樹高 | 2~3m |
厚みのある緑の葉の裏が銀色をしており、エキゾチックな花はエディブルフラワー(食用花)としても利用されます。
パイナップルやバナナ、西洋ナシのような芳醇な香りの実がなり、実が熟すと自然落果するため、それを収穫して追熟(室温で1週間程度)させると美味とされています。
自家不結実性(1本では実がなりにくい)が多いため、果実を収穫したい場合は、異なる品種を2株以上植えることが必要です。日当たりを好み、日陰では花や実がつきにくいです。
剪定は、枝が混み合うため、3月頃に風通しを良くする剪定を行います。病害虫の被害は比較的少なく、初心者でも育てやすい部類に入ります。
モチノキ

| 分類 | モチノキ科モチノキ属(常緑広葉樹・高木) |
|---|---|
| 原産地 | 日本(新潟県や東北地方南部以西の本州、四国、九州、南西諸島)、中国、朝鮮半島南部 |
| 樹高 | 25~10m(放置すると10m以上) |
モチノキは、光沢のある濃緑色の葉と、秋に実る赤い実のコントラストが特徴的な日本原産の常緑広葉樹です。モッコクやモクセイと並ぶ日本の「三大庭木」のひとつとして、古くから庭園や神社仏閣の境内に植えられてきました。一年中緑の葉を保つことや、「モチ」の響きがお金持ちを連想させることから、家の繁栄や商売繁盛をもたらす縁起木として好まれています。
モチノキは日当たりと水はけの良い場所を好みますが、ある程度の日陰でも育ちます。大気汚染や塩害に強い丈夫な庭木なので、都市部の公園や沿岸部の住宅でも広く植えられています。
生長は比較的緩やかな木ですが、萌芽力が高く剪定に強い庭木です。場所や用途に合わせて、好みの樹高や樹形に剪定して育てることができます。
ハーブの常緑樹4選

ローズマリー

| 分類 | シソ科マンネンロウ属(常緑広葉樹・低木) |
|---|---|
| 原産地 | 地中海沿岸地方(ヨーロッパ南部、北アフリカ) |
| 樹高 | 1~2m(立性)0.3~0.5m(ほふく性) |
年間を通して爽やかな芳香を放つ葉を茂らせる丈夫なハーブです。冬でも青々とした葉を保つため庭のアクセントになります。
直立する「立性」、横に広がる「ほふく性」、中間的な「半ほふく性」があり、場所に合わせて選べるため、利便性が高いです。
強健で、乾燥や痩せ地、寒さ、塩害に強く、初心者でも育てやすいです。秋から春にかけて青、白、ピンクなどの小さく可憐な花を咲かせます。
剪定は梅雨前に行い、過湿に弱いため、風通しを良くして蒸れを防ぐのが主な目的となります。乾燥を好み、料理、ポプリ、薬用、生垣として幅広く利用されています。
タイム

| 分類 | シソ科イブキジャコウソウ属(常緑広葉樹・小低木・多年草) |
|---|---|
| 原産地 | 地中海沿岸地方およびヨーロッパ南部、アジア、北アフリカ |
| 樹高(草丈) | ~0.3m(ほふく性)0.2~0.4m(立性) |
一年中緑の葉を楽しめる使い勝手の良いハーブです。殺菌効果が高いことから、料理やハーブティー、グランドカバーとして広く利用されています。
春から初夏(4~6月)にかけて、薄ピンクや白の小さな可愛らしい花を毬状に咲かせます。
日当たりが良く、乾燥気味で風通しの良い場所を好みます。梅雨や夏場は蒸れて枯れやすいため、特に風通しを良くし、梅雨前に収穫を兼ねて剪定することが重要です。
乾燥を好み、過剰な肥料は不要で、水やりは土の表面が乾いてから与えます。寒冷地を除き、冬も屋外で越冬可能です。
フレンチラベンダー

| 分類 | シソ科ラベンダー属(常緑広葉樹・低木) |
|---|---|
| 原産地 | 地中海沿岸 |
| 樹高 | 0.3~1m |
花穂の先端に、苞(ほう)と呼ばれる葉が変異したウサギの耳のような花びらがつきます。カンファー系のさっぱりとした爽やかな香りがあり、他のラベンダーに比べ開花期間が長く、春から初夏まで楽しめるのが特徴です。
ラベンダーの中では暑さや高温多湿に比較的強く、日本の暖地での夏越しがしやすい品種です。寒さは-5℃程度まで耐えますが、寒冷地では鉢植えが推奨されます。
日当たりと風通しが良く、水はけのよい乾燥気味の土壌を好みます。
剪定は、花が終わったら、株の風通しを良くするために3分の1程度に切り戻すと株が長持ちしやすいです。
ゲッケイジュ

| 分類 | クスノキ科ゲッケイジュ属(常緑広葉樹・中高木) |
|---|---|
| 原産地 | トルコやギリシャなどの地中海沿岸部 |
| 樹高 | 7~15m |
ゲッケイジュは、南ヨーロッパや北アフリカの地中海沿岸部を原産とする常緑広葉樹です。古代ギリシャやローマでは、ゲッケイジュは勝利や栄誉、不死の象徴として大切にされていました。ゲッケイジュの枝葉で作った冠は月桂冠と呼ばれ、太陽神アポロンを称える競技祭などで勝者や詩人に贈られていました。ゲッケイジュの葉や枝をちぎるとスパイシーで爽やかな香りがし、乾燥させた葉はローリエやローレルというハーブとして煮込み料理の香り付けなどに使われています。
ゲッケイジュは日当たりが良い場所を好みますが、やや日陰の場所でも十分育ちます。比較的乾燥した土地を好むので、地植えにする場合は水はけの良い場所を選びましょう。ゲッケイジュの枝は横に張らず、まっすぐに上に伸びるので、都心の住宅地の比較的狭い庭でも育てられます。剪定にも比較的強く、刈り込んでいろいろな形に仕立てることも可能です。
常緑樹に関するよくある質問

手入れが少ない常緑樹はある?
手入れが少ない常緑樹のポイントとしては、成長が遅い品種であること、自然な樹形で楽しむことができる、病害虫に強いことが挙げられます。
成長が遅く自然に形が整う「ソヨゴ」「ハイノキ」「ヒメシャリンバイ」や、丈夫で剪定の手間がかからない「シルバープリペット」「ヒイラギモクセイ」などがおすすめです。
植える場所の日当たりや環境に合わせて選ぶと、より手入れが楽になります。
虫が付きにくい常緑樹はある?
虫が付きにくい常緑樹には、葉が硬く虫が噛みづらい、独特の香りに防虫効果がある、病害虫に強い性質を持つものという特徴があります。以下は、虫が付きにくい常緑樹の代表例です。
- オリーブ|葉が硬く、虫が寄りにくい代表格
- フェイジョア|病害虫に強く、初心者にもおすすめ
- ローズマリー|香り成分が虫よけ効果を持つ
- ソヨゴ|丈夫でトラブルが少ない庭木
どんな木でも虫がゼロになるということはありません。風通しをよくする、枯れ葉を放置しない、過剰な肥料を与えないことが、虫を付きにくくすることにつながります。
常緑樹のお手入れはスマイルガーデンにお任せください

常緑樹は、一年を通して葉を落とさず青々として庭の景観を安定させ、あまり手間をかけなくても丈夫に育つ樹種が多いです。ただし、まったくの放置で育つというわけではありません。
病害虫を寄せ付けにくくする風通しの確保や、大きさをコントロールするためのお手入れは必要です。植えてある場所や常緑樹の樹種に合わせたお手入れは、造園会社に依頼すると安心です。
長年の実績や経験から適切なお手入れを行ってくれます。造園会社に依頼するなら、スマイルガーデンがおすすめです。
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まとめ

一年を通して葉が落ちにくく、常に緑を保つ常緑樹は、冬でも庭が寂しくなりません。シンボルツリーや生垣に向いていて、目隠し・防風・防音にも効果的です。
ただし、常緑樹の中にも成長が早い品種があり、日当たりや風通しが悪いと虫が付きやすいものもあります。
そのため、常緑樹選びで失敗しないためには、成長スピードを確認し、庭の広さに合った樹高のものを選ぶこと、植える場所の日当たりなど環境に合う樹種を選ぶことが重要になります。
このポイントを押さえておくだけで、失敗のリスクは大幅に低くなります。













